劇場に入った瞬間から普通の「舞台」がないことに気づく。丸椅子が一杯散らばっていて一体どこに座ろうか。ひょっとしたら観客一体型劇だったら、なるべく参加したくないので中心から離れた方がいいのではないだろうか、とかつまらないことを考えてしまう。
一応中段に構える。丸椅子だからきつそうだ。始まり前の諸注意がいつものように語られる。でもこの舞台、何とカメラ、撮影は全然OKだという。たまにこういう舞台もある . . . 本文を読む
レヴィットの初監督作品、ということで渋谷で見て来ました。期待してました。ヨハンソンも好きだしね。斬新な映像を期待してました。レヴィットの作品だからね。でも全体的に枠からはみ出ることが出来なかった感がする。
題材はまあ古くも新しくもある性であります。性とポルノとかどう関係するのか分かりませんが、ポルノというより自慰中毒気味の男の性への格闘劇なんでしょうなあ、、。
そんなの、だいたいの男は自慰が幼 . . . 本文を読む
裁判官の検事への出向、弁護士への退官等希有な事象が目に付く。そして何より99.9%の確率で有罪化される判決の実態。それらを問題視するその姿勢は面白い。
でもなんかラストの法廷内の被告と裁判官の言葉で交わす愛の尋問は、興味深いけれど尻がむずむずする。マンガだったら感動するシーンだけれど、これは映画だからね、ちょっと厳しいものがあるよネ。
全体にひとつひとつのエピソードが嘘っぽいんだよね。例えば見 . . . 本文を読む
また最近顕著な事実立脚もの。いつも言ってるが、こういうのって事実そのものに関心が移り、映画本体がどちらかというとそっちのけになるんだよね。あくまで作品は映画そのものにあるはずだ。
まあこの作品で僕が一番感動したのはレンチが「それでもあなたを赦します」「赦しには苦しみが伴います」というセリフだった。
恐らくフリアーズの狙いもここだと思うんだが、アンソニーの生き様がかなり断片的で、心情があまり観客 . . . 本文を読む
現代では設定といい、テーマといい地味な作品と言えるだろう。高原に立つサナトリウム。時間さえ止まったような魔の山に若いひとたちが生きている。彼らは何を思い、何を考え、何を信じて生と死を見つめているのだろうか、、。
死を意識しながら毎日の時間を過ごしている患者たち。医師や看護師たち。そして患者に見舞いに来る友人たち、恋人たち、家族たち、、。当然ながら彼らすべてにそれぞれ固有の人生が存在する。
サナ . . . 本文を読む
当時の新女性たる与謝野晶子、宮本百合子、林芙美子が、飛行機ではなく鉄路でパリまで旅した心象を現代女性とリンクさせた野心作、という触れ込みなんだろうが、どうも心に食い入るものがないようにに思われた。
それは主人公である現代女性森あゆみが、何ら自分を吐露することなく、この3人とシンクロさせようとしているからのように思われる。森がどういう人生を生き、何を悩み、何を喜ぶのか、という根本的なことがほとんど . . . 本文を読む
普通の韓国映画、ラブコメだと思い例のごとくたまたまいい時間だったので見た映画だった。ところが話す言葉は中国語、え、中国映画なんだ、でも何か韓流漂うこの流れは如何に?
不思議な気持ちで見ていると、前半はラブコメ・後半は純愛直球勝負のこれまた完璧な韓流の本流のうごめき・ものすごさだった。
高校生の手弁当から始まる思春期同窓生の恋愛って強いんだよね。また、見ていていじらしく強い共感が持てるのもこの年 . . . 本文を読む
こういう映画って、映画の内容(この作品の場合は黒人差別)に囚われ過ぎて、事実を知ることの重みにまず動けなくなり、そしてそのことの意味を自分に問うことになる。だから作品の評価より、むしろ映画がもたらす事実に観客は懊悩することになる。
何を言いたいのかというと、通常の映画の評価より、黒人差別という歴史観がものすごく重すぎて、正しい映画評が出来にくくなる恐れがあるということなのだ。特に日本人の場合はこ . . . 本文を読む
まあベルリン映画祭で主要な賞を受賞、といえば映画オタクを標榜する僕は気になりますよ。そして題名は「グロリア」。あのカサベテス(奥方ジーナ・ローランズの映画といってもいい)の永遠作も同名。これを見ずして、、。
ファーストシーン、トンボ眼鏡を賭けた大年増女性(実女と言えばいいのだろうか)のクローズアップ。さて何か群がる男と女。ダンスホール。会場はでも何故かシニア年齢クラスが多い。日本で言うとケントス . . . 本文を読む
車に全く興味のない吾輩が、映画館という閉鎖空間の中で、思い切り躍動し、ライバルへの熱きたぎり、友情、生きる支えを痛烈に感じた文句なしの素晴らしき力作です。
映像がとても半端じゃないんだよネ。カっとからカットへの俊敏さ。どの映像をとってみても絵になる構図。冴えてるなあ。しかも話が命を賭けた男と男の闘い。とは言え究極には自分との闘いなんだけど。その厳しさ。
相手を乗り越えてこそ自分の生きる場所がそ . . . 本文を読む
学生劇団という触れ込み。ZAZAという劇場は初めて来たがすごく立派。関西でこんなところで演劇を出来る学生たちは幸せ者だろう。
学生だからというわけではないが、多少セリフのしゃべり方が浮いている人もいるが、まあ標準語できちんと話せている。
話は心療科の診察室から。切り口は面白いが、最近見た演劇の中では抱えるテーマが狭く小さいなあと思う。こんなことを現代の学生が本当に考えているとも思えないが、一言 . . . 本文を読む
冒頭の綿畑事件が衝撃的で、黒人がいかに人間扱いされていなかったこと、北部と南部でまさに思想の相違があったこと。それにしてもレストラン黒人席があったことは知ってはいたが、現実に映像で見ると、そこまでとは、、。
と、思ったより大統領版「家政婦が見た」ではないのである。意外と当たり前かもしれないが大統領エピソードが表層的で、でも考えたら執事だから表層的なのは仕方ないのかもしれないです。それこそ本当にリ . . . 本文を読む
最近活気がない韓国映画。あの一連の熱源はどこに行った!頭に血が上りさっと醒めるあのドキドキ感。それらが久々に戻ってきたような本作。文句なしの秀作である。
設定は「インファナル~」だけれど至るところでハラハラさせる脚本の妙。何回も推敲したんだろうなあそんなフンジョンの野心が溢れている。
テンポもさることながら、韓国映画独特のダレさが全くないのがいい。無駄がない映像。セリフに頼らず表情・小道具で語 . . . 本文を読む
朔子が湖に素足で入り、波間が輪状にどんどん広がって行くあのシーン。確かに美しい。そして物語も静かで何もないはずなのに、日常性の反世界を、薄暗くまるで悪意があるかのように奏で始める波紋、、。
この劇映画風でない茫洋としたドキュメンタリー風とでも言うべき撮り方は韓国の映画作家ホン・サンスにどこか似ていると思う。ごく近くの自然光景が題材であることも親近感がある。この作品は何気ない日常を映しながら、その . . . 本文を読む
前回の「気持ちいい教育」もすこぶる面白かった。だいたい劇の名前からにして少々世の中を見下しているというか、斜めに見ているか感じが濃厚で、そのため心地よく見られる演劇となっている。
そもそもポリアモリーなん言葉を知っている人がどれほどいるだろうか。どうしても観客はパンフレットを観る仕掛けになっている。(ぼくは見なかったけれど、、)
所々共産主義なんて今時流行らない言語も飛び交うが、女であれ、男で . . . 本文を読む