今週偶然見た映画が3作とも表題通り、親から捨てられた子供たちのを主人公にした作品であった。
「さよなら夏休み」は母親が郷里の祖父に男の子を預ける。そのまま少年時代を過ごすわけだが、自然に恵まれた田舎で充実した少年時代を送り、それが起業するバイタリティーになって行くといった青年の再生の話である。
小学校時代の友人が成人しても心を分かち合えるというのはちょっと信じられないが、この映画では少年の心の . . . 本文を読む
自転車の後部席から見える父親の大きな背中。ぬくもり。不思議と急に優しくなって買ってくれる靴。そして手にも持てないぐらいの大きなケーキ。しかし、その一瞬の幸せは父親からの最後の鼻向けだった、、。
親から捨てられるということ。まるでモノのようにポイ捨てされるということ。9歳の少女ジニにとってはぬるま湯から急に氷水を掛けられたような思いであったことだろう。父親は必ず連れ戻しに来てくれるはず。それを信じ . . . 本文を読む
いわゆる世に言うトンデモ映画なのだが、これが実話に基づいているという。いろいろあり得ないとダメ出ししたいところだが、どこまで事実なのか分からないから何かこの作品、僕にとっては不消化の映画でした。
なにも知らなければすべて作り事みたいで、てんで詰まらないとなるのでしょうが、これが、ナ、なんとほとんど真実というじゃないか。でも、幾らなんでも映画ではオリンピックまでほとんど実体験ナシのような描き方でし . . . 本文を読む
最初クレジットで子供向き、家族向きなどという表示を見る。気にしないで見ていると、、。
やはり内容がちょっと前時代的というか、古い、フルスギます。もう使い古された題材を性懲りもなく再利用しているという感じです。(言いすぎかな。)内容はさておき、演出が少々ぎこちないです。俳優への演技のつけ方にこれはないだろうというシーンも散見されました。
たとえば、冒頭、母親に捨てられた主人公の心の闇とかはその後 . . . 本文を読む
30周年記念演劇らしいが、僕は初見だったので何か知らない空間に一人という闖入者感覚を持っていたが、劇を見ているうちに観客と一体となりそういう空気も消えていった。
ハートフルな演劇なんだが、ちょっと過去を覗いているような、気にしているようなそんな大阪劇団であった。身近にある心の移ろいをテーマにしている劇団のようだ。
本公演も教会育ちの3姉妹と、保証人になったばかりに20年も逃げ続けて子供たちとも . . . 本文を読む
小津安二郎の映画が好きである。「東京の合唱」以外はすべて一応見られるものは見た。感心した。戦前のトーキーのものからカラーになるまで、すべて人生を見つめている映画ばかりだ。
特に「東京物語」は僕の映画史上でもベストに入るべき作品であり、現地の尾道は2回ほど旅をして東京物語を確認した。それほど惚れ込んでいる。
この本でもやはり「東京物語」への言及が多く、僕はまんじりともせずページをめくった。
踏み . . . 本文を読む
幕末。特にペリー来航で揺れる日本国の激動を感情をほとんど交えないドキュメンタリータッチで描いた政治劇だ。水戸、彦根等思想的にどちらにも肩入れをしないという姿勢が全編を貫いている。
そのためだろうか、逆に観客の感情面での持って行きようがなくなったのも事実で、僕たちはこの歴史的事件を距離を置いて見ることになる。そこにあるのは、変の直前に脱藩してテロリストにされた集団とそのみじめな逃避行である。正道が . . . 本文を読む
原作は読みました。最初から中盤までは面白くて一気読みでした。でも、その後もたついて、結局最後は納得しないまま読み終わったのを思い出します。いろいろダメ出しがあったのを覚えています。でも映画は結構矮小化しながらも納得させていたと思います。
冒頭の【綾瀬はるか】との出会いが何か違うなあと思っていたら、やはりラストで思い切った改編。でも、これはこれでこの方がまともで納得させる。【綾瀬はるか】が機構側の . . . 本文を読む
静かな映画だ。映像も清らかなちょっとくすんだ白色のイメージが全編を貫き、この映画のテーマをよく表している。
ファザコン気味の女性と若い時に韓国で何かつらいことがあったらしい母親との確執。そして5歳の時に無理に日本に連れられてきた祖母。ボーイフレンドもいる女性だが、何となく想いがつながらない。
そんな満たされないそれでも続いていく日常の描写が醒めたカメラで描写される。そんな女性に韓国から上司が転 . . . 本文を読む
某中学校で乱入事件があり、生徒が一人殺害される。10数年前に起こった某事件をどうしても思い起こしてしまうが、これが単純な事件でないことが分かってくる。
40人の生徒が乱数表のごとく記号化されて当時の事故の模様を再現していく。そしてそれが二転三転し、驚くべき結末を迎えるといった凄みさえ感じる。
相変わらずミステリーを乱読している僕だが、この小説は本当に面白い。ワクワクしながらページを繰る。こういう小 . . . 本文を読む
アクションの常識を今でも覆そうと映画の楽しみというものを徹底的に考えた作品です。冒頭からそれは感じられる。なんと普通の旅客機なのに乗っているのは全員敵。もちろん驚くなかれ乗務員も操縦士もだ。その空中での決戦。しかし、そこに一人だけ見知らぬ美女が乗りこんでいる。
そんな謎の設定がうまい。及第点の序盤。楽しい。これは漫画だ。でもまさに娯楽映画なのだ。あり得ない話が延々と続く。まるでジェットコースター . . . 本文を読む
今日もナンバに映画に行く。
午前の部は「インシテミル」。意外と不入りで、でもゆっくり見れる。原作は読んでいたのでどう違うか楽しみだったが、ストーリー的には映画版の方が自然だったなあ。不思議です。
昼食を6Fでお好み焼きを食べる。定食で750円。安い。おまけにデザートまで映画チケットを見せるとサービスしてくれた。お礼のつもりでアイスコーヒーーを注文。400円プラスになってしまう。
昼食後「桜田門外 . . . 本文を読む
かの有名なベッソンの初期の傑作と誉れ高い映画を初めて見る。最近の彼の、流したような作品群に見飽きた僕はこの作品の「青春の鎮魂歌」に驚き、その若き遠吠えのするような灼熱の熱き想いに息をのむ。
子供時代の父との哀切な別れ。そして成長するも仕草がまるでイルカのような少年そのもののジャック。無理に微笑んでいるような表情はイルカそのものだ。考えたらジャックは人間として描かれていない。父親を助けに来なかった . . . 本文を読む
平面の舞台設定。そして観客席にもポツンポツンと演劇者の座る席が用意してある。観客はそれぞれ4,5メートルの幅の通路のような舞台を交互に目を合わせる。そしてその通路には一筋のテープが長い直線を描いている。
俳優のセリフのほかにもプロジェクターで映された文字が時々出てくる。俳優のセリフとともにその字幕を読んでいるとワンテンポ遅れそうになるので、なるべく字幕はさっと見るだけにする。
ある女の一生とい . . . 本文を読む
最近の石持作品はちょっと書き過ぎといった感じの作品が多いように思っていたが、この作品は実に面白くあっという間にページを繰っていた。
ベンチャー企業者とそれの援助者とのある意味復讐モノなのだが、実に登場人物もコンパクトにまとめ感服した。ラストへの急ぎすぎが少々気になったが、それでも最近では拾い物のミステリーであった。秋の夜長にあっという間に読めてしまいますよ。 . . . 本文を読む