急に見ることになった演劇で、正直それほど期待はしていなかった。ところが、韓国俳優二人の共演が、特に言語の違いを感じさせない工夫により、随分生芝居の迫力を醸し出してくれる。
8年間にわたる女と男の愛の物語である。二人を介しているのは亡き夫である。舞台となるのは小料理屋。そこは夫が残した唯一の場所・オアシスであった、、。
この店に通う人たちを写しながら、彼らの人生をじっくり描いてゆく。バブルを背に . . . 本文を読む
とうとう一観客からはみ出すようなイベントに参加する。そもそもゲスト目当ての参加で、何かしら後ろめいた気持ちもどこかにある。
今まで通り椅子に座り、劇を観るというとでは何ら変わらないのだが、劇は脚本を丸読みのそのままのリーディングである。この間1時間45分。そのあと、ホンを提供したナガイさんを囲み、観客をも含めたディスカッションが行われる。
今まで劇を見た後に質問などはしたことはあるが、未定稿の . . . 本文を読む
PAMのお待たせ3本立て公演である。前回は何と4時間もの3本立てだったが、今回は大正浪漫映画、BOSUIとのライブ、そして谷崎原作の「或る男の半日」の大正時代の演劇という組み合わせでランタイムも2時間弱で観客にやさしい構成になっている。
全編通して、大正ものに挑戦しており、平成と大正とを見通すことにより現代を考えるといった主題がしっかりと貫かれている。
大正といえば僕も大正デモクラシーぐらいし . . . 本文を読む
ポーランド映画は秀作が多く、俄然期待しました。映画賞も取ってるし、、。
冒頭の首吊り風景。ロープを切り落とすと、男は地上に。しかしその後男はすたすた歩くではないか。なんと、滑稽で、面白くユニークである。カメラワークも鋭い。この世では死人も目的を持って歩くのである。不思議なこの世である。俄然期待度が高まる。
ところが、それからが、何かセラピーの話になるので、それほど僕の心がはじけない。乗れない。 . . . 本文を読む
大半を宗教上の信念から武器を持たない衛生兵としての戦地での描写に費やしている。戦争映画と言えど、意外や戦闘シーンはほとんどない。と、なにやら、ほんわかムードになりにし時、急に沖縄戦に入る。これが、何と、あまりに激しいのでギブソンの後ろに潜む企みを垣間見る。
実話なんだったら、ラストの居残り平和活動は良しとしよう、か、、。まるで人間業ではない神にまがうような行為なのだから、そのまま受け止めようか、 . . . 本文を読む
サザンシアターの支配人の当麻氏が脚本を書いた劇であります。でもこれが期待以上に結構面白い。何かヨーロッパの女性映画を見ている感もある。
結婚願望の強い女性が周囲を惑わしていくコメディである。男もいないのに結婚をしたくて式場を予約する。さて彼女は言わずもがな、あわてふためく婚活をせざるを得なくなる、、。
話の展開がベタでなく、最後に一つ二つ、ひねりを利かしてアッと驚くラストとなる。ストーカーの男 . . . 本文を読む
演劇公演というよりファンへの感謝祭といったプログラムです。そこにはダンス、コント、唄あり、もちろん愛すべき娘の思いを綴った芝居もあります。全部で10篇。とてつもなく楽しいです。愉快です。舞台がファンと一体となっております。
子供も劇に参加していて観客も実際子供たちがいる。珍しい光景である。なにか、昔子供たちとよく行った百貨店の屋上での怪獣ショーの面影もあります。
充実した2時間20分。やはりフ . . . 本文を読む
昔「白バラの祈り」という大学生たちのヒトラー体制への抵抗を描いた秀作があったが、同様の感銘をこの映画はもたらせる。
ただ味わいが、この危険な抵抗運動を通して彼ら夫婦の愛情が深まってゆくところがすごいし、それは単なる抵抗映画にとどまらせてはいない。
ドイツの話なのに、全編英語で語られるこの愛の物語。ドイツの名優ダニエル・ブリュールにさえ英語でしゃべらせる。何か違和感を感じ始めて観た映画だが、これ . . . 本文を読む
これは面白いです。楽屋落ちの話もそうだけど、ちょっとした勘違いがどんどん大きくなって、もう爆笑の渦。2幕なんだけどそれらは相似形というか、いわば同時進行のパラレルワールド風で、とてもイカしてた。
僕は観客オンリーなんで、役者さんたちが当日の舞台の反応をどう考えてるのかがよく分かり、なるほどそうなんだ、と興味深かった。
脚本がエンタメ一本に良く練られていて、観客がどうすれば喜んでくれるのかを研ぎ . . . 本文を読む
とても普通で、身近で、だれもが経験する出来事をまともに根源的に思考し、見つめ直した作品である。
男は演劇を志しているという以外はごくごくそこらにいる若者である。女も男に収入がないものだから、残業までして働く頑張り女である。子供も生まれるが、男が主夫をしていて家庭を支えている。
女はどうして結婚などしてしまったんだろうと、自問する。気を紛らわせるために夫の他に関係する男もいる。夫は演劇を続けなが . . . 本文を読む
思ったより明るく、変に号泣を許さない映画であります。ぺーソスがあり、クスッと笑うシーンも多い。けれど人間の終わりを見つめた作品である。誰もが一度は見るべき映画でもあります。
全然退屈しない。演出が流麗なのである。脚本も良く練られていて、無駄がない。それでもって、俳優陣がみな達者である。これで面白くないわけがない。
ラスト近くの、哀しみを共有する男と女が泣きながらセックスするシーンは驚きもし、感 . . . 本文を読む
劇は結構卑近な話を装い進行する。ラブホが舞台となる。そこにいる中年女性。受付をしているが、人生を捨てた風情でもある。うーん、これはと思っていたら、何と直球の女性の、女性による、女性のための演劇が展開されてゆく。
これは参ったなあ。男性の入り寄る場所がありません。題名の胎動も実際劇の最後に観客はしっかりと聞くことになる。女性の哀しさ、美しさ、強さ、それらがつぶさに何重もの輪になって観客に迫ることに . . . 本文を読む
いやあ、3時間近い長丁場だったけど、全然大丈夫だった。久々の拾い物の映画です。
父親が娘を仕事場までストーカーに近い行動に出るという前代未聞の映画で、型破りの映画でしたなあ。最初は何だこりゃあと思ったけれど、だんだんいとおしくなる展開はドイツ映画の力量を感じました。
それと、映像の合間に見える、ハンガリー国の資源国なのに、ドイツに搾取される構造を皮肉って、それを真正面から堂々と映し切って見事。 . . . 本文を読む
70分程度の劇である。但し、通常の劇のように俳優が奏でるセリフを全部理解しようとすると、とてもしんどくなる。難解な劇に思えてくる。だから僕はしばらくして、この劇は死ぬことを意識した男の走馬灯のような意識の流れを描いた作品だとした。
そうすると、なんだかすごく俳優の感覚がこちらに流れてくる。ポエムだと思えばいい。美しい。時どき、下品な言葉も聞こえてくるが、気にもならない。卑猥な言葉にも詩情がある。 . . . 本文を読む
旗揚げ劇団だという。初日前日に主役の俳優がけがをして、急遽秀麿氏が代役をやる。秀麿氏は作、演出、主演と3役を行ったことになる。劇団側はこの代行で料金を下げる。
さて、劇はというと、これが思いもかけず秀作なのである。110分の長さ。カルト的なミステリー劇を最後の最後まで息もつかせぬ見事な脚本で乗り切った。この劇は、ほぼ脚本の出来で左右されるミステリーだ。
「特務情報保護下協力調査法」という特異な . . . 本文を読む