いつも読むシリーズ物とは違う種類だったけど、かなり中庸のミステリーでした。思いがけない真犯人というほどではないが、それでも見えない糸を辿るとこうなってゆくという叙述にははっとさせられます。でも動機もあまり納得できないし、中山もたまにはこういうミステリーを書くんだ。でも相変わらず読みやすいですよ。
. . . 本文を読む
奇想天外な設定の続く御子柴弁護士もの。今回は弁護士事務所の女性に殺人の嫌疑がかかり、ということで、相変わらずの読みやすい、展開が面白い、ラストは法廷で真実が、と及第点。そして今回はさらにあっと驚くラストが、という風に、とにかく読者を飽きさせない展開にいつも感心する。
ただね、凶器があれだと、いくら何でも警察は誤認逮捕をするのかな、と思っちゃいましたけど、、。でも、ちょっと粗削りだけど面白いから許 . . . 本文を読む
なるほど、ギリゴジの演劇かと思いきや、演出は同じでも脚本が変わると180度変わるという見本です。演劇としては題材が家族ものなので、普通体のシリアスものとなっております。
どこの家庭でもあり得るような設定から、ファミリーの懊悩、再生までを時間軸の変化を多様化して展開する技巧はさすが。ほとんど顔見しりの俳優陣が多く、安心できます。都さんが出てくると、舞台が急に明るく華やかになると思うのは私だけでしょ . . . 本文を読む
朝の11時半から夜18時半まで10公演。今までの一人芝居のセレクション。豪華、極まる。
最初はパントマイムから一人ダンスそして女の子のバラエティコメディショー。毛色が違うので少々驚く。次は沖縄人と本土の人間との裏で葛藤する意識「くいくがりのなみだ」。これが面白い。30分で沖縄人の心根を知る。僕たち本土人は今でも戦時中のままではないのか!
そして「YAKISOBA]。現代のコロナ禍と純粋恋愛の極 . . . 本文を読む
斬新な舞台設定に観る前からワクワクする。かなり広い空間に囲障を作り、観客側とコミューン側の違いを強調する。そしてあくまで我々は彼らを第三者として観ることになる。
最前列の中央起点部分が私の席なのだが、劇が始まってみると入り口となる囲障のトップが太い金属で、座ってみると残念ながらちょうど俳優たちの顔の部分に当たり彼らの表情が見えない。入口の戸の部分が左右の塀より15センチほど高いのだ。残念。いい席 . . . 本文を読む
コロナ禍にあってほとんど見られなかった劇団です。題名がショッキングで、怖い話かなあと思ったが、全然そんなことなく、ペットの、またペットへの気持を丁寧に繊細に描いた作品だった。
メンバー総動員でみんな元気そうでよかった。中谷さんがいなかったけれど、ちょっと寂しい。前半はペットの思いを朗読に、後半は1話を短編劇に仕立て上げている。
どれも、むやみに捨てられたり、殺されたりすることもあるペットの気持 . . . 本文を読む
モノクロ、ほぼ正方形の古めかしい画面、荒れ狂う海の波間とともに二人の灯台守の葛藤が展開される。
映像は確かに凝っている。ほぼ正方形の画面のため閉塞感が強いが、画面から飛び交うように男たちの雄たけびが鳴り響く。男二人の心理劇のようで、実は二人が最後に人格が結合するあの映画。ふむふむ、これは僕の大好きな映画、ベルイマンの「ペルソナ」ではないのか。
カモメ(航海の無事を守る鳥らしい)、人魚、ネプチュ . . . 本文を読む
今回も幕末ミステリー。西郷、桂、坂本、新選組の土方、薩摩の中村半次郎まで出てくる。そして見知らぬ探偵役の尾張藩鹿野師光、この布陣がいいんだよなあ。歴史もよく勉強されていて、気が付けば安心して幕末の京都に読者を導いている。
人間の消失などトリックは取るに足らないものもあるが、何より人物像がすべて生身で生きている。嘘っぽくないところがいい。パシッと秀逸なミステリーを生み出した。
そしてラストに近江 . . . 本文を読む
久々の2月病。で、冒頭からラストまでかなり暗い展開で、終戦直後の時代設定でもあり、何やら観客的にはつらい状況。これがずっとラスト近くまで続き、最後にどんでん返しのような凄惨な事件で劇は終わる。
まさか、そんな最後が待っているとは私は全く考えてもいませんでした。
この劇の特徴は作り手側のやりがいと観客側の受け止め側が少々しっくりいっていない(うまい表現がありません。)ことではないのかなあと思う。 . . . 本文を読む