シリアスな演劇をやったり、コミカルなものも取り入れたり、バライティに富む実力劇団である。好きな劇団だ。
そして今日はコミカルで、ひょうきんで、途中ではダンスもあるエンタメ劇なんだが、そこは第2劇場、軽そうに見えさせて、実は真空の人たちを描く。
ペースにつられて軽くストーリーは流れてゆくが、主人公たちの行動の意味は結局不毛・不条理と化す。不思議な演劇。いつもこういう演劇マジックで、ポカ~ンと劇場 . . . 本文を読む
2編の演劇。最初のは何か日本昔話風で、なごめるかのようなかわいい感覚。
すぐ2編目になって、舞台は動化する。この劇が面白く大変収穫だと思った。話としてはこれも「むかしばなし」をう~~んと遡り、中世の説話物語風であり、それを現代によみがえらせた感じだ。
足元と頭側に座る神様という設定がとてもユニークで、話が進むに従いどんどん盛り上がる。主役の男優のテンションもいよよ高まり、劇は観客も巻き込んで、 . . . 本文を読む
劇場は地下1階にある。90度近い階段で降りる。そこは昔の防空壕である。意外ときれいで、いい空間でさえある。
まず最初はネルマ氏のギターの弾き語りから。4曲のライブ。意外と静かな曲が続く。彼だったらもっとシャウトすると思っていたから、少々びっくり。劇の時と同じくきれいな高音だ。心の曲である。
後半は演劇。ある日常の数々。一人の男がこの世から消えてゆくのか、その時の時間が近づいてゆく、、。男は最後 . . . 本文を読む
2編あるも、僕が見たのは運命的なアイデア編。3,4つの話をショートショートにぶった切って、編集で変えたようなある意味、時間軸変更のごとく映画的な作品であります。
福谷独特の斬新で、しかもそのセンスの良さがスピード感を見出し、あっという間に幕間が来るも、その余韻と意味合いを考えている間に、舞台はもう次の話に邁進している。
まあ、それはいつものことなのだが、今回は初めての他劇団からの俳優陣の多出演 . . . 本文を読む
これはまれにみる快作。高校生時代って、純でいながら意外と世の中のこと分かっていそうで、でも実はいたいけな心しか持ち合わせていない時でもある。
そんな不安定で、さっそうと風に吹く時間の動きを見事表現してくれました。ミステリーとしても本格物として十分合格です。小説を読んでいて久々に涙を流してしまう大失敗をしたことを認めよう。
断然いい小説です。読後感も素晴らしく、言うことなし!
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久々の朗読劇2本。清水邦夫「署名人」は清水の処女作らしいが、完成度、劇のテーマといい、素晴らしく、震えるほどしびれた。
特に、へなちょこだと思われた署名人という不思議な職業を持つ人間の、政治的テロリストたちをも超える人間性を垣間見るや、人間を見つめるまなざしの厳しさ・やさしさに首を垂れる。すごい感動作であります。
秋元松代「ことづけ」は清水の作品がすご過ぎて、印象度がそれほどでもないが、それで . . . 本文を読む
って、何のことかって。
例のウイルス現象からすっかり人ごみに行かないようにしております。最初は心斎橋筋から難波界隈まで映画館に行くことが多かったのですが、まず行かないことにした。そしてさらに梅田界隈にまでそれは延長させている。
と言ってるが、映画館に行かないだけで、実際には演劇には所構わずあちこち出没している始末ではある。演劇場にはそういう人たちはいないと勝手に信じてる。
要するにC国人に接 . . . 本文を読む
7編の短編集だが、あっという間に読める。石持独特のミステリー采配があり十分読める。ただ、ここまで殺人を楽しくしてしまうようなストーリーは少々あざといかな、とは思う。あくまで彼の才能のなせる業なんだけど、、。
次作出ると、けれどまた読んでしまうだろうなあ、、。 . . . 本文を読む
ももちでは2作目。前作はラスト少々分からず、今回逆に期待を持って観ることに。
会場の広さ、俳優陣の多彩、映画へのオマージュ、音響の俳優によるアカペラ化(これがかなり効果を上げる)、そして何より地底人3号の脳内イメージの拡散という大胆なテーマ手法がぐんぐん我々観客の心をわしづかみにする。
もう圧倒的で、映画好きの吾輩はそこにフェリーニの8・2/1からはじまる映画の諸作品を感得し、俳優で揺れ動くモ . . . 本文を読む
明治27年、北海道江差に集まる出稼ぎ漁師たちの実生活から明治という時代性を問う野心作である。労働歌とともに彼らの内実が明かされてゆく。それそれの過去を抱えた男たち、この年は日清戦争が勃興するときでもあった、、。
戊辰戦争はもうこの年代ではかなり前のことだと思っていたが、人斬り〇〇と訳された男たちの苦悩が吐露されると、彼らにとっては全然過去のことではないことが現代人の我々にもショッキングであった。 . . . 本文を読む
登場人物の多さ。ぎっしり詰まった行間。何とも時間のかかる書物であるが、昔懐かしのぞっこん本格物で、俳句の見立て殺人、そして何ときっちり見立て通り短期間に大勢が亡くなるなど、ミステリー愛好家にはうれしい作品だ。
最後に明かされるトリックがどうもマヤツバものでどうもしっくり頷けないが、それでも最近関心薄されがちな動機をしっかり書いたのは好感が持てる。
ミステリーって、ただ人が殺されるだけではないん . . . 本文を読む
ラスト近くまで読みやすく、文字も大きいのかすぐページが進む。あまり考えなくていい進み方で、何かテレビドラマを見ているような感覚さえあります。
そしてラストに突如みんな集まり、真相が語られるわけでありますが、いかにもの感あり。まあ、面白いけれども、ちょっと作者の安易な書き方まで考えてしまう作りなので、下村ファンにはどうかなと思う。
でも、ブログを現代的に前面に押し出すのはなかなかだと思うよ。 . . . 本文を読む
この作品は以前東京で見て感心した覚えがあります。芥川の「藪の中」に似ていそうで、あれは誰が嘘を言っていたのか分からない摩訶不思議な世界でしたが、今回はだれもが嘘を言っているわけではない。3人の話、それぞれがみな真実だとしたら?といった感覚であります。
逆転逆転で、実に演劇的にも面白いし、3人芝居なのでじっくり彼らの演技も堪能できる。セリフも多いし、実はこの劇結構難しいのではないかと思う。でも、こ . . . 本文を読む
初めて見る劇団だ。名前は聞いていた。対面式の、長い廊下のような舞台に、3つの場面が交錯する。とても面白い設定でしかもストーリーが何やらミステリアスで、さらにシュールだ。うーん、この謎解きが僕にできるかな、なんて思っちゃう。
出演者全員、抑揚があり、メリハリが明確で、セリフの言い回しが一度ほど強い。こうして彼らの激しい心情がセリフを通して観客席に伝わる。練習十分の劇で、彼らの手ごたえを僕らがそのま . . . 本文を読む