映像がガチっと決まってる。静かだ。けれどその映像からは人間の蠢きが絶え間なく聞こえてくる、、。
これは何と言っていいのか、ラストの衝撃にしばらく席を立つことができなかった。映画では悪魔と言っていたが、人間が生み出す最も残酷で極悪なものと言えるだろう。まるでこの世の地獄だ。これが小説などではなく現実だということに私はおののいてしまう。
形を変えれば今起こっているロシアによる侵略も同種のものだとい . . . 本文を読む
久々の本公演。コロナ長かったもんな、、。そしてその2年間の鬱積をたたみ下ろすように若者たちは舞台狭しと羽ばたいている。
最初は小6のワンパクヒーロー仲良し組から始まるが、これがみんな意外と無理してない風情で、自然です。驚きます。川田氏も全然違和感ないから不思議です。もともと童顔だけど、でもそれだけではないね、ワンパク少年組に完全に溶けてます。演技力でしょう。
これが、中3、そして高3,それから . . . 本文を読む
一時代の演劇の基本柱を守りながら、なおかつ劇の面白さを追求し続ける劇団です。今回は客演の若手を含めると20人弱の出演数。とにかく舞台狭し、年関係ないやと全員が躍動する。その根本的な役者の営みに観客は元気をもらう。
ある安アパートの一部屋にいろんな人生が蓄積されている。そこに迷い込む一通の手紙。そこはかと人生の機微を醸しながらも運動会のような波乱に満ちた激動が蠢いてゆく、、。それでも窓から降り続く . . . 本文を読む
古書をめぐるミステリー。とにかく古書の世界とその作家に浸ることのできる素晴らしい時間を共有できるのがいい。
もうこのシリーズ全部読んだけど、いつも面白く、また登場人物も親から子供の時代へと、それも思春期なのでみずみずしい感性がこちらに伝わってくる。
今回は珍しい樋口一葉と夢野久作のドグラ・マグラ。本好きにはたまらない書です。いつも一気読みです。 . . . 本文を読む
白石、阿部サダと言えば「彼女がその名を知らない鳥たち」を思い出す。結構、メチャ面白映画と思ったが、意外と不評でしたね。でも僕は当時買っていた。で、多少期待しつつ見る。
原作がちゃんとあるのだから、内容についてはいちゃもん付けてはいけないのかな? でも、一番の謎、死刑囚が訴える立件のうち、最後の事件だけは俺がやってない、という解答編について、きちんと見てもやはりそうだねと頷けないものが残る。ここが . . . 本文を読む
みずみずしい、人生のなかでも浮き立つような色めくときの切り取られたトキを見せつけられるいい映画です。
少し目を離すとつじつまが合わなくなるようなあまり説明がない映像の連続なので、目をくぎ付けにしておく必要があるが、それでも通常の映画ではないことがすぐ分かる。ジョアンナの脳裏と観客は一体化し、流れは流麗である。それだけでも才能のある監督だということが窺える。
でも如何せん、私はこのような仕事とい . . . 本文を読む
冒頭からこの劇に集中できず、どうしようかと思ってはいたが、それでも彼らの意図が徐々に分かっ断片を繋いだかのような構成に慣れて来た。衣装は多少変えても、大道具等が何もないので気持ちが舞台に入って行かないのである。これがコントだったらそれでもいいのだが、、。
とはいえ、道具がなくとも立派に劇を紡いでゆくのが彼らの使命である。後半は彼らの気持ちが見事客席に強く鳴り響いてきて、劇場全体が一体となった雰囲 . . . 本文を読む
噂に違わぬオパンポンの実力をまざまざと見せつけてくれた怪作です。あの小さな芸術創造館を3場面に設えて、人間の狂気と弱さを描き尽くした感があります。とても秀逸で演劇の在り方まで問う方法まで強く感じ取りました。
あらゆる運命と呪縛を一身に受け止めていたかのような長男の生きざま、次男は普通の人なんだが、だんだんと呪われた運命を受け入れていくその緊張感と緩さ、たまりませんでした。三男だけが僕には少々理解 . . . 本文を読む
このシリーズ全部読破しているが、竜崎もいまや神奈川県の刑事部長。だんだん自由度が少なくなっており、その分今までのような破天荒ではないので魅力薄になるのは仕方のないところ。
今回は横須賀ということもあり、米軍が関係してくるが、まあそれほどでもない。本庁の伊丹刑事部長などのやり取りなどはさすが面白く、あっという間に読破してしまった。
今回の事件そのものがあまりミステリーっぽくなく、また息子の逮捕騒 . . . 本文を読む
なかなか凝った探偵ものです。主人公みどりが高校生から結婚して子供を産む年齢になるまでの5編の短編集です。
この小説には人間へのまなざしがやわらかで厳しくそれでいて読後感が素晴らしいものが残ります。最近、人が何度も死んだり生き返ったりする何でもありミステリーも多い中、こういうまともなミステリーに心惹かれます。読書の春にもってこいの小説です。
何と言っても凛とした強さを持っているみどりとその同僚が . . . 本文を読む
珍しい、沖縄戦争終結後の民衆の生活を描いた作品です。終戦前の7月までに住民の1/3が犠牲になった沖縄戦。その数は兵士より多いというから本当に特殊な戦争だったと言えます。映画はこの戦争後の住民たちの生活を描いていきます。
たまたま知り合った少年二人、そして父母を亡くした女の子との哀しいしかし貪欲な生活です。あまりにむごい生活の連続なので映画は少々虚構に向かいつつ、しかし辛酸舐めた彼らの人生を執拗に . . . 本文を読む
気になっていた濱口の長編もの(317分)を見る。映画館では3部作に分かれており、しかし映画自体がとても面白く、全然苦痛ではなかった。
30代後半4人の仲良し女性たちの生き方を掘り下げた作品です。冒頭はどこにでもいるような女性4人組の談笑から始まっている。ところが一人一人彼女たちの人生が掘り下げられてゆくその行き先は、、。
一言で言えば女性の社会的及び精神的自立をテーマとしている。それに影響され . . . 本文を読む
題名からロマンティックな、またはファンタジーものかなと思っていたが、全然違っていて連合赤軍のリンチ事件を基に置いた人間劇でした。この劇団でこういう出し物は珍しいので少々驚くが、前田氏作でないと知り、やはりそうなんだと納得。
Timeless Letterでは珍しいが、こういうものは他劇団では結構上演している。ただ、連合赤軍がらみというのは珍しい。現代の若者からすれば、ある意味この時代 . . . 本文を読む