映像が相変わらずみずみずしい。どのシーンを取っても洗練されている。題材的には猟奇的な、目もそむける映画なのに、ファンタジーでさえある。岩井独特の詩がそこにある。詩とは死であり、ポエムであり、感情なのだ。そして青春でもある。
自殺志願の女性をうまく連れ出し、狂言心中をしながら女性から血を抜いてそれを飲む。しかし本当のヴァンパイアになれない男は若い女性の血を体内に取り込めず吐き出してしまう。滑稽なの . . . 本文を読む
最近実話をもとに、という映画が多い。となると、ストーリー的にこれは変、とか言いづらくなる。この作品も結構突込みが多いのだが、あれこれ言ってはいけないのだろうか、、。
時代は日本では明治初期のころの国家体制の強化が強いられていた頃で、この作品の舞台であるドイツの帝政時代となんら変わりはない。そういう意味で日本と同格化して僕は見ていた。
なるほど、父親の言うことは絶対である時代にこれに歯向かう子供 . . . 本文を読む
うーん、これは良く出来てる。前半の登場ヒーローの前触れがさすがこれだけ多人数だと整理するのに気を使ったけれど、いよいよ団結してからのくだりは見せ場が全員公平で立派、しかもCG超グンバツ、これを見せられ何をか言えよう、、。
よくあるオールスター映画という偏見はものの4、5分で消え去り、そこにはどっぷり画面に食らいついている自分がいる。レナーがあっという間に敵陣に入りしばらく出番のないのは寂しかった . . . 本文を読む
冒頭の一夜を共にした男が女に一人じゃないと眠れないから、と夜中に追い出すシーンが印象に残ったが、だいたい変な映画なんだよね。
五感がだんだん失われて人類が滅亡する過程を描いているんだが、発症するときに暴力的になるだの、作りものとはいえ浅墓過ぎる。ふたりの男優・女優を見ていればそれでいい映画なんです。映画館で観なくて良かった。
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娯楽作でここまで緊密でめちゃ惹きつけられ見ている間の一秒一秒がいじらしく感じられる日本映画ってそうないです。いい俳優、いい脚本、いい演出そして映画への愛が溢れていれば秀作は誕生する。
映像はスタンダードで、特に美を追及はしていない。映画の基本は脚本・演出・演技だと言っているようなそんな宣言を感じるほどだ。
演劇に所属するも何をやらしてもダメな青年に演技派で小憎らしいほどうまい堺。彼が徐々に演技 . . . 本文を読む
キアロスタミから見た日本というツールを通して現代を映す野心作だ。これは絶対にキアロスタミでないと撮れない彼独自の感覚が溢れている。しかし一方、全体的に彼一流の余裕を感じる作品でもある。
冒頭、どこからか聞こえてくる女の声。ケータイらしいが、それは映像に嵌まらない。画面外に居る女だ。しかし映像は延々と喧騒なバーの入れ替わり立ちまわる客などの姿をいかにも意味あるがごとく映している。
観客がいろいろ . . . 本文を読む
いやあ、設定が葬式をしなくなった日本。ある県だけが特例で直葬でなくともよくなっている。そのある県でのある葬式会社の葬式の光景。
これは面白い。ミステリーとしては最近は題材も必要条件なんだと納得させる内容だ。
「父の葬式」、「祖母の葬式」、「息子の葬式」、「妻の葬式」、そして「葬儀屋の葬式」。
最近これほど興奮し、ページを繰ったことはなかった。最終章のあの一転、二転、三転する超強力などんでん返 . . . 本文を読む
僕らが西川を女性監督だという意識を持ち過ぎなのかな、見ている僕らはやはりどこかでこの作品に女性の意図を感じてしまうのだ。
男でも女でも別個の人格をもった人間を支配することなんてことは本来出来ないのである。でもこの映画の女は、ふたり共通の目的を持って生活して来、それが壊れ、そしてそれに夫の浮気が伴ったとき、(カネあり)女に、ある意味復讐するために夫をツールとして使い結婚詐欺を企む。男は妻の企みにそ . . . 本文を読む
夫婦の別離の話である。男はぶきっちょな朴訥な男であり、女は刑に服している男に会いたいがため慰問の形で訪れる場末の歌手である。そんな二人が夫婦になり、しかし永遠の別れを背負うことになる。
女は口頭で伝えることなく死後伝達という不思議な方法で夫に自分の散骨を伝える。不思議だなあとは思うが、夫に面頭向かって言えない遠慮のようなものがあったのだろうと思う。
男にとっても女にとってもほぼ人生のラストウォ . . . 本文を読む
オープニングのあの映像群はやられたね。本当にこの作品がファイナルであることを思い知らされた。何だか哀しいよ。と感傷にふける間もなく、あれ、ご両人が夫婦で店出してる、、うまい展開。ノらされる吾輩。
と、出だしはすこぶる快調。でも、何かあの発注ミスの大量ビールだの、湾岸署内の日常は、いつものお笑いがちょっと空振り風。僕の感じ取り方かもしれないが、何か全体にしんみり気味に思われてしまう。からっと明るく . . . 本文を読む
正体不明の工作員上がりらしい【ユン・ゲサン】の風貌はこの寓話に似つかわしい。監禁ルームで愛の成就がなされるキスシーンはほとばしる愛を描いており秀逸。でもそこからが全く駄目。
後半は北と南の工作員同士の葛藤が描かれるわけですが、言いたいことは分かるがあの 多人数乱れる相対シーンはまるで幼稚でいただけない。
ラストシーンのお決まりごとの納め方もあまりに陳腐で、今時映画をそんな風に軽く見ら . . . 本文を読む
冒頭の人体発火シーンは面白く期待させるものであったが、刑事と新米女刑事との葛藤、連続殺人の真相、所轄刑事同士の関係等、すべて中途半端でいくら狼犬を登場させてもただただ凡作になり下がって行く、、。
恐らくこの映画は僕は1週間で忘れ去る作品だと思う。名優【ソン・ガンホ)をもってしても俳優だけでは質を高めることが出来ぬ事を知らしめた作品と言えようか。最近の【ガンホ】はもっと作品を選んでほしい、と思って . . . 本文を読む
映画を見るとコメントを書く。ここずっと実はこれが苦痛になっている。なるべく見た週に処理するようにしているのだが、大変なのである。どうでもいい作品は気軽に書くことができるが、いい作品に出くわすと躊躇してしまう。その感動を伝えたい何かが生じるのである。これでも昔は見たその日にはコメントを書いていた律儀者だった。年と共に堕落しているかなあ、、。
9/10。朝から心斎橋のシネマートへ。この映画館は六本木 . . . 本文を読む
ブルジョアと移民層、肌の色、生活レベル、文化、そして身体障害者・健常者の違いをもってしても、友情というものはそれらが何の障害にもならないということをこの映画は教えてくれる。
いかにカネがあろうと身体不自由の身となったブルジョアは、雇われ人の自分に対する憐憫、あざけり、ビジネスタイプの応対から人間扱いしてくれないことへ憎悪と共に締観の気持ちにまで至っている。
そんな時、自分を人間と認めてくれる型 . . . 本文を読む
『愛の残像』からはカラーになり、さらに愛を問う執拗な【ガレル】の遠吠えが聞こえている。しかし、いかにもとってつけたような、革命だの、ファン向けの映画撮影シーンもただただ空しく思えてしまうばかり、、。
彼の頭の中に存在する愛は幼児的であり、まさに観念的であり過ぎると言っても過言ではない、のではないか。実体がないのである。
そういえば【B・バルドー】に体つきが似て来た【モニカ】の美貌もこれほど内容 . . . 本文を読む