大正時代、大杉栄、辻潤等政治的革命を目指した人たちの闘い、その裏には結局男女の愛の争いがうごめいていた、、。島村抱月まで繰り出す登場人物の多さ、そしてその時代に闘い、敗残し、埋もれていった革命者たち。
ほとんどが女性俳優で演じ繰り広げられる大正絵巻。服装も時代考証が行き届き、豪華絢爛。俳優たちは実にこの3時間の長丁場を学生演劇の殻を破り、見事演じきった。
後半になってから一堂に彼らが邂逅する出 . . . 本文を読む
井上ひさしの代表作ともいえる「父と暮らせば」。映画化もされた重要作である。これが関西で見られるなんて幸せである。
二人劇。ヒロシマの原爆が投下されて3年。美津江が一人質素な生活をしている。そこに原爆で亡くなったはずの父親がふいに現れる、、。
もう涙なしには見られない切実で温かい劇だ。生と死の根源をテーマに、最後はかすかな希望さえ感じて、観客は静かに席を立つ。素晴らしい演劇だ。この時を忘れない。 . . . 本文を読む
劇団20周年ですか。早いもんです。今回の劇、シチュエーションがずば抜けて面白いので、冒頭からもう劇場内は爆笑の渦。
達者な役者さんたちの演技も相まって、それは舞台と観客が一体化した素晴らしい空間が出来ていたように思う。これって、演劇の醍醐味ですよね。この劇団の実力が現れたと思います。
でも、時間軸の異変で同じマンションに住んでいた8人の住人が一度に邂逅するなんて、面白いことを考え付いたもんです . . . 本文を読む
関西学生演劇界を牽引しているのではないか、なんて勝手に思っている六風館の4人劇だ。戦争中なのになぜかのんびりした居間での会話劇が中心である。
とか思っていたら、人工人間とか様々な現代ツールがちらりと見える。話もせっぱづまったり、けんかになったり、そりゃあ面白い芝居です。
そしてラストにかけて、着地点に収束したと思ったら、そのまたどんでん返し。実に面白い劇でした。脚本が素晴らしい。
2時間近い . . . 本文を読む
ファルハディの骨太の処女作なのに驚く。もっと繊細な作品かなと思っていたので、いつものイヤミス感もなく、安心して見ていられた。
若い男が新妻をめとるも、不本意な理由で離婚させられるイラン社会事情など、バックグラウンドの指摘も文明国からは信じられないことが多いが、そういう理不尽さの追求は鋭い。
何より、男の女への愛の清らかさと大きさが胸を打つ。そして蛇取りの父親のような存在の男の出現。彼との会話は . . . 本文を読む
最近のタイ映画は秀作多しと聞き、またストーリーから青春映画の小品かなと思えど、見て10分ほどでこの期待は砕かれる。何ともすべて稚拙、筆舌に尽くせぬ出来。本年ワーストではないか、と思われる、、。 . . . 本文を読む
山田の思いが現代を見捨てて過去へとたなびいているように思えた。山田節、大いに結構だが、こんな映画作りは若者は見向きもしないのではないだろうか、、。
特に孫娘の大学生活の不満は山田から見た誤嚥でもありいまどきあり得ない話。同僚の加藤ローサの優しさも山田目線でいたらいいなあタイプ。息子の大逆転も恐らく夢想だろう。
でもこうでも描かなきゃ市井の人間には未来は見えませんと言われても、そんなの、嘘だろう . . . 本文を読む
久々のA級Missing、何か不思議な演劇である。柔らかそうで、そうでもなく、新選組の世風と現代とをミックスしたり、それでいてあくまで具象性は根に着いている。でもそれらがミックスすると、ふわふわ浮いている感もある。
判りやすい具象劇風なんだが、実は根っこに抽象的な混ぜ色を用意している。そこが複雑なんだ。
でもそういう意識をしないでただ筋を追っていけばシンプルな演劇ではある。そこを作者は常に意識 . . . 本文を読む