繰り返し同じテーマを追求する北野の最新作だ。連続同テーマの最終作らしい本作、まあ今回が一番見やすかった。
映画作家っていわゆる81/2を撮りたがるものだ。作品の産みの苦しさは我々消費者(観客)どもには決して理解出来ない代物だろう。それこそ芸術というものはそもそも何なのか、という前に産みの苦しさが彼らの前に歴然と立ちはだかるのである。いわゆる作って何ぼなのである。何ぼの前に、芸術作品という価値があ . . . 本文を読む
いいおじさんが夢を持つってどういうことだよ、という映画なんだけど、実話のようでいてまさかそんなこと聞いたことないし、何か少々正真正銘のおじさんが乗れない映画でもあるんだよね。
年齢はおじさんだけれど、いわゆるガキがそのまま年食った感じのそんなイメージが何となくこの映画にあるわけです。大人になりきれてないといったら、じゃあ大人って夢をなくすことなのかい、って言われちゃうけれど、この映画の場合、まず . . . 本文を読む
ええ、そりゃあ驚きますよ。何がって? 日本映画で、絵本の世界がそのまま絵本を繰り広げるように映像で展開していくんですから。そりゃあ、びっくりしますよ。
そう、この映画は日本では珍しい絵本映画なのです。ひょっとしたら恐らく初めてなのかもしれない。こういうものをミュージカルにしちゃうと、どこにでもある映画になってしまうけれど、中島哲也はそこが優秀。きちんと映画の中の映画を絵本仕立てで自由奔放に表現し . . . 本文を読む
ノーベル賞作家マルケスが原作、ハビエル・バルデム主演の純愛映画という聞くだけで映画ファンは気もそぞろになります。ラテンの熱い温度が映像にどこまで出ているか、、。
ハナシは男が初恋を成就するために50年以上かけてじっくり女を待つという気の遠くなりそうな恋物語です。今で言うと完全ストーカーです。通常の女性であればキモ過ぎて恐ろしいホラーになりそうな話ですが、そこは文学に昇華させると大河のようなラブス . . . 本文を読む
30代の女性の生の声を聞かなければならない、男にとってはきついところがある映画である。でもある意味、女性の本音が分かるから勉強になる映画でもある。
原作が日本人であることは後で知ったが、まあ韓国でも別にそう違和感はない。女性の不倫に対する捉え方と、安定しているはずの主婦が自虐的に崩れていく様は、我々男どもには理解できない代物であるからにして、ただそうなんですか、と映像を眺めているしかないわけです . . . 本文を読む
驚きました。前半の部分はそうでもなかったんですが、後半の郵便局襲撃事件の顛末は石持浅海の狂的な部分を初めて見た思いがします。とにかく8人も次から次へと死んでしまうなんて、今まで彼の作品であったでしょうか、、。
しかも、全く無関係な罪のない人も非情に殺されるシーンも続き実は目を背けたぐらいでした。石持の中に何かの変化はあったのは確かでしょうね。それが何かが確かめたくなったほど、今までの作風と全く違 . . . 本文を読む
9/16
結構早起きしてしまった。休みだからゆっくり寝ていればいいのにいつもどおり起きてしまう。
電車、地下鉄と乗り継いで心斎橋に行く。アメリカ村のど真ん中にシネマート心斎橋がある。結構、いい映画をやってくれる。
まず「12人の怒れる男」。
アメリカ映画の名作のリメイクであります。ところが、そこはミハルコフ。設定は同じくとも内容は全く違えていた。面白いけれども、人間観がどうだったか、、。
気づいた . . . 本文を読む
出逢いがあれば別れもある。大きなサイクルで言うと、誕生が初めての人々との出逢いであり、死は最後の人々との別れである。そういう繰り返しを過ごし人間は進化し、今ここに僕たちがいる。
葬式は死者のためというより生者のための儀式である。残った者が心を癒すために営む儀式であります。だから、納棺もある意味生きている者たちのための儀式なのであります。誕生があれほど人たちから喜ばれ祝福を受けるのに、死が忌み嫌わ . . . 本文を読む
ファーストシーンから笑わせてくれたり、なかなかサービス精神旺盛なコメディです。でも映画が好きなだけでは秀作は出来ないものなんでしょうか、それほど新しさも感じず読みもそのままでした。
結構大勢の俳優陣に守られてサタケミキオってひとがいいんだろうなあ、そんな細かい愛情は画面の端端から感じることが出来ました。でも、今やコメディを語ろうとしたら、内田けんじ、佐藤祐市とか超才人が控えており、 その片鱗ぐら . . . 本文を読む
名作のリメイクとはいえ、これほど変質しているとは思わなかった。設定は一応似せてはいるが、現代のロシアというものを切々と訴えるその手法は驚きの一言であります。
前作は完全ミステリーだが、そこから魂の深遠にいたる心の叫びが感じられた。本作はそのミステリー部分をあっけなく捨て去り、有罪から無罪への立証に重点を置いていない。つまり、娯楽性には見向きもせず、というか前作から飛翔した政治ドラマを目指したかの . . . 本文を読む
なるほどそういうことだったのか、ラストに近くなるに連れてこの本の構成が分かってくる。うーん、ミステリーマニアの僕としてはとんだ失態だ。完全に騙されてしまっていた。
だいたい、被害者が一致しないんでおかしいとは思っていたのだけれど、ね。
でも、これだけの内容をあの分量にしてしまう作者の力量もしくは粘着力はものすごいものがあるように思う。貫井徳郎の快作であることは間違いないであろう。
ただ、僕はも . . . 本文を読む
多少秋めいてきた気候ですが、日中はまだまだ暑い。若い時は太陽にこれほど拘らなかったんだけれど、最近は電車の中でも太陽を嫌がってますね。
8日は朝は銀行で女子行員と1時間近くお話。ゴールド会員たるものを解約しに行ったら、それは問題なかったんだが、個人向け国債を定期から振り替えることに。大した金額じゃないが、時間がかかってしまい半日つぶれてしまう。
珍しく昼食を家で摂り午後天六へ。いつもどおりホクテン . . . 本文を読む
女性落語家の話って最近ではNHKの連続小説「ちりとてちん」でもやっていたが、やはり面白い。しかも美人の誉れ高いミムラが主演。彼女と落語とは水と油ほど合っていないイメージだが、どう演じるか、、。
この映画の超面白いところでもあり、逆に欠点ともなり得るのが次々と変死を遂げるといういわくつきの禁断の噺「緋扇長屋」の取り扱いであります。冒頭からミムラの出世話だろうと安心して見ていると、いつの間にか「緋扇 . . . 本文を読む
外国人から見た東京の素朴な姿を現代人を通して自由に見る、というテーマなんだろうけれど、それぞれ面白いものを見せてもらった。
3人とも東京というより大都会に閉塞感を持っているのが共通している。狭い。行き場がない。太陽はあまり射さない。なにより自分の居場所がない。暗い日常。
これって、立派に今生きている現代人の、我々の日常以外の何者でもない。今や世界が縮こまってニューヨークでもパリでもましてやソウ . . . 本文を読む
題名の通り主人公が何回も殺されるんですが、まあプロットとしては新鮮だし映像も動きがあり面白い。ただ、ストーリーと展開が慣れるまでに時間がかかるし、あまりにも突飛な内容だけに、最初は何が何だか分からない。
しかし、映像的にも結構斬新だし、映画の可能性を思考する野心性は鋭いものがある。こういう何かに挑戦するような映画は好きだね。何か最後までうまくまとめられた気がしないでもないが、そこらの映画にはない . . . 本文を読む