面白かったというと、この映画の場合不謹慎だと言われるかもしれないけど、50年前のあの当時のデトロイトの事情を、冒頭からじっくり描いているのがいいね。制動感のある手持ちカメラも軽快でいい。
争点のモーテル殺戮事件で、ちとスピード感も落ちるが、でもねちねちしつこいぐらいの描写は、この部分だけで立派に一本のホラー映画になり得る。
最初、略奪をしている黒人青年を後ろから不本意に撃ち殺してしまったから、 . . . 本文を読む
んまあ、よくこんなことを考えたなあというのが正直の一言。4編のミステリー、それぞれが凝りに凝ったトリックを駆使している。ここまでトリックを考え出すのもすごいが、それを解き明かすのに本当は10倍以上の才能と努力が必要だろうが、、。
そんなことを考えてしまう。それで500ページ以上の分量。しんどかったね。
ミステリーファンの評判がものすごいので期待して読んだが、恐らくすぐ忘れてしまうのではないか、 . . . 本文を読む
110分、だらだら他愛のない会話が続き、挙句の果てには宴会のノリまで披露する市井の人々たちを描いた演劇である。うーん、でも今までの平田の作品群からは想像できなかった普通の人たちのよく見る光景であることよ。
最後まで平田の意図が理解できないままこの演劇を終える。こんなどこにでもある光景を見るために僕は演劇を見るためにわざわざ兵庫県にまで来たわけではないのになあ、なんていけないことを考えてしまう。
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うーん、レベル高いわ。前作と180度違う取り組み方に、その勇気に、その清々しさに目を見張り、自分自身高揚する。同じコメディでも、ここまで違うものなのか。繁澤氏の本物志向に拍手を送りたくなった。
僕の前方に貼ってあった「情報」と書かれた紙が剥がれて落ちてていた。係員が張り直す。しかしすぐ剥がれ、ひらひら落ちた。「情報」はこの劇に不要なのか、、。
二文字の紙の氾濫である。人間の口から言葉となり、そ . . . 本文を読む
6編の短編集なんだが、俳句のように凝縮した文章に徹し、無駄がなく、しかも読みやすい。長岡もいよいよ「刑事コロンボ」をはじめたのか、と最初ちょっと引いたが、慣れるとそうでもないことが分かって来て、面白さが増大する。
ただの短編集ではないところが長岡の才能の素晴らしいところであり、6編それぞれアッと驚く仕掛けが面白く楽しい。やはり凡人ではない。
特に僕が絶賛したいのは第五話「指輪のレクイエム」だ。 . . . 本文を読む
20年ぶりの再演らしいが、時代性を感じない実にみずみずしい作品である。寓話の体裁をしているが、ポエム劇である。終夜営業しているビヤホールで語られる人生の真実、、。
遠く離れたふたつの町。旅人と人形。遠くにある星と我らが住む地球。これらが象徴しているのは、対角線上にある国と考えてもいいし、もっと狭く人間同士と考えてもいい。もっと卑近に、男と女でもいいし、自分の中に潜むAとA’の人間であってもいい。 . . . 本文を読む
ヴェンダースの新作です。初期の作品群が好きな吾輩であるが、まあでも最近は見直していた。でも本作は考えてしまいました、、。
映像が主に二人の男女の会話を映す手段のみに徹底されており、映画とはそもそも何なのか、と観劇中ずっと思う。
昔、ゴダールが「東風」で採った方法と似てはいる。同じ映像が7,8分ストップしたかのように映るが、轟音のように鳴り響く演説の声がすさまじく、ゴダールはその政治的内容を伝い . . . 本文を読む
女性3人が入れ替わり人物を変え、(中には恋人の男性まで入る)それぞれのつぶやきをため息がごとく語る劇であります。ただ、65分の半分近くは前半のリフレイン(繰り返し)が続く。
がんきゅう女もそうだったけど、この繰り返しがただ続くっていうのは、何か意味があるのでしょうか。観客はセリフなんか結構覚えているし、同じセリフがまた語られるのは(ちょっと言い方悪いけど)ウザイ。65分なんだけど、結局30分の劇 . . . 本文を読む
なかなかどうして、演劇的なすべてが詰まってるいい劇である。タクシーの中で、脚本家と運転手がいろんな物語を創作し、その過程を観客共々楽しめる構成だ。
実際様々な登場人物が夢の中のように溢れるように出現する。これは演劇を作る方も、観客として見る方も、実に楽しく哀しく、そしてコメディなんだが、人生を深く感じることができる。
HEPという大きな劇場の割には大道具もまるで学生演劇のように質素だが、それは . . . 本文を読む
大好きなカウリスマキの映画。観る前からそわそわして、過熱気味。座席も一番前に取った。そして始まった。映像がここ最近の作品と違い、敢えて普通の肌合いに設定し、今までのような光と影を意識しないカメラワークが多用される。いつもと違う。
前半はどちらが主人公か分からない展開だったが、そのうち難民のカーリドに焦点を当ててゆくことが分かってくる。でも、ここでも敢えて、彼の内面には深入りはしない。今回は感情に . . . 本文を読む
成人の日のシーンからこの劇は始まる。みんなスーツを着ている。そして吾輩は小さくて狭い場内で有名なウイングフィールドにいるのに、スーツを着ている。何故か?
よく和服を着て入場すれば割引だ、なんていうのはあったけど、今回は和服だと1500円、スーツだと1000円割引になります。こんな特典を利用するのは生まれて初めてデス。朝から実はワクワク気味。
劇の方はというと、大道具も、小道具も舞台上には何もな . . . 本文を読む
これはなかなか面白かった。映像が1964年を意識していてか、ぐっと色調を落とし、しかしクリアーでどのシーンでも落ち着ける。美しい。映像は誰かなと思ったら、「英国王のスピーチ」「リリーのすべて」のダニー・コーエンだった。なるほど。
どちらかというと、思いがけず肖像画のモデルになってしまったアーミー・ハマーと同じく、芸術家のわがままに付き合わされる18日間の苦痛と退屈感を観客が共有せざるを得ない展開 . . . 本文を読む
前作「監視者たち」でいい味を出したチョ・ウィソク監督作品で、俄然期待したが、まあいわゆる韓国エンタメアクションの域は越えられなかったかな。俳優陣も多彩で、しかもフィリピンにまで範囲を広げた話題作だが、逆にこうなると演出が行き届かなくなるのだろうか、、。
やはり韓国映画は何か新しいものを出してほしいね。対日本映画に対してはそれが一番の見どころである。こんな展開だったら、日本映画でも金を出さないでも . . . 本文を読む
ミステリー短編集。5編あるが、表題作がちょっとミステリーとしてはどうかと思われるが、他の4編はすこぶる秀逸。感心した。まだまだミステリーは奥が深いなあと感じさせるものであった。
随分有能な作家が出現したものだ。ファンとしてほくそ笑んでいる次第。5編ともバラエティに富んでおり、この作者の将来を占うに十分な出来である。 . . . 本文を読む
年当初に見た映画です。ところがこれが想像以上にほっこり出来、いい作品なんだ。市井の人たちをクローズアップし、あくまで小さな生活でも大きな幸せを掴みとれる、そんな雑草の小さな根を思い起こさせる良作です。演劇の形式が色濃く残り過ぎてはいるが、、。 . . . 本文を読む