京都という古都に生きる老夫婦。夫は神祇装束司という京都ならではの芸術性を感じる職業。コーヒーを飲むための水を毎日近くの神社に汲みに行くのを日常にしている。
ふたりとも京都弁が見事。現代に生きている人と思えないぐらい美しい言葉を使う。言葉と同じように二人の愛も強い。信じられないぐらいの絆である。
こういう愛し合っていてどちらかが欠けると生きていけそうもないと感じている夫婦も実際多いと聞く。うらやま . . . 本文を読む
子供たちの小学校生活のみずみずしいこと。時代設定からすると40年以上前だと思えるのだが、ほとんどの家が貧しかったことなどは日本の僕たちの子供時代に通じる何かがあり、思ったよりその映像に入り込んでしまった自分を感じた。
そうなんだ、子供時代ってこんなに自然で、フラットで、感受性が強く、女の子を気にしやすく繊細だし、けんか早く熱っぽいし、こんな子供生活をそれなりに苦労しながら生きていたんだなあ、と思い . . . 本文を読む
この映画は大人がまず子供に戻って見られる貴重な映画である。言うなればファンタジー童話なのである。大人の気持ちのまま映像と対峙していても何も残らない。むしろ映画的なあら捜しをすることになりかねない。
童心に戻ると楽しさ、優しさ、童話を読む時のわくわく感が現れているのが分かる。
まあ、日本でいうと少女漫画風の趣もあるが、そういえば3人の美男ぶり、ヒロインの清楚さといい、どちらかというと女性向きに対象を . . . 本文を読む
オーソドックスな演出方法で安心して見てられる。あるカントリーミュージシャンの伝記もので、アメリカはこういうのが好きなんだろう、年に1回ぐらいは見る羽目になる。
「RAY」もそうだったけれど、相変わらずクスリにおぼれるのはもう慣れてしまっているので何とも思わないが、人間ができていないというか、まるっきり自己中なので心情的にこのどら男に寄せる思いはまったくといっていいほど沸いてこないが、それでもラスト . . . 本文を読む
5つぐらいのハナシが多少重なりながら展開していく。相変わらず露呈する人種差別、9.11、母親に愛されない息子、、。みんな心がクラッシュしてしまっているんだよね。こんなにすさんだ世紀末的な現代に生きている僕たちとしては身につまされるが、でもちょっとドラマ的過ぎる、というか作られている感が強い。
そんな中、ライアン・フィリップの青臭い警官は何故か親近感が残り一番自然のように思えた。検事夫妻のハナシが印 . . . 本文を読む
出だしからして粋だ。冴えない花売りに25フランでバラの花を買う娼婦。生き生きとした街並みの人々を写すカメラ。まさにフランス、大人の国。
男の子もませているが人生を知っている。
何と言っていいのか分からないほどすばらしい絵画のような映像。空。雲。
だが、男の子も真実の父親との別離を知らねばならなかった。
フランス映画の白眉。
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独立系の地味な映画なのかと思っていたが、主演、脇役もハリウッド系俳優で占められ全篇英語なのも少々驚き。演出スタイルもハリウッド系であり、見事にエンターテインメントを成している。
だから当然政治的内容には入っていくことはない。そこらの政治映画と違うところである。民族の対立を原因とする内乱なのであるが、ベルギーなりアメリカがどう操っていたかは全く触れられることはない。それだからこそ観客も気楽に映像を楽 . . . 本文を読む
いいドラマだ。何のてらいもなく現代でもまだこんな小さな大切なものを映画題材にしてくれた、その企画に感謝を述べたい。
内容的には韓流が香港に移った感じだが、生活観もよく出ており、二人が自然と結ばれる感じがとてもよい。そう、僕たちの普通の人々の目線での恋愛なのだ。そこが光っていたなあ。
その二人をつなぐミニバスがとてもいい。
また恋人の息子の存在もいい。
携帯から始まり携帯で終わる恋愛劇の題材もいい。 . . . 本文を読む
「音楽で人の心を開く」というテーマです。
隠遁のために生まれ育った村に戻った世界的指揮者ははじめてそこで本来の念願をかなえる、といったハナシなんですが、僕には少々優等生的なところが僕の脳裏で葛藤をしております。
いくらなんでも現代においてキリスト教の罪の意識を感じ取っている人がおりますでしょうか、、。
現代の若者が教会の聖歌隊に入るでしょうか、、。
とか、一人一人が歌によって自由に解放されるわけで . . . 本文を読む
クォン・サンウとユ・ジテのファンからすれば楽しい演技合戦。ストーリーも中盤からあっと驚く展開になるので映画的楽しさを倍増させる。かなり脚本に手が入っている。
クォン・サンウはむさい服装で勝負しているので、いつもとは全く違い、甘さが消えている。ここまでは努力しているなあという演技。
しかし、後半から演技にのりが出てきて凄みさえ見せる。これは思わなかった収穫。特に母親の葬式でこの映画でははじめて喪服( . . . 本文を読む
入隊当初は自由の国アメリカとは思えない軍隊式スパルタ教育。人間性の喪失から軍隊は始まる。配属先も初対面から札付きの悪ばっかり。という、なんでもない青年が戦争高揚心を持ちつ戦場に行くさまがごく普通に描かれる。演出も機敏で冴えている。
クェートに着いてから何もない日常が描かれるがまあそんなものだろう。このあたりは映画的でなくリアルでよろしい。
だんだん戦局が迫ってくるあたりから戦争の現実が目に前に迫っ . . . 本文を読む
かなりオ-ソドックスなホラーでございました。現代において、かく恐怖の毎日を過ごしている現代人において、なお且つ直球勝負のホラーは頼もしいばかり。その執拗さも筆舌に尽くしがたいほど。
弓があれほど怖いものだとは思いませんでした。完全な凶器ですね。うームムム、、。
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今の子供は死という実感をほとんど知らないという。家で亡くなるということがなくなってからどのぐらいたつのだろうか、、。昔はみんな家で亡くなったものである。葬式も家から出したものである。
だからというわけではないが、死が結構身近なものであったような気がする。
この映画はけれども死を描いたものではない。生を受けたものが死に行くのは当然であるが、絶え間なく映される空と冬の木々。それは生きているものの感覚で . . . 本文を読む
執拗に工作員に悪夢としてよみがえるミュンヘンでのテロの映像。ラストまで何回あったのだろうか、、。
これがこの映画のキーであろうと思う。やはり被害者意識なのである。国家の高揚を奏でるべきオリンピックでテロを受けるという屈辱。ここからすべて始まったといわんばかりに、、。
結局は彼らだってテロを実行していたわけであるし、テロに対してのテロの仕返しは何も生まないし、疲弊と恨みしかもたらさないのである。
ス . . . 本文を読む