さすが、アラン・パーカー。難しい題材を信念を持って、しかも青年のもつはかなさまで夢に託し叙情的な映画になったと思います。
もう僕なんか忘れてしまったけれど、ガキのころは、鳥になって空を飛べたらなんて誰もが思うことですよね。そう、考えていたことまで忘れてしまっている自称大人も多いでしょうけれど、子供時分は人間と動物との境すら分かっていなかったはずです。
そんな、純真な子供のまま成長してしまった青年が . . . 本文を読む
シンプルな映画というべきか、プロットだけで支えられている映画というべきか、根幹は人間の生、死、老若男女、自然との営み、家族、それらがテーマなのであるが、言いたいことは分かるが、河瀬直美監督はまだお若いのである。
年齢が若いと言っているのではない。このプロットで一本の映画を作ろうとするのなら、劇映画では甘すぎると言っているのである。
ドキュメンタリー映画では映像で人生の一部を切れ端にすればいいのでし . . . 本文を読む
見るまでは題名がどうもストレート過ぎて引いていたのは事実で、気乗りしないまま見ていた。しかし、思っていたより、素朴な特攻隊の人々の描写にすぐそんな気持ちは忘れ去っていた。
視点が全く地平線を見るようにナチュラルなのである。一人一人の、ある意味死刑宣告を受けた人たちの心のさまよい、それを受け止めなければならない家族、世話をする人たちの話なのである。
この視点から映画を撮っているので、世間で言われるよ . . . 本文を読む
ほとんど新しさを感じない2番煎じが多いホラーであります。登場人物も極端に少なく、舞台もほとんど船上なので、低予算の映画だということは分かる。
でもね、あまり怖くないし、何も感じなかったし、何のために作ったのか分かりませんでした。一つだけ良かったのは、、
弟が兄を助けてくれたことかな。これはこの映画の数少ない褒めていいところだと思います。でも、でもね、ラストの、あの、何もなさはホラー映画と銘打つので . . . 本文を読む
内容から推し量るとキツそうなストーリーかなあと思いきや、結構エンターテインメント風の映画作りに、一流のメジャーの匂いまで感じ取るぐらい映画にはまってしまった。
自爆テロというとどうしても日本人の僕は神風特攻隊を思い浮かべる。当時海外でもその命をいとわぬ戦いぶりは、怖いと言うのを通り超えて、不気味で無理解の境地に行ったそうだが、僕も正直彼らに同じような気持ちを持っていたのだった。
しかし、その違いが . . . 本文を読む
ほんとに世界的にも独特な映像を見せてくれるツァイ・ミンリャン、またまったくほとんどセリフは見られず、ぽとぽつと観客は夢解きを強いられる。
でも、今回はまだ観客へのサービスが行き届いているほうではあるまいか、と思う。今までよりずっと分かりやすくなっているし、ラストにいたる霧夢によるガスのすごさ、水または水分の強烈なイメージ、誰かの絵画にもあるような睡眠のポエム、、。
結構楽しませてもらいました。
た . . . 本文を読む
何か女性小説みたいな展開で、男性の僕は、どうもみんな嘘っぽく、共感できるどころか、引きはじめて、ついていく気もなくなりましたが、それだったらセックスシーンぐらいサービスしてくれたらいいのに、無乾燥なシーンばかりで、作品の出来とは別に、退屈しまくりました。
主役のローラ・リニー だの、怪女マーシャ・ゲイ・ハーデンだの、おおよそ魅力に乏しい女優さんばかりなので、そう思ってしまうのかもしれないが、これば . . . 本文を読む
珍しいオランダ艶笑コメディーだ。それにしても、これほど内容のない、他愛のない題材をそれなりに持たせる演出力はひょっとしたらかなりのものなのかもしれない。
かなりきわどいセックス描写、大胆なヌード描写などサービス満天でもあるので、退屈はしないが、しつこいようだが、それにしても内容がなさすぎる。まあ、たまにはこんなのもいいかな。
. . . 本文を読む
この作品については前作との創作上の視点がまったく変質していることをまず挙げなければならないと思う。
前作は日本人から見た在日への視点が主眼であった。だが、本作ではまったく逆で、在日から見た日本人が基本であり、メッセージ色が強くなっている。。あまりに露骨に思ったのか、藤井隆を配してそれを多少薄めてはいるが、奔出している井筒の憤りはとどまるところを知らない。
そのため、観客がほとんど日本人であるがゆえ . . . 本文を読む
1作目もハチャメチャ楽しい映画だったが、今回も定番のヤクザとの勝負がある。
これが売りなのだが、相変わらずわくわくさせる戦いが用意されている。
役者が全員達者なので、内容的には結構深いのである。そのため、ラストに向かうにつれて人間的に同志的な気持ちになっていく過程がすばらしい。
次作が待ち遠しい。
. . . 本文を読む
恩田睦の作品はどれも密度が高く好きだが、この作品は少し散漫な感じがするのは何故だろう。書き込みが足りないと言うか、少々だれている感じがしました。
途中、「夜のピクニック」系かなあと思ったけれど、そうでもなく、ラストあっと驚く設定を持ってきたけれど、ちょっと無理かなあと言う感じです。
奈良への恩田の思い込みがリズムを乱したとも思える。結局奈良は何だったのしょう、、。
. . . 本文を読む
普通に明るいと思っている高校生の心の裏側をざくっと切り取った稀有のドラマだ。
ドキュメンタリー調にアレンジしているので、通常ある映画の楽しさと言うものからは一番遠い映画だろうけれど、思春期の一人一人まともに正面から見据えている。
ガス・ヴァン・サントの「エレファント」と似てはいる。時間軸をずらした映像手法はまさにそうだ。
ガス・ヴァン・サントが神の視点から高校生を総体的にでっち上げたのとは対象的に . . . 本文を読む
映像の美しさは特記すべきだが、少し酔っている節もある。でも、実際のエトランゼから見たアメリカのアリゾナの風景はこんなものじゃないだろうか、、。そんな思いで見ていた。
話は単純で、エンプティーなのである。3人の心象も俗っぽいし、映画的ではない。しかし、通常の人間って、こんな感覚なんでしょうね。そんな視点からただ漠然とこの映画を眺めていたら、内容はなくともそんなに悪くはないと思った。
結構、アメリカ一 . . . 本文を読む
戦後がまだ続いていそうな日本の庶民の生活がくっきりと浮き彫りになっている。
それぞれのエピソードはそれほど深くはないが、シンプルにまとめている。どうしても、上原謙夫妻の話しに重きが行くが、どうも設定が嘘っぽく、空言のようであった。
その中でも、芥川比呂志の明るさとかっこよさが目立っている。いい俳優である。
. . . 本文を読む
かなり農民一揆といっても今までの認識を新たにするほど理知的でむしろ非暴力的。まるで武士のような潔さに驚いてしまう。
まあ、これが真実かどうかは別としても、江戸中期の一揆と言うものはこうものであったかもしれない。
特にラストの打ち首以降は実に感動的。気持ちは250年前に戻るよ。
. . . 本文を読む