評価しづらい映画ですね。感想は書けるけど、今までのようなノーランの流麗な画調があまり見られず、ずっと鳴り響いている音響だけがノーランだと知らしめています。
映画構成としてはオッペンハイマーとストローズの善悪の対比が見事ではある。色彩もカラーとモノクロ。ストローズを悪者に強調することでオッペンの罪深さを薄める効果はあるのかなあ。ほんとアメリカ的でもあります。
私が一番この映画を見てて、劇場全体が . . . 本文を読む
カフカ原作の迷宮作である。演劇、映画でも結構制作されているが、これは珍しく日本映画。さて、どう料理するか、、。
かなり予想していたものとは違っているなあというのがまず感想。カフカの片鱗が見えず、あの底深く見えない不条理というか不気味さがない。これでは審判が泣いている。この作品を日本で制作するという事だけでも意欲作ではあるが、、。 . . . 本文を読む
クロサワ作品のリメイクだが、思ったよりクサくなかった。この作品のテーマがストレートに伝わっている。さすが、カズオ・イシグロの脚本がいい。やはりこのテーマはほのぼの「絵に描いた餅」なんだが、それでも我々、人間である限りポジティブに捉えたい。秀作です。感動しました。 . . . 本文を読む
日本人にはわからないソ連圏の圧政時代を生き抜いてきた人たちの絶え絶えの息遣いがそこに聞こえる。もう老齢に達してしまった彼らこそまだ未来はあると考える。一つの国の過去と未来を覚めた感覚で見据えた遺言とでもいえようか、そこには苦渋とかすかな喜びが見える。 . . . 本文を読む
遺灰を故郷のシチリア島に埋葬してほしいという偉大な作家らしい男の遺言通りに運ぶ風景詩とでもいおうか。それぞれ映るエピソードはちと冗漫。時間感覚がタヴィアーニとは違うのか、長い。 . . . 本文を読む
マンホールの入ってから、脱出する手立てにかなり苛立つが、慣れてくると面白くなる。そして中盤以降思いがけない仕掛けが用意してあるので、なんだか二重におやつをもらった感のあるエンタメものでした。粗い所があるのは許せます。さすが、熊切! . . . 本文を読む
人生でも一番淡くいや一番強く人を愛することを想っている瞬時、それは青春のひと時だ。でもそれはあの桜の花吹雪のようにふわっと舞い散ってしまい、かすかにあとさきだけが残る。青春の美しさと強さと哀しみ、それを知りえるものだけが分かり得る珠玉の映画だと思います。 . . . 本文を読む
3人劇で、舞台装置も簡素、何気なくただ時間が空いていただけで前日に予約して見た演劇でした。テーマから観客は少ないだろうとは思っていたが、その通り、しかし思わぬ拾い物といえば失礼か、脚本が面白い。テーマもわが胸をえぐるか感じで物凄い感動編。
ラスト、あの平和な感じで終わるのかなあと思ったら、物凄い一撃。参りました。坂本氏は芝居の面白さを徹底的に追及しているお方とみる。まれにみる才能のお方だ。しばら . . . 本文を読む
外は雨。春の雨である。この雨がなければ本当の春は来ない。今日の演劇は雨の物語である。
学校の出来事を中心に親たち、子供たち、そして先生たち。不安定な時代に生きる我々の今どうあるべきか、を考える随分ストレートでまじめな作品です。
いかにも、虎本がこうあってくれたらいいなあという本音がビンビン伝わってくる。もどかしいがそれでも人は生きてゆく。そんな切なさも感じながら、舞台の方は雨が続く。
演劇を . . . 本文を読む
直球気味の現代青春劇だ。高校生とその教員、そして家族との関係の中から若い息吹を青空に放出させようと、一つのドラマが始まる。
同性愛をどうとらえるかでこの演劇はかなり違ったものになる。この劇の解釈のように周囲の温かいまなざしで青春を送られる若者もいれば、そのまま倦怠感に包まれ埋もれ落ちる人もいるだろう。
劇は前者を描いている。颯爽として、未来も輝いている。おそらく現実はもっと醜いことが待ち受けて . . . 本文を読む
この劇団では初めてでしょうか、何と朗読劇です。でもいつもの安心出来る出演者がそのままその役を演じられるので、とても情感あふれるハートフルな演劇となりました。
ほとんどがあの世とこの世とのつながりを描く演劇なのですが、あの世もこんなのであったらみんな現世で悩むことはあるまいと思い始める。
でも徳田さんはほんと、キレイな方なんですね。(心ももちろん見た目も)
純な気持ちをお持ちでなければこういう . . . 本文を読む
大きな立派な舞台。総勢30数人の出演俳優たち。あの井上の名作を若い人たちで上演するその心の息吹を広い舞台いっぱいからビシビシ感じる。
これは童話まいた形式にしているが、立派に社会構成劇であると思う。例えば、企業をする若者たちの物語だと思ってもいいし、政治活動を伴う行動を起こす集団のはなしだと感じてもいい。
あまりに楽しくて迫力のある舞台なので、気づかないがストーリー的には切ない悲しみさえ漂うも . . . 本文を読む
「私とは何か」という永遠の謎を解くために哲学はあるとも言われるが、それを堂々と真正面から映画でやってのけた骨太の傑作であります。
若葉以外は根っからの大阪弁をみんなものすごくひりひりするほど鋭くしゃべっている。これがまずド迫力を見せつけた。リアルでこの作品には欠かせない設定である。
自分がこの世に存在しているのに、なぜいるべき私がいないのか。紙一枚で私の存在がなくなることの強烈な事実。おぞまし . . . 本文を読む
わが敬愛する映画作家タル・ベーラ作品。前回の「サタン・タンゴ」が7時間の作品だったから、今回は2時間半、随分と短くなったと思った。そして相変わらずのカット数の少なさ。その分カメラは長回しになるが、俳優たち、そして多数のエキストラたちは一寸の乱れもなく、カメラに映りこむ。すごい。
これが20年ほど前に制作された映画だとは思わず、見ている間は最近のウクライナ侵攻を見立てているなあと思っていたら、もっ . . . 本文を読む
人類永遠のテーマ、愛とは何か?
このただ唯一のテーマを100分、ああでもないこうでもない、いろんなパターンを辿ってゆく、ホント破天荒な演劇です。若い人たちがこんなに純粋に「愛」というある意味哲学的な意味不明なものをしつこく追及してゆくその姿勢は大いに褒められていい。しかも完全自作だ。これはすごい。
愛という人間だけが感じている幻想とでもいうべき概念を若い俳優たちはセリフのとちりもなくこなしてい . . . 本文を読む