学生演劇、もちろんみんな若い、若いからこそできる芝居もある。ところがこの劇、いたっておじさん風設定の怪盗黒頭巾こと朧小僧のお出ましだ。500年先の月よりの使者も駆けつけ現代風をアピールしているが敢えて昭和風時代劇ともいえる。
でも楽しいのだ。時間はゆうに2時間を超えるが、気にならない。俳優陣も総勢30人ほど。タテも練習十分、気迫がみなぎっている。敢えて言うと、後半がエンタメ十分なのだがが、前半は . . . 本文を読む
中国の現代の、しかし貧しき夫婦の物語。映る田園風景はミレーの「落穂ひろい」に思える。どんなに過酷な生活でも一握りの愛さえあれば人間は生きて行ける。この映画を見て、文明にどっぷりつかっている私はどれほど彼らに比べて貧しい暮らしをしているか、つくづくと身に染みることよ!これぞ秀作。 . . . 本文を読む
見終わってから沸々感動が広がる映画です。読後感が強く残り、原作が秀逸だと思われます。
全編をたどる子供時代からの二人だけの世界は同性愛的なニュアンスさえ覚えるほど濃密で、日々を生きるときの刻む音さえ聞こえるほど人生の叙事詩をずしずし感じる作品でした。
山を愛し、山に死すという題材は人生に例えれば、芸術に準じる人たちなども同様な生き方を奉じており、我々は文学、芸術を通してその世界を垣間見てきた。 . . . 本文を読む
総勢18人による架空の国の戦乱もの、というか全編ファンタジーゲームを見ているかのよう、目まぐるしく変わる話が一つ一つ魅力的だ。
私のような老爺からはヤング好みの演劇だが、それがとても分かりやすく見入ってしまった。それはみんなセリフのトチリもなく、練習十分だということ、さらに俳優陣のそれぞれの役割もきちんと描けていて、主役が何人もいるかのように多彩でもあることによる。
主役の3人は言わずもがな、 . . . 本文を読む
誰にでも同じ命題を突き付けられているような、やさしくしかし胸をえぐるような怖い映画だ。裁判の在り方、加害者と被害者の対照的でもある心の持ち方、それが接近してくることの人間としての沸騰点。いろいろ考えさせられる映画です。素直なラストがいい。 . . . 本文を読む
オゾンが久々に見せた本音の映画。愛の始まりから終わりまでを、ほとばしるように簡潔にしかもしっかりと強く紡いでゆく。もう愛する人の前では、親も娘も親友も何ものでもない。そんなストレートな気持ちを伸び伸びとわれらに伝えるオゾンの素朴さが素敵だ。
オゾンもうれしいのだろうが、我も清々しくさえなるほどにんまりとしてくる。ホントいい映画だ。D・メノーシェの演技は男優賞ものだ。
わが愛するR・シュナイダー . . . 本文を読む
設定、題名からどんな本格で奇抜なミステリーを読ませてくれるるのかと思っていたら、文章は平易で、展開も目ざといものもなく、平凡なミステリでした。期待外れと言ったら悪いけれど、他の力量のある作家にかなり追いつけなくなりそうですよ、下村さん。ひねりが後、3つ4つほしいところ。 . . . 本文を読む
ダルデンヌの思いが画面にみなぎっている秀作です。テンポがいい。映像が細やかで鋭い。二人の心の動きがなめらか。気づくと画面にくぎ付け。
どうして世界はこんなにも不条理なのかと自分に問いつつ、ドラマはあっけなく終わる。だからこそ彼らの思いは永遠のものになる。この映画を見たことを決して忘れない。ダルデンヌ、好調。彼は疾走している。 . . . 本文を読む
切ない心のときめきがこんなに愛しい、これぞ映画を見る喜び、人を見つめる哀しさを十分浸してくれる。たまにはこんな美しい映画を見て吾輩の薄汚れた心を清らかにしてくれるのは映画の持つチカラだと思う。映画、初心を忘れべからず。 . . . 本文を読む
学生演劇では既成の脚本を演じる演劇がほとんどだが、今回は立派にちゃんと脚本を書いた劇である。その本もなかなかユニーク。趣向も凝らして見栄えがする舞台である。雨蝶天さんはなかなか才能がありますね。70分、十分緊張感も切れず、いい舞台でした。
セリフ回しは少しぎこちない役者さんもいるけれど、でも聞き苦しくはない。何しろみんな大いに若い。その若さがあ全般的にこの劇のかさ上げをしている。パワーがあるのだ . . . 本文を読む
じっくり見られる最近にはない拾い物の大人の映画です。モロッコの映画なんですね。人間の表情でぐいぐい引っ張ってゆくその描写力、そしてありのままに生きることの意味を問う渾身のテーマはイスラム圏を超え、全人類的であります。
映像による小説的解釈も西洋的でまさに純粋ヨーロッパ映画です。でもだからこそ、ラストの震えるような遠吠えの声が心を揺らす。 . . . 本文を読む
ロバが愚かで悪しきしかし、しかし哀れで悲しい人間世界を神が俯瞰しているように見つめるまなざし、、。まさにブレッソンの「バルタザールどこへゆく」と全く同じです。でもやはりどこか違うなあ、、。
作家で違うのは当たり前だけど、見ている吾輩の年齢が大いに違いすぎるのも恥ずかしながら原因でもある。映画はこのように見るこちらからの環境によって大いに左右される。
こちらのバルタザールは恥ずかしながらロバの表 . . . 本文を読む
カウリスマキ以外でフィンランド映画を見るのは久しぶり。夜行列車のシーンが多く、最初は鬱屈した雰囲気が続き、見るのも嫌気がさすほどだが、そのうちだんだんと人間の温かさと陰影が出てきて素晴らしい。
フィンランドとロシアとの歴史的背景はあまり分か映画を通してそれなりに関係は理解できそうでもある。いい人間だと思った途中客からカメラを盗まれて、それが愛する女性との別離の兆候だと我々は気づくのだが、彼女の心 . . . 本文を読む
柳田国男の遠野物語を基本イメージに置いた山本ファンタジーというべきか、僕はジブリの映画を見ているような錯覚さえ覚えた。洗練されてる大道具、小道具を多用した視覚的美術、そして何より鍛えられたピッコロ劇団の面々、物静かで悲しいが確かな命のあしおと、それは人間への祝福のエールとなり脈々と続いてゆく、、。もうこの100分は至福の時間でした。
なんだかんだ言っても、この舞台の彩りが若く、透き通り、エレガン . . . 本文を読む
以前他劇団で上演したらしい演目です。内藤氏らしいいつものパターンだが、冒頭の水辺での事故もそれほど尾を引かないし、肝心の借金マニアのダメ先生もなんだかなあ、ピンとこないです。
それぞれの役者さんたちの演技はそりゃあよくできてます。でも今回は吾輩に迫ってくるものがちとおとなしかった感がします。テーマ性がいつものように前面に出していないように感じられるのは吾輩だけでしょうか、、?
この劇団は事務所 . . . 本文を読む