初めてのオムニバス版。とっても面白い。5編あるが、すべて泣ける。美しい。徳田さんが、今のままでも素晴らしいのに、さらにその先を見て新しい何かを常に考えているということは重要です。まずそのことを誉めたい。だからこの劇団は続くのだろうなあ、、と思う。冒頭のエピソードが最後にまた合致するその展開はとても素敵でした。いつもより橋本さん、役も重く、こちらも素敵でした。もう次作が気になり始めたいい劇団です。い . . . 本文を読む
やはり大劇団の演劇の能力は高い、ということを印象付けた作品です。
私には朝倉摂は舞台美術で成功した美術家という印象が強いが、舞台ではその半生はかなりユニークなお人だったんだあなあと面白くもあり、正直な人でもあり、なかなか苦難が多かったようだ。
俳優陣がもう十分これ以上ないという演技を見せてくれるので、安心感が漂い、不思議な安定感と充実感があります。素敵な人生を垣間見た気がします。
「山はどこ . . . 本文を読む
意味不明の題名です。舞台でもこの用語は出てこず、最後までわからず。セリフも高知弁なんだろうが、ちょっとわからない部分もあり。と言って、決してこの舞台をけなしているわけではありません。高知の都会から離れたふし工場の事務所が舞台です。方言はこの芝居では重要である。
ひとりあくせくしている女所長のところに若い空き巣男が紛れ込んでくる。この冒頭の設定が斬新で面白い。なかなか外に出られない男となぜかおびえ . . . 本文を読む
初めて見る劇団なのだが、なんと今回で20周年の記念作品だという。そして驚くべきは小演劇では僕にとって初めてというか、30人越えの出演者であること、またそのすべての出演者がみんな宝塚歌劇のごとく全員若き女性だということであります。
話は何か5,6個のエピソードを群像劇に仕立てた感があります。その間に見事な歌唱力のもとに打ち出されるダンスがある。それはもう見事というほかない。迫力満点、そして実に美し . . . 本文を読む
三島由紀夫の傑作戯曲二本立て。両方で4時間。この前、木下歌舞伎で5時間、今月末には一人芝居フェスで7時間、と体力試練が待っている。
さて、まず「サド侯爵夫人」、文学的、ちょい難しいセリフのオンパレードでちょい置いてけぼりの展開。(これはあくまで私の能力、の限界か?)おそらく原作をちゃんと読んでいないと分からないのかな?まさに三島由紀夫のきらびやかな世界観が充満しておりました。
次は「わが友ヒッ . . . 本文を読む
まさに平安後期武士の始まりといった時代。しかも所は東北平泉。藤原氏の前時代、いわゆる歴史でいうところの「前九年の役」あたりを題材にしているので、歴史的にはわかりづらい。
でもそれほど真面目に鑑賞しなくてもいいように面白く娯楽的に作っているので、十分楽しめる代物だ。なんといっても全員が、体を張ったかのような熱演。体から汗の息吹が見えんばかりの立ち回り。もう圧倒されますね。
ただテーマからはいまの . . . 本文を読む
緻密な計算の元に作成されたかのようなコメディであります。セリフが軽快でしかも考え尽かされているので、正直一つ一つしっかりと聞いていないとこの面白さはわからない。聞き逃すと次についていけないかのような何かがあります。それでいて、十分爆笑ものなのだから、この脚本づくりは僕らの恐らく想像できない苦労があるのだと思います。
日本ではこういう劇団はありそうであまりないかなあ、、。アメリカではこういうのは多 . . . 本文を読む
キノカブキ、5時間。大きなホールで、また若き役者たちの熱演でまさに疾風怒濤の熱き力がずぶずぶ体に入り込む体験をする。
歌舞伎が苦手な僕でも十分面白かった。歌舞伎だから5時間は仕方がない。でも当初大丈夫かなあと疑問符がいっぱい。
演劇では5時間は僕の最高記録だ。それが、途中休憩が2回あるからこれがいかにも歌舞伎風で、内容も娯楽いっぱいで難しくなく、それなりにストーリーも通俗的と言われればそうだが . . . 本文を読む
高橋恵作、上田一軒演出と、関西一流の演劇です。あとは、俳優たちがどこまでできるか、、。
といった不安はすぐ解消する。とにかく、娯楽的で、テレビドラマを見ているように面白く、登場人物も多彩であり、皆小さな悩みを抱えており、だからこそ欲望も強くなる。そんな彼らの行動を裏側から見ているような面白さ。たまらないです。
山崎豊子の「女系家族」を思い浮かべるような面白い展開で、観客は2時間の時の流れを忘れ . . . 本文を読む
特に目新しい題材ではないが、特色だったのは俳優たちが全編90分、とにかく走る。走り続ける。ランニングをするということは人生走り続けるということなのだろう。そんなことを感じながら劇を見る。
話は他愛ないまるでお伽話のようなゲームっぽい学生演劇でどこか見たことのあるようなもので、若い集団だということがわかる。ハートスターを追いかけて、みんなが走り、集まってゆく、、。
私のごひいきは川田氏であるが、 . . . 本文を読む
90分、コント風ギャグ連続の、風変りさが持ち味の面白さ強烈な劇団です。総勢、客演も含めて24名。その客演も一流どころ。客席はやはり満杯で、くすくす笑い爆笑が全編にたなびき渡る。
初めて見る劇団なので、誰がこの劇団の人かもわからないまま見ていったが、まあ知ってる人もいたし、かなり均等に俳優陣を使ってる。大熊氏はちょっと自己中毒気味のお披露目だったが、でもお得意のマイムを入れ、楽しんでいるのがわかる . . . 本文を読む
いつも通り前知識ないまま演劇を見る。数あるギリシャ悲劇群のうち、「トロイヤの女たち」は映画、演劇で見てきた。話としては題名通りヘカベを中心にした人間ドラマである。
時代は3200年前の出来事、現代に生きる我々はそこから何を得ることができるか、という普遍的なテーマである。戦争に負ければ王妃といえども、奴隷または愛人に落とされる。それは戦争というもののまさに正体であろう。
ギリシャ悲劇を見るという . . . 本文を読む
いろんな想念がぶつかり合い混濁し、そして明らかになるこの時間のひとかけら。舞台に立つ100万年後からこの誰もいない地球にやってきた人たち、地球の過去からのメッセージ、大坂米相場デリバティブ、シンプルな公衆電話、そして現在と未来過去をつなぐ手旗信号、、。
壮大な宇宙の渦に紛れながらただ一つ言えることは私が今ここにいるということ、在るということ、過去にあった中之島の島々・人々の営みを思い浮かべながら . . . 本文を読む
関西の小演劇でもこれほどスタイリッシュでセンスがよくカッコいい劇団を僕は知らない。最近見に行けなく久々だったので待ち遠しかったり、また以前と変わっていないかなど不安感もあった。
ところが見てみると、やはりいつもの大熊演出。プリズム多様といい、今回はウエハウスのグリーン版で、ものすごいことを舞台上でしてしまう。もう息をのむ展開。みんなようやるわあ。あれは若くないとできないなあ、ものすごいものを見せ . . . 本文を読む
一人の男の人生を脳裏に焼き付けたデータがある惑星に着陸した。それは宇宙を超え、永遠に語り始める、、。
なんて、壮大でまさしく宇宙ロマンであります。このストーリーを聞いただけで泣けてきます。子供時代の他愛ない出来事、女性とのロマンス、それらは何ら私たちの人生の綴りと変わらないのだ。彼が惑星で想い、語り始めていることはすなわち私たちの人生でもある。
ということは、人は死んだからと、残された人の記憶 . . . 本文を読む