キノカブキ、5時間。大きなホールで、また若き役者たちの熱演でまさに疾風怒濤の熱き力がずぶずぶ体に入り込む体験をする。
歌舞伎が苦手な僕でも十分面白かった。歌舞伎だから5時間は仕方がない。でも当初大丈夫かなあと疑問符がいっぱい。
演劇では5時間は僕の最高記録だ。それが、途中休憩が2回あるからこれがいかにも歌舞伎風で、内容も娯楽いっぱいで難しくなく、それなりにストーリーも通俗的と言われればそうだが . . . 本文を読む
高橋恵作、上田一軒演出と、関西一流の演劇です。あとは、俳優たちがどこまでできるか、、。
といった不安はすぐ解消する。とにかく、娯楽的で、テレビドラマを見ているように面白く、登場人物も多彩であり、皆小さな悩みを抱えており、だからこそ欲望も強くなる。そんな彼らの行動を裏側から見ているような面白さ。たまらないです。
山崎豊子の「女系家族」を思い浮かべるような面白い展開で、観客は2時間の時の流れを忘れ . . . 本文を読む
特に目新しい題材ではないが、特色だったのは俳優たちが全編90分、とにかく走る。走り続ける。ランニングをするということは人生走り続けるということなのだろう。そんなことを感じながら劇を見る。
話は他愛ないまるでお伽話のようなゲームっぽい学生演劇でどこか見たことのあるようなもので、若い集団だということがわかる。ハートスターを追いかけて、みんなが走り、集まってゆく、、。
私のごひいきは川田氏であるが、 . . . 本文を読む
90分、コント風ギャグ連続の、風変りさが持ち味の面白さ強烈な劇団です。総勢、客演も含めて24名。その客演も一流どころ。客席はやはり満杯で、くすくす笑い爆笑が全編にたなびき渡る。
初めて見る劇団なので、誰がこの劇団の人かもわからないまま見ていったが、まあ知ってる人もいたし、かなり均等に俳優陣を使ってる。大熊氏はちょっと自己中毒気味のお披露目だったが、でもお得意のマイムを入れ、楽しんでいるのがわかる . . . 本文を読む
いつも通り前知識ないまま演劇を見る。数あるギリシャ悲劇群のうち、「トロイヤの女たち」は映画、演劇で見てきた。話としては題名通りヘカベを中心にした人間ドラマである。
時代は3200年前の出来事、現代に生きる我々はそこから何を得ることができるか、という普遍的なテーマである。戦争に負ければ王妃といえども、奴隷または愛人に落とされる。それは戦争というもののまさに正体であろう。
ギリシャ悲劇を見るという . . . 本文を読む
いろんな想念がぶつかり合い混濁し、そして明らかになるこの時間のひとかけら。舞台に立つ100万年後からこの誰もいない地球にやってきた人たち、地球の過去からのメッセージ、大坂米相場デリバティブ、シンプルな公衆電話、そして現在と未来過去をつなぐ手旗信号、、。
壮大な宇宙の渦に紛れながらただ一つ言えることは私が今ここにいるということ、在るということ、過去にあった中之島の島々・人々の営みを思い浮かべながら . . . 本文を読む
関西の小演劇でもこれほどスタイリッシュでセンスがよくカッコいい劇団を僕は知らない。最近見に行けなく久々だったので待ち遠しかったり、また以前と変わっていないかなど不安感もあった。
ところが見てみると、やはりいつもの大熊演出。プリズム多様といい、今回はウエハウスのグリーン版で、ものすごいことを舞台上でしてしまう。もう息をのむ展開。みんなようやるわあ。あれは若くないとできないなあ、ものすごいものを見せ . . . 本文を読む
一人の男の人生を脳裏に焼き付けたデータがある惑星に着陸した。それは宇宙を超え、永遠に語り始める、、。
なんて、壮大でまさしく宇宙ロマンであります。このストーリーを聞いただけで泣けてきます。子供時代の他愛ない出来事、女性とのロマンス、それらは何ら私たちの人生の綴りと変わらないのだ。彼が惑星で想い、語り始めていることはすなわち私たちの人生でもある。
ということは、人は死んだからと、残された人の記憶 . . . 本文を読む
ある町工場。大阪とともに工場も人間たちも疲れ始めている。屋上にある立派な庭園を老父母の要望でエレベータ造りにするため大改造することになる。今までの手作りの我が家の歴史、思い出、すべてが消えてゆく、、。
高橋はある工場を一つのモチーフに、人間の生きてきた営み、その喜び、苦しみを切り取ってゆく。
それらは観客の心と重なって融合し、舞台の終わり近くになったとき、自分の心が暖かく、そして濡れていること . . . 本文を読む
学生演劇では珍しい自前の脚本で舞台を仕立てる劇団である。若い人の脳裏にあるものを中心に劇は創造されるんだろうが、今回はだらだらしたある夏のSF研究部室から起こる空想劇を仕立て、見事にオモシロ演劇になっている。
その自由さがいい。のびのびと広がる若い人の特権のような青い空。そのまた奥を行く飛行機雲。そんな感じかな。大道具仕立ても立派。まず舞台を見て目を見張るほど。ほとんどの演劇部員が出演しているの . . . 本文を読む
困惑する題名。難しそうな気配。翻訳劇だろうなあと思ってみてみると、雰囲気はまさにそうで、けれどとても面白く作ってある。戦争という極限にいる者たちの平和と不安と時間のリフレイン。これはなかなかすごい!
衣装を風のたなびきに任せた演技が印象に残る。このシーンが中盤と終盤に2度あり、閉塞感の永遠性が示される。面白い。感動的。人間の営みの悲しさをよく表していた。
俳優陣は匿名劇団のお二人がやはりセリフ . . . 本文を読む
太陽ではなく月が全体のモチーフとなっているのがみそです。
登場人物はみんな繊細な神経を持った優しい人たち。どこにでもあるような、どこにでもいるような人たちが繰り広げるストーリーなんだが、逆にこういう設定の演劇が珍しいのか、本質の展開に入っていくのに時間がかかった。
中盤からは彼らの気持ちは手に取るようにわかるが、でも自分の気持ちがそこまで浸透できない何かを感じてしまっている。なぜだかわからない . . . 本文を読む
小さな劇場公演だが、中身はどっしり演劇臭が詰まっている秀作劇です。夫婦という仮面の中に息づく人間のもろもろの本性を暴いてゆくその手法はやはりアメリカ、イギリスの方が優れていますね。
この種の劇は映画化されているようで、この作品も「地獄のパーティ」として上演されたらしいが見逃している。古くは「ヴァージニアウルフなんか怖くない」など、作家は違えど、名作もあった。この作品のマイク・リーといえばイギリス . . . 本文を読む
シャンソンが全編流れる。何かノスタルジア多きバーでの出来事。登場人物が13人と多く、観客としてはそれぞれが消化できない感じもする。エピソードの積み重ね風演劇という設定だが、狙いはいいと思う。
でも90分位これだけの話を入れようとしたら、ちょっと詰め込み過ぎ感がないでもない。ラスト近くになってすべての真実がわかる展開だが、なるほどそうであるなら、ランタイムをもっと長くするか、それか敢えて何人かの話 . . . 本文を読む
ピーターパンのお話。だが、作が別役実だからまともなわけがないと思って、鑑賞する。そしてそれは当たる。かなりあちこちで別役の一流エスプリが散らべられているのだが、さすがこれは子供向けのミュージカル、それはそれほど目立たず、劇は進行する。
でも、だって、ピーターパンは少年ではなく、初老のおじさんなんですぞ。もうそれだけで、別役の意図がわかるというもの。全般において楽しかったけれど、やはり生きてゆくこ . . . 本文を読む