いわゆる難病ものなんだけど、そこは現代版、明るいわ。限られた時間をどう生きるかなんて人生訓のようなものはなく、どういう状況でさえ、人間は恋もし、愛も知る。そしてそれが短い時間であれ、濃い密度で人生を知ることもあるのだ、と言う。
悲しい話なのに涙を出させようとする演出でないのがまずいいね。そこらの元気な高校生たちよりずっと彼らは青春してるよ。この脚本のいいところは、彼女の病態を観客はハラハラして見 . . . 本文を読む
この日本版題名はそぐわない気もしないではないが、映画の出来は実に素晴らしい。そこには社会から見放され、いつの間にか孤独死を迎えた人たちへの深い敬愛の念が感じられる。
パゾリーニは底辺で生きる、普通に生きていることの本当の人生の意味を再認識させてくれる。
この映画を前にしてストーリーを追うことは賢明ではない。淡々と仕事をこなすメイは孤独死をした人の写真を、自分の部屋に持ち帰りアルバムにしていたと . . . 本文を読む
なかなか現代では特異な題材であります。死者の生きてきた軌跡を胸に刻むために巡礼者のように各地を歩き続ける青年。それは現代の漂泊者である。
高良健吾の清楚な佇まいにより、かろうじてこの映画は品位を保っているかのように見える。そうでなければあの奇怪ともいえる祈りは「敷地外に出ていけ」と言われても仕方のない代物だとも言える。
また一方奇怪と言えば、井浦新の役どころはどうもこの映画に違和感を覚える原因 . . . 本文を読む
山下もあれよあれよという間に大家の風格が出てき始め、映像に無駄がない。昔だったらこの題材で、しかもド大阪を描くことになるわけだから、もっと遊びの部分があっていいのだが、きちんと映画というものを撮っています。あの自由な「ばかのハコ船」「リンダリンダリンダ」時代が懐かしい。
導入部。出所するポチ男の表情が冴えない。無表情だ。組に引き取られ、しかしすぐ誰かに頭部を暴行される。お決まりの記憶喪失。そして . . . 本文を読む
祝日で水曜日、だからかお立見って言われ、時間を変える。椅子に座るとカップル(男女問わず)が多い。上品そうなおばちゃまたち。なるほど、S・マックレーン、C・プラマー主演だったら映画ファンは安心して行くわな。
映画ではマクレーン嬢は74歳の設定。うーん、もうちょっと行ってなかったかい?プラマーは80歳、そんなものかな。(と思ってて帰って調べたら両氏とも5歳ほど実年齢は上だった)プラマーが若い。
ア . . . 本文を読む
予告編で楽しみにしていた映画なんだけど、そうでもなかったかなあ。この手の映画はやはり昔懐かしロマンポルノがうってつけだけど、この作品にはそのパワーもなさそうだし、、。
形式はかの定番、グランドホテル形式で、ホテルという設定が中身の濃い人間をあぶりだす仕掛けとなっている。
ところが、数種類のカップルの群像劇なんですが、なんやら古いんですよ。彼らの絶対持っている雄叫びが全く聞かれない、聞こえない、 . . . 本文を読む
こういうテーマは本屋であれほど積み上げられているのにみんな手に取ろうともしない。けれど映像ではハードルも低く、歴史に潜む事実をじっくり体験することができる。映画というメディアの有り難さを痛感する。
冒頭に長い字幕入りの説明があり、「国家の政策に純粋に協力しただけと言っても、その事実は一人一人が責任を問われる事になる。国家に尽くした日本国民は加害者であって被害者であった」。
僕は後段のところ「加 . . . 本文を読む
やはり読んでしまうこのシリーズ。なんでだろう。今回は3冊の古本紹介。でもそれぞれとてもウンチクがいいんだよね。ほれぼれするほど。本好きにはたまらない仕掛けとなっている。
おれと本筋を流れる今どきはやらない純愛のような恋愛。その初々しさがこんな老人にも溌剌さとそよ風を送ってくれる。
今回の手塚治虫と寺山修二には人生の重みまで感じ取る。すばらしい。6巻もすぐ手に取りたいが、もったいない。じっくり読 . . . 本文を読む
初めての劇団。舞台は高く設定したある田舎の古びた家の一部屋。敢えてわざと高く設定したその理由は分からない。一つ言えるのは俳優たちがその部屋に入るとき、また後にするときピタッと厳かに静かに階段を上り、下がるする。これは印象的だった。
四九日法要の後の話である。田舎に取り残された次男は兄、姉に対して少なからず胸に一物を持っている。田舎を出て行った兄姉たちは弟に家のことを任せっ切りにしている。そのくせ . . . 本文を読む
さすが年間映画製作数が生半可でないインドの映画です。映像カットも、音響も、音楽も、演出も皆それぞれ一流である。安心して見られる。ラストに至るまでの主人公の心情もじわじわ分かる構成となっている。
でもねえ、それがあまりに整然とし過ぎたせいだろうか、子供の時のあの原体験を克服する一人の青年の人生を垣間見るとき、何故か自分自身、定石通りに感動する状態にならないのを訝しがる。
そうなんだ、あのラストで . . . 本文を読む
原作はコミックなんだろうな。そのいいところが随所に出ていました。
この映画は2時間、観客を全く違う別の空間にいざない、そしてそこに監禁する。映画を見ている間は僕たちは全く現実のことを思い出さない。映像に没頭する。それだけの透明感、吸収力がそこにありました。
職人さんの話なんですね。でも某番組の「プロフェッショナル」なんかで感じる名人芸の極みのような人を寄せつけないものは存在しない。凛として何か . . . 本文を読む
今日も見た。そしてこの劇団の演劇をまた見にゆくだろう。今回は意外や内容的には軽すぎるとは思えるが、まあたまにはそれもいいだろう。
それにしても、とにかくメンバーが豪華。お気に入りの「突劇金魚」「匿名劇壇」「DanieLonely」から主演メンバーが出演。これはうれしい。しかもメンバーが大勢でめちゃ楽しめる(総勢17名だったか)。前回も大勢のメンバーで楽しませてもらったが、今回も入れ替わり立ち替わ . . . 本文を読む