保科 昌彦作品では2作目の鑑賞。前作「ウィズ・ユー」が面白かっただけに期待したが、普通のミステリーでした。しかも何ら新しいところはなく、文章も平凡。暴力団らしき関係者が出てくるのは少々展開的に作者の逃げが感じられ、最初の期待を大きく減じるところとなる。
まあそれでもさすがだなと思ったのは脚線美女性の取り換えの謎でありますが、これだけのために320ページを繰る読者の気持ちを考えてもらいたい。愛がな . . . 本文を読む
携帯の電波も届かないタイのド田舎の水上学校。新任の教師は前任者の日記を見つけ、いろいろ悩みを解決していく。しかし、それを読んでいるうちに
本当に恋に陥ってしまうというこれぞ純愛の粋を行く物語です。
最近、こういう素朴な純愛ものを見てないんですね。昔はそれこそ韓流を見ればほとんどこういったものが見られましたが、めっきり少なくなりました。でもこの作品はそんな韓流をはるかにしのぐ今現代人が忘れている . . . 本文を読む
ほぼ4人の対話劇です。カフェに高校卒業をまじかに控えた4人が集まる。それぞれの進路をみんな秘めている。
東京に行き、舞台を目指す者。バーテンダーをあこがれるも地元の信金に就職する者。フリーターをしていた寿司店から恩返しの気持ちでそこに就職する者。そして、カメラマンになりたい気持ちはあれど、父親の跡を継ぎ医者を目指す者。
18歳だからもっと大きな夢をみんな持っていると思ったら、意外とささやかだけ . . . 本文を読む
純文学者が書いたミステリーといった感じですね。かなり展開が錯綜するので読みにくいといった気もする。でもこれがこの本の魅力だからそこで耐えなければならないのかな。
主人公は高校生のような中学生だが、一応探偵となる。でも同僚の先生がそのうち真の探偵となったり、視点があれこれ変化する。(登場人物一覧がほしかったほど)面白いことは面白いのだが、そのうちじっくり読むのが面倒くさくなってしまう。(これは一途 . . . 本文を読む
久しぶりの黒沢のホラー映画ですね。それがうれしい。ただ前半は説明調でいつものドカーンがない。あれ、どうしたのかなあと思っていたら、後半になってまさに黒沢し始めた、、。
この映画の面白いところは、なんでそうなるの、といった謎がさらに謎を吹き回し、そのうち黒沢の独自の世界を構築してしまうところでしょう。
警察なんてあってないがごとく、しかも一般人と変わらぬ様を呈し、どんどん殺される。弱いし、警察機 . . . 本文を読む
男は壁に書かれた落書きを消している。一戸建てのマイホーム。一見普通の家に見える。何故こうなったのだろう、彼は考える。
死刑囚を持つ家である。何が彼をそうさせたか。
結構普通の家庭の話なんですね。ただ父親が毒を持っている。そのガスが徐々にこの普通の家庭に充満してきて、みんな一人一人蝕まれてくる、、。
しかし、この父親はこのことにあまり気づいていない。マイホームを持つことを目標に一所懸命になって . . . 本文を読む
私立探偵ものが好きだ。この小説シリーズはほのかにチャンドラーの香りの漂うそのエスプリの効いた会話が楽しい。また女が何故か柚木の周りに群がってくる。年齢を問わず、、。
ミステリーだけどこのシリーズは日本にはあまり見られない乾いたハードボイルド系会話を楽しむ本です。
殺人は実際起きているが、本格モノではないので会話で進行する仕立てになっている。それもまた良きかな。秋のながらには最良の本かも。しかし . . . 本文を読む
初めて見る劇団である。いつも内容は調べず、そのまま見てしまう我が演劇鑑賞なので、どういう劇団なのかも知らないで見ました。
ホスト7人の話なんだけど、どうも女性っぽいんです。ひとりのホストの父親役で完全男性が一人出てきますが、それ以外はどうも全員女性なのでは、と、、。
ホストクラブの話なんで、当然女性客が現れる。正真正銘の女性だからみんなきれい。安心して見られる。けれどホストたちはどうも男性とは . . . 本文を読む
結構長い芝居です。2時間15分。若い男が迷路に入り込んでしまいなかなか外に出られなくなる。そしてそこにいる住人に騙され裁判にかけられ死刑にされてしまう。まるでカフカのごときストーリーである。「審判」を思い起こさせる不条理劇である。ここで前半。
その後初老の男性がまた迷い込んでくる。彼はあの若い男性と何か関係があるのだろうか、さて、、。と面白がっていたら、ただ単に若い男の再現が初老の男にも用意され . . . 本文を読む
「二十四の瞳」に続く完全反戦映画なんだけど、最初の方は人間関係が込み合っていてよう分からんかったです。でもそのうち、「人間が死ぬ=どこかで人間が生まれる」のリフレイン、そして絶え間ない戦さに人生そのものを投げ出したくなる農民の心情が本当に明瞭になってきます。
「戦争中ただつくねんと荒れ地を耕す農業」VS「死を覚悟はするにせよ農民から武将への出世がつかめるかもしれぬ戦さ」、とあらば、若者はいかに選 . . . 本文を読む
原作古谷実ものはやはり正解だった。ただ、特に前半は明るいんだよなあ。全般的にもタッチが優しい。あれだけの
殺戮が繰り返されるのに不思議と恐くない。リアルなのに全然恐くない。これをどう映画的に捉えればいいものだろうか、、。僕はむしろもっとキーンと椅子からぶっ飛ぶぐらい怖がらせてもよかったのではないか、と思っている。吉田の優しさが映像に出現してしまったのだろうか。
話に戻ると、なかなか面白い展開で . . . 本文を読む
初期の阪本を信望するファンとしてはここずっと煮え湯を飲まされてきた感もあったが、久しぶりのあの阪本が戻ってきた感はあります。
最近団地がクローズアップされますね。「海よりもまだ深く」然り。そんなに団地が現代において(取り残されているということで)素材的に魅力的な存在なんでしょうか。面白い現象です。
確かにあの日本版「未知との遭遇」シーンは、今までの展開からは場違いとでもいうような印象を持ちます . . . 本文を読む
初めての劇団。短編連作公演。5,6作ぐらいかなと思っていた。しかし直前に2時間と聞く。結構長い。一体何作やるんだろうか。楽しみである。だいたい、普通60分ぐらいが多いのだ。短編とはいえ、一つずつ演劇である。演劇とあらば、当然としてそれなりの演出・演技が求められる。
見終わって9編だということに気づく。とても大変だったと思う。作品を作り、発表することの楽しさが彼らは今絶頂期なんだろうなあ。そんな野 . . . 本文を読む
センスのいい華やかな劇団である。女性が多く(一人だけ男性が紛れ込んでいます)、みんな個性的でしかも美人である。そして劇は野心的で何かにいつも挑戦しているかのようです。それはちょっとしたダンスだったり、今日は出番でないときでも役者を舞台の袖に置いたり、あらゆるところに現れている。
今回は横光の名作(らしい)「機械」をモチーフに人間の生きる術を追求したものです。人間が生きてゆくうえで、社会の歯車には . . . 本文を読む
台湾映画の青春ものって、秀作が多い。と期待して見ました。しかし、たまにこんな凡作も、、。
緩いです。主人公たちが高校生だから多少は許すが、それでも演出がぼわーんと伸びています。ゆるゆるです。キレがないから、結構退屈です。話自体が思春期の風のような繊細なものなんだが、突風もあればそよ風もあるはず。その空気感はまるでないです。
脚本はそれほど悪くないからこれは僕は演出の未熟だと思います。最後ももっ . . . 本文を読む