劇映画なのかドキュメンタリーなのか分からない演出方法に最初は面食らったが、再開発のための立ち退きを迫れている人たちの日常を、3時間ただ覗いている傍観者的位置を持続させることの苦痛とある意味映画的快楽を感じつつ、この映画史上でも稀有な作風を全面的に浴びながらこの映画を終えることが出来た。
映像はそれぞれ絵画的に決まっており、光をうまく使いながらの濃淡のタッチは絶品である。しかし、映像の中の人々が観客 . . . 本文を読む
ラスト近くになって急にストーリーが明瞭になるが、それまでの出演者の演技、演出力、映像どれをとっても学生の映画作りの枠を超えていないと思っていたら、監督は映画好きのサラリーマンらしい。
そういう意味ではそれほど悪くない作品なのだが、やはり映画にチカラがないので見ている僕たちも映像と同様に流されてしまう感じだ。ただ、ラストにばらばらだったハナシが収束する展開はなかなか面白かったです。もっと練ればセンス . . . 本文を読む
変わった映画だなあと思っていたらエンディングを見てアンドリュー・ラウ作品だったことに気づく。そうか、あの、インファナル・アフェアシリーズを香港でなく、ハリウッドでやるとこういうタッチになるのかな、とかなり驚いてしまう。
ダイナミズムが消えて、サイコ調のオタク犯罪(へのアメリカ追求)というか、アメリカの感想、スケッチがまずこの映画に現れているのだろう、「セブン」の気分を出したかったのかなあ。
少々小 . . . 本文を読む
映画ではあるが、技術的にはまだまだでカメラワーク、映像のつなぎ、演出などすべて青臭く、ハナシも教育映画のようでちと無理がありますなあ。
素人が撮ったかのような映画なんですが、まあそれでも鑑賞には堪えられるものにはなっているが、僕には長い1時間半でした。
でも、宝さんも孤児だったなんて、いくらなんでもそんなことあの年になるまで知らないはずはないでしょう、、。見るべきところはないですが、周りのおばさま . . . 本文を読む
真夏の夜の夢、まさにそんな感じの熱い演劇だ。
みんな若く、ミュージカル風でもあり、映画のような映像も時たま入るという野心的な作風だ。面白いのだが、題材が感染症という伝染病で、話もどんどん病気が蔓延して移っていくので、少々キモイ。
まあ、観念的だと思えば、チャラけたところもあり、バランスはいいのだが、何故か乗れない。俳優のセリフ回しで、発声がそもそもしらけたたり、とちったりする人が散見され、熱中でき . . . 本文を読む
大の大林ファンであるであることを自称している我輩としては前作「転校生」で少し気を落としたものだから、この作品にはかなり期待して見ることになった。
客席は団塊の世代が大部分を占めており、少々泡を食う感じ。少々異様であります。というものの、ワタクシもじゅうぶん団塊しちゃってるんだけど、、。
映画のほうはいつも10分で大林の世界に入り込むはずが、今回は瀬戸際で踏みとどまっている。乗れない。説明過剰・前作 . . . 本文を読む
ぼんやりと映像を眺めていると子供のときの夕方の原っぱの草の群れが思い出された。田舎育ちでない僕は海だとか、山々に強烈なノスタルジーは感じないけれども、それでも年齢差を超えた子供たちの一体感というか、まるで親族のような結びつきには強く心を打たれるものがあった。
映画自体は山下は映像をさらっと描いており、深く入り込むことはしていない。すなわち、映像はすべてスケッチ風である。子供の時にはこういうことがあ . . . 本文を読む
女性らしい繊細で、優しいその水彩画のようなタッチが素晴らしい。結構普通している美大生から見た大人そうに見える男女の不確かな恋愛、そして自分自身も恋愛をしてしまうといういかにもありそうな普遍的な題材で、面白い。
主人公は黒子扱いなので、その恋愛も、一歩引いたところから眺めているものなのだが、抑えてばかりいるので、少々幼稚な恋愛にも思えてしまう。
まあ、ある恋愛のスケッチだと考えれば、かなり美しい恋愛 . . . 本文を読む
題名が変で、どんな映画かも分からない部分、損してるね。最初のクレジットからして、レトロ風の家族のあり方を見つめた映画なんだ。
登場人物が多く、だけどそれぞれ性格付けがくっきりと明確なので、すぐ導入部から各個人の細部に入っていける。このあたりの演出は見事だ。
何かストーリー的に「月の輝く夜に」がオーバーラップしてしまうが、アメリカでは今や珍しいファミリーものである。やはり現代アメリカでも、家族の核は . . . 本文を読む
内容は結構センセーショナルだけど、まああり得る話でもある。そうなったら身につまされる話だけど、、、。
映像が美しく、演出もうまい。4人の俳優もそれぞれ持ち味を生かしているし、なんら不足はない。でも、何か足りないなあ。何だろう。
こういう浮気話なんて言うのは、一瞬の熱病でもあるし、古今東西古めかしい素材でもあるのだ。現代でこのようなスワッピングを描こうと思うと、どういうのかな、何かひねりがいるよね。 . . . 本文を読む
イスラエル映画だ。なぜ戦うのかなんてことは一言ものたまわない。戦争の実態を淡々と描き続ける戦争映画なんだ。
ただひたすらに負傷者、死者を運ぶ描写が繰り返される。その執拗さは観客に忍耐を求められる。そのうち、観客は自分が戦場にいるような錯覚さえ覚えて来る。
これが戦争で、その戦場の実態である、と、、。
戦場の日常をさらりと表現してしまうその達観さには驚くが、しかし一定の距離感を置いている。リアルだけ . . . 本文を読む
思っていたよりいいドラマだったと思う。しかし淡々とした地味な話なので、これを秀作にするにはかなりの意気込みと演出が必要とされるところ。
それは主演チョン・ウソンも分かっていたのだろう、今までにない演技を見せている。それは作った演技なのだが、彼にしては自然演技からの脱皮と言えるものであった。野良犬に徹したマヌケの振り、パンツ姿での決闘格闘シーン(ちょいみっともないなあ)などはその最たるものであるだろ . . . 本文を読む
B級映画とは言えど、かなり観客へのサービスを露骨といえるほどしてくれている。
まあ、しちゃめかな展開で、先行きが予想できないぐらいだが、アドレナリンを増幅させるために爆走しているジェイソン・ステイサムの鼓動さえ聞こえてくるぐらい、テンションがハイで一定しているので、観客としては気を抜くところもそれほどない。
それにしても、よく人を殺してくれるよね。でも、何であれほどの行動を起こしていて警察に捕まら . . . 本文を読む
サスペンス映画なんだろうけど、新味のある映画ではなく、いい意味で言えばオーソドックスなんだけど、俳優も、脚本も、映像も、ほとんどが安手作りの映画で、なんか気の抜けたビールのような感じって言うとかなり失礼でしょうか、、。
やはり90分をそれでも持たせているのは主演のカミーラ・ベルの若々しく妄動的な美しさでしょう。くっきりとした直球勝負の美女であります。久々に見るこれこそオーソドックな美女です。まあ . . . 本文を読む
とにかく若い面々での旗揚げ公演。かなり舞台経験のある人もいるだろう、一方高校演劇以来の人もいたという新鮮な面々での舞台だった。
ストーリーは村の戦争と8年後に至る現代とを融合したポエム的な話です。こういう系統の話は舞台劇では結構取り上げられている。あ、またか、例のやつだな、と思ってしまう代物である。
しかし、音楽、音響は秀逸で、俳優もみんな若く生き生きして動的である。真夏の舞台で見るにはちょうど良 . . . 本文を読む