セントの映画・小演劇 150本

観賞数 2024年 映画 93本、 演劇 71本

カラオケ行こ! (2023/日)(山下敦弘) 80点

2024-10-29 11:29:28 | 映画遍歴
依然として何の前知識もないまま見た映画だったが、途中で山下の映画ではなかろうか、と思って見ていた。最後のエンドロールまで分からなかったが、見事的中し、ご満悦。山下の初期の映画群を感じ取れて、心躍る。あのふんわり柔らかモードがとてもいい。部長のひとときの迷いの人生、こんな風でもいいのだ。 . . . 本文を読む
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愛にイナズマ (2023/日)(石井裕也) 85点

2024-10-26 20:24:46 | 映画遍歴
最近めずらしい僕らが思っている沸々の想いをセリフに託している何気ないシーンの連続感がいい。このいわば本音感はただ事ではない。、、と思います。 けれどもストーリーにならない掛け合いセリフ集合では、映画として成り立たないとでも告げたプロデューサーがいたのかどうか知らないが(映画の冒頭の方のシーンに関連付けしています)、父親が出没してからやたら、劇映画風になってしまいます。それはそれで見せ所だし、泣き . . . 本文を読む
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MICHInoX『黄金黎明伝 TSUNEKIYO X The Golden Dawn』(作・演出 本田椋) 於 in→dependent theatre 2nd 80点

2024-10-26 20:08:38 | 演劇遍歴
まさに平安後期武士の始まりといった時代。しかも所は東北平泉。藤原氏の前時代、いわゆる歴史でいうところの「前九年の役」あたりを題材にしているので、歴史的にはわかりづらい。 でもそれほど真面目に鑑賞しなくてもいいように面白く娯楽的に作っているので、十分楽しめる代物だ。なんといっても全員が、体を張ったかのような熱演。体から汗の息吹が見えんばかりの立ち回り。もう圧倒されますね。 ただテーマからはいまの . . . 本文を読む
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THE ROB CARLTON「THE STUBBORNS」(作・演出 村角太洋) 於ABCホール 80点

2024-10-26 19:57:27 | 演劇遍歴
緻密な計算の元に作成されたかのようなコメディであります。セリフが軽快でしかも考え尽かされているので、正直一つ一つしっかりと聞いていないとこの面白さはわからない。聞き逃すと次についていけないかのような何かがあります。それでいて、十分爆笑ものなのだから、この脚本づくりは僕らの恐らく想像できない苦労があるのだと思います。 日本ではこういう劇団はありそうであまりないかなあ、、。アメリカではこういうのは多 . . . 本文を読む
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人間の境界 (2023/ポーランド=仏=チェコ=ベルギー)(アニェシュカ・ホランド) 80点

2024-10-22 20:10:28 | 映画遍歴
人間として、人間であるならば、人間としての心があるならば、そして我々が人間でありたいと思うのであるならば、見なければならない映画である。いつもニュースに甘んじて深く考えなかった自分自身をとても恥ずかしく思う。 映画としてももちろん優れているが、この作品を制作したホランドに強い人間性を感ず。 . . . 本文を読む
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雷龍楼の殺人(新名 智  著)(KADOKAWA  2024) 80点

2024-10-20 18:20:00 | 読書遍歴
かなりの物議を起こしたミステリーですが、でもこういうのは初めてで、このトリックはやはり鮮やかというしかないのではと思います。なぜかというと、しっかり僕が作者に嵌められたわけですから、、。 文章も読みやすく、設定も(気づいていなければ)斬新。まあ、読後感からすると、それはないわなあ、という気も少しだけするが、あっと驚かせてくれたのだから、ミステリーとして僕は買います。出版されたものでこういうものは . . . 本文を読む
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木ノ下歌舞伎「三人吉三廓初買」(作・河竹黙阿弥、監修・木ノ下裕一 演出・杉原邦生)at県立芸術センター中ホール 90点

2024-10-19 21:19:15 | 演劇遍歴
キノカブキ、5時間。大きなホールで、また若き役者たちの熱演でまさに疾風怒濤の熱き力がずぶずぶ体に入り込む体験をする。 歌舞伎が苦手な僕でも十分面白かった。歌舞伎だから5時間は仕方がない。でも当初大丈夫かなあと疑問符がいっぱい。 演劇では5時間は僕の最高記録だ。それが、途中休憩が2回あるからこれがいかにも歌舞伎風で、内容も娯楽いっぱいで難しくなく、それなりにストーリーも通俗的と言われればそうだが . . . 本文を読む
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劇団 ユニットWOW!! 「意後見人狂騒曲 ガーディアン・ラプソディ」(作・高橋恵 演出・上田一軒) 於independed2nd  85点

2024-10-14 18:04:37 | 演劇遍歴
高橋恵作、上田一軒演出と、関西一流の演劇です。あとは、俳優たちがどこまでできるか、、。 といった不安はすぐ解消する。とにかく、娯楽的で、テレビドラマを見ているように面白く、登場人物も多彩であり、皆小さな悩みを抱えており、だからこそ欲望も強くなる。そんな彼らの行動を裏側から見ているような面白さ。たまらないです。 山崎豊子の「女系家族」を思い浮かべるような面白い展開で、観客は2時間の時の流れを忘れ . . . 本文を読む
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熊は、いない (2022/イラン)(ジャファール・パナヒ) 90点

2024-10-13 22:15:43 | 映画遍歴
これは面白い。冒頭の、カフェのウェイトレスに至るまでのあのセンスの良いつなぎのカットにうならせられる。と、そこからは現実と虚構がせめぎあい、ここからはもうパナヒの思うツボになる展開が待っていた。 自分がイラン本国にいて、リモートでトルコにいる男女を撮影しているという設定にまず緊張感があります。まさにパナヒ本人そのものの心象状況がそこにあります。そしてもう一方イラン内での古い因習による悲劇がパナヒ . . . 本文を読む
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劇団黒猫「世界を盗む方法」(作・劇団黒猫 演出・佐藤トシオ) 於A&ホール 80点

2024-10-13 17:54:08 | 演劇遍歴
特に目新しい題材ではないが、特色だったのは俳優たちが全編90分、とにかく走る。走り続ける。ランニングをするということは人生走り続けるということなのだろう。そんなことを感じながら劇を見る。 話は他愛ないまるでお伽話のようなゲームっぽい学生演劇でどこか見たことのあるようなもので、若い集団だということがわかる。ハートスターを追いかけて、みんなが走り、集まってゆく、、。 私のごひいきは川田氏であるが、 . . . 本文を読む
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ぼくのお日さま (2023/日)(奥山大史) 85点

2024-10-11 20:35:29 | 映画遍歴
スタンダード版画面、フィルム映画風粒子。時間は90分。映画のちょっと前の基本を地で行く秀作現る、とこんな印象の映画です。 野球があまり得意でなく外野を守るタクヤ。だか彼の顔は喜びに満ちている。空から降る雪をこよなく愛し、顔に当てている。こんなポエムのようなシーンを多様化し、この映画は極端にセリフも少なく、全編詩情にあふれ、淡い印象派絵画のようでもある作り込みです。 人生がそんなに流麗に流れるこ . . . 本文を読む
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憐れみの3章 (2024/英=米)(ヨルゴス・ランティモス) 80点

2024-10-11 20:06:03 | 映画遍歴
鬼才ランティモス作品。「哀れなるものたち」が凄かったので、見る前から肩肘立てて見てしまったが、今回は意外やお気楽風で、またオムニバスということもあり、楽しく鑑賞する。 第1章。これがなかなか面白い。3章の中では際立って秀逸だ。カメラワークも整然としていてスタイリッシュ。人間の外側からだけではわからない内面の空虚さを描く。これは気に入った。 第2章。事故であきらめかけていた愛する妻が帰還する。し . . . 本文を読む
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ぼくが生きてる、ふたつの世界 (2024/日)(呉美保) 80点

2024-10-10 18:27:06 | 映画遍歴
題名の意味はラスト近くで分かるようになっている。見ている間は題名の意味も考えず、思わずただ一人の青年の成長をつくねんと見つめている。ただただ両親、祖父母の熱い愛情で育てられた普通の少年。それが変わってしまうのが、、 同級生の素朴な一言だった。そこから彼の二つの世界が始まるのだ。 反抗期という難しい時期とも重なり彼は母親と遠ざかる。そこから結構(原作者には失礼だが)面白くなる。通常のベタな真面目 . . . 本文を読む
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喜劇結社バキュン!ズ「無職の皆さん、ついに反撃を開始する」(作・演出 スプーン曲げ子) 於 in→dependent theatre 2nd 85点

2024-10-06 18:34:59 | 演劇遍歴
90分、コント風ギャグ連続の、風変りさが持ち味の面白さ強烈な劇団です。総勢、客演も含めて24名。その客演も一流どころ。客席はやはり満杯で、くすくす笑い爆笑が全編にたなびき渡る。 初めて見る劇団なので、誰がこの劇団の人かもわからないまま見ていったが、まあ知ってる人もいたし、かなり均等に俳優陣を使ってる。大熊氏はちょっと自己中毒気味のお披露目だったが、でもお得意のマイムを入れ、楽しんでいるのがわかる . . . 本文を読む
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清流劇場「へカベ、海を渡る」(原作・エウリピデス、上演台本・田中孝弥、原作翻訳・丹下和彦 演出・田中孝弥) at一心寺シアター 80点

2024-10-05 19:41:21 | 演劇遍歴
いつも通り前知識ないまま演劇を見る。数あるギリシャ悲劇群のうち、「トロイヤの女たち」は映画、演劇で見てきた。話としては題名通りヘカベを中心にした人間ドラマである。 時代は3200年前の出来事、現代に生きる我々はそこから何を得ることができるか、という普遍的なテーマである。戦争に負ければ王妃といえども、奴隷または愛人に落とされる。それは戦争というもののまさに正体であろう。 ギリシャ悲劇を見るという . . . 本文を読む
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