いまどきこういう映画は珍しい。何故って一昔前のように、人間を斜めから、真上から、真下から、真横からそして内臓からえぐり倒し解剖していく映画の何と、またすごいことか。
3姉妹の話です。3人とも醜悪である。誰もまともに見ておれないほどなのだが、でもそのうち三女が半端でないほど強烈である。子連れの夫と再婚している。料理も作っているとは思えない。アル中である。
この三女が暇だと姉に電話を絶え間なくかけ . . . 本文を読む
ミステリー劇なのだが、まるで芥川の「藪の中」ごとく、真相が二転三転し皆目見当がつかない。こんな面白い劇を最近見たことがないので驚く。脚本が命と演劇ではよく言われるが、これはまさにそのもの。
演出も小気味よく、俳優陣も実にセリフをしっかり語る。練習もしっかりと時間をかけているのが分かる。そういう舞台と観客の緊張が2時間近く続くのだ。演劇の醍醐味である。
ラストでどんでん返しまであり、幕は下りる。 . . . 本文を読む
是枝の韓国版「万引き家族」と言っていいか、、。この疑似家族については正直テーマは理解できるが、一ファンとしては新たな感動は浮かばない。しかし相変わらず映画としては秀逸。次作に期待します。 . . . 本文を読む
好みの監督、阪本の新作だ。俳優陣は恐ろしいほどぎゅうぎゅう締め付けるように主役伊藤の周りにいる。伊藤青年はどこに自分を見つけることができるのか、、。
じっくり見させいただきましたが、最後までこの青年に感情移入するところがなく、弱り切りました。映画の主役でこんな性格付けというのも僕はあまり見たことがなく、かなり戸惑いました。それがあの大好きな阪本の作品だから余計困惑しました。
父親の周りの人間光 . . . 本文を読む
日本映画にしては題材といい、野心的な取り組みと感じられる映画です。この種の映画は映画館にいる人だけが、彼らを理解できるが、その他大勢の一般人は既成事実だけで判断してしまう題材と言えます。
昔観たフランス映画の「シベールの日曜日」を思い出す。元戦闘員と天涯孤独の少女との純愛。これを世間は犯罪としか思えず、男は銃撃を受けてしまう。
この映画、二人だけの極限の状況での孤高の愛の成就なんでしょうね。純 . . . 本文を読む
米澤の大ファンなのに読み残していた著名な短編集をいまさらながら読み解く。これは面白い。まさにホラーと言えます。
5編あるがすべて秀作。これほどわくわくさせるミステリーもまた珍しいであろう。米澤の才能をまざまざと見せつける。私のように見逃されている方はぜひ拝読を。 . . . 本文を読む
ポランスキーの新作。相変わらず映像はどこを切り取っても一流の絵画。もう感嘆するばかり。俳優陣も完璧の演技。お金もかけている。もう現代においてはこういう映画を撮る作家はいないのではないか、と思われる作品です。
けれど彼はこの映画で何を言いたかったのか。またはなぜこの映画を作ったか?
ユダヤ狩りの悪夢を脳裏に焼き付かせる子供時代。映画監督時代のシャロン・テート事件。そしてアメリカでの少女への淫行疑 . . . 本文を読む
まず60周年おめでとうございます。ものすごい数字だと思います。皆様の日頃の積み重ねがそうさせたと思います。
まず「ガタロ」。日本昔話のような素朴でしかし河童をモチーフに何やら人間関係の複雑さ・深さを揶揄させる内容だと思いました。
そしてそれが2幕目の「川向かう」に生きてくる。
かなり昔の話なのだが、もろ差別のことだとは思えないやり取りの中、この話の基底に流れているのが部落差別の話だと分かって . . . 本文を読む
作者の弱者への目線が素晴らしい。刑務所の中ってわからないが、看守がこういう人たちばかりであれば、どれだけ報われることであろうか、、。
ミステリーの形式を取ってるが、それは一部であり、普通の小説といってもいいような気もする。人へのまなざしが深く、澄み切っている。5編の短編すべてが感動ものである。
僕は4編目のジャズシンガーのお話しが好きだ。小説ではあまり泣くことがないが、不覚にも涙を流してしまっ . . . 本文を読む