初めての作家だが、これは傑作。何と青春のムズムズしさと映えなるもう壊滅かなとまで思っていた密室論まで展開し、ミステリーファンの度肝を抜いた。
主人公たちがうら若き高校生だから、いいんだよな。もう老残が漂う吾輩からはとてもじゃないが、かすかな残り香しか感じられないが、それでも青春への恥ずかしながら凛とした思いがまだあります。甘酸っぱいタッチは米澤 穂信の青春ミステリーと遜色ありません。素敵です。
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冒頭からの10分間は、何がなんだか分からない怖い想念さえ覚える連続で、僻地の因習性を感じるちょっと強めのイントロでした。
ここでエネルギーを使っちゃったのかな、それからはもうどうしようもない絶対的悪人の父と、因習に染まる村でイカレ風の母親に盲愛され育った息子との葛藤が語られます。
いい年してこんないびつな村さえ出ようとしないでしがみついている息子と、悪の権化と思しき父親との雪解けなんて僕は全く . . . 本文を読む
法月の4編ミステリー。というか、冒頭の「白面のたてがみ」と最終の「カーテン・コール」はホームズ、ポワロに関するある考えを述べたものであり、少々読みのがきつい。クリスティー、特にポワロ物は好きなのだが、ギリシャ神話が延々と叙述されるので、僕は昔からこの手にかなり弱く往生しました。
「カーテン」論も、ちょっと違和感もあり、長い中編だったけど大変でした。
まあ、楽しめたのは「殺さぬ先の杖」かなあ。で . . . 本文を読む
法月 綸太郎は初期からずっとい読んでいて、欠かさず読んでいる、つもりだが最近のは中途で終わっているのもある。これは短編集だし、まあ普通に読むことができたが、、。
法月ファンならこんなこと言ってはならないのかもしれないが、オマージュといっても悪く言えばネタ取りであるし、さらに磨きをかけているといってもそれほどの新味はない。中にはさすがと唸るのもあったが、、。
彼が何かどんどん現代ミステリーから浮 . . . 本文を読む
冒頭からスリリングで、あっと言わせる。そしてしばらくしてからあの判決。これはすごい拾い物かもしれない、、
それから交互に描かれる叙述にたいして変化がないままあっという間にラストへ向かう。これは一気に読ませるミステリーではある。この叙述のトリックに気づかなかった。うーんとうなってしまう。こういう方法もあるんだね。
なかなかの小説であります。 . . . 本文を読む
アレン作品をあまり好きではないと言いながらついついいつも見てしまっている吾輩ですが、今回は素直にしっとり嬉しくにやにや、アレンの世界にこのニューヨークの雨のように浸ってしまいました。
輝いていますね。ビング・クロスビーのゆったり感から、さあ映画が始まるよ、といったワクワク感がみなぎり、90分ほどの映画なのに今までの彼の主要な作品のいいとこ取りみたいなところもあるし、「ティファニー~」を意識した構 . . . 本文を読む
維新以降のまだ動乱期という設定が時代的に新鮮で素晴らしい。短編5編であるがすべて連結しており、最後まで見事。決してこのシリーズは当たり前だがない。それほど凝縮したミステリーです。
歴史が好きな吾輩としてもこの時代の臭いを嗅ぐのにも適しているし、何より復習になります。作品的には秀作の誉れ高い「監獄舎の殺人」の抜き出た書きぶりには唖然としてしまうぐらい慄いた。
まだ作者20代の若者、言葉遣いといい . . . 本文を読む
室内劇がずっと続くから、演劇が元祖かもしれません。演出的にうまく飽きさせずに展開させるが、、
最初のピザ配達シーンが結局一番面白かったような。
前半のアドルフ命名話が変に長すぎて食傷気味になってしまう。そして後半の実母結婚マターに関して、何故兄弟たちが混乱するのか全く理解できずここでも吾輩を置いてけぼり。母親が新しい人生をキャッチするのは何よりも喜ばしいことではないのか。
そしてラストのあの . . . 本文を読む
結構長めの小説だが、すらすら読める文章力と内面性に言及するテーマだったので、一気読みできました。ミステリー的には中盤でおおよそ概要が見えてくるんだが、それでも何重にも込み入った話が展開し、十分楽しめた。
一方仏教における説明が分かりやすく、親近感もあり。才能のある作家です。 . . . 本文を読む
主演4人の平均年齢からすると、これは老いの加齢臭いっぱいの映画かな、と思いきや、若手俳優も多く参加し、とっても楽しい忘れられない映画になりました。
コメディをきっちりと仕上げる脚本・演出は一流だと言われますが、この作品がまさにその通りでした。長すぎない100分、怒涛のように集まった俳優陣(これは石橋蓮司さんの人柄?)、最近こういう自然と笑える映画が少ないので、僕的には何か、好きな古い友人宅でじっ . . . 本文を読む
長澤まさみの脱皮した演技を見る映画なのか、人間本来の荒ぶれた性向を見つめる映画なのか、さて、、
マザーは言う。「自分が産んだ子供だから、、」と子供に人格を認めない。自分の分身であるという。子供はそれでもマザーが好きだからと、分身通りの行動をただひたひたと黒子のように行う。二人の関係はエスカレートして、自分の肉親である親を子供に殺させようとする。理由は語らない。
メジャーでこのようなマイナーな映 . . . 本文を読む