映画鑑賞数94本。100本割れはここ20年では初めてではないか。その分演劇鑑賞数が42本で倍増。虚像(フィルム)より実像(生の舞台)に興味が移っているということか。日本映画は昨年に引き続き不調ではないか。上位は1位の「さようなら」以外はほとんど前半組。見逃した作品があるのかもしれない。
洋画は1位の「おみおくりの作法」はあのラストを思い返すと今でも感動する。無償の行為という現代から遠く離れた奇跡 . . . 本文を読む
相変わらず余裕の極致のオリヴェイラ。撮り残したものをまさぐるがごとく、シンプルにしかもしつこくそしてコミカルにやさしく、恋を奏でる。しかしその相手は死びとだった、、。
何か小泉八雲を思い起こさせます。雨月ですね。あの、煙草の紫煙が見事でしたね。そして二人の空を行く抱擁がまさににシャガールでした。美しいです。可愛いです。でもちょっと恥ずかしいですね。
物質と反物質なんか出てきて、理論的にも一応掘 . . . 本文を読む
お気に入り劇団、DanieLonely。名前も斬新でカッコイイね。でも劇は、十分大人な年齢なのに、いまだ大人になり切れない野郎4人の物語である。でも大人なんかには、みんな、なれないで、その日その日をどうにか生きているのが実情である。(そうでしょ?)
だから彼ら4人は取っ組み合いのケンカもするし、即仲直りもし、いわゆる学生、どころかまるで子供なんだ。
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やはり山田洋次、いまだ演出は健在なり。吉永、二宮、黒木そして加藤を布陣してこれ以上ない演劇的世界を構築する。当時の時代考証にも執念を持ち、戦争そのものを暗く深い所より引っ張り出し、露呈させる試みは一応成功したか。
清冽な坂本龍一の音楽がこの映画のテーマをさらに掘り下げる。戦争のむごさ、生き残るつらさ、それでも生きてきた当時の日本人の真摯な生活描写。見ごたえがある。映像にはめられたカットに無駄が一 . . . 本文を読む
S・Wシリーズの後半のダークイメージと本来の物語性が持つワクワクさを兼ね備えるこの作品。想像以上の出来栄えに恥ずかしながら我れ狂喜したり。この作品の前にはもう素直に脱帽せざるを得ず。何回も鑑賞が可能な現代では稀有な秀作であり、ファンにはこの上ない至福の時よ。 . . . 本文を読む
前作は見られなかったので久々の観劇。今までは無気力、ナンセンス、しかしかすかに突き刺さる毒を呈する独特の作風が限りなく僕には似つかわしく、気が付くともう4作目である。だからそう見ているわけでもないのだが、なぜかずっと追っかけまでしている気分になっている重要な劇団であります。
今回はHEPで上演というからにはいよいよ小劇場メジャー(こんな言葉ってあったかい?)への転身という重要な時なのであろう。そ . . . 本文を読む
恥ずかしながらファン・ジョンミンのファンである。彼の出演する映画にダメ映画なし、と勝手に思っている。いつも心に沁みる作品が多く、本当の韓流作品だと考えている。
今回は完全にアクションに徹している。相変わらず捨て身の刑事役で彼のこれまでの役柄を彷彿させるが、財閥という悪の要塞に立ち向かう設定なので、今までよりはかなり掘り下げ度は低くなる。
対する財閥のぼんぼんという役柄のユ・アインが、これほどま . . . 本文を読む
さあ、お気に入り劇団「空晴」の今年2回目の公演。この劇団は前身のランニングシアターダッシュから数えればもうかれこれ僕は20年近く追っていることになる。演劇の面白さを教えてもらった劇団だ。
今回も脚本が練られている。相変わらずの勘違いから起こるドタバタ劇なんだが、いつも笑って、泣いて、そして最後にほろっとさせる。そして大いに元気をもらう展開となっているのだ。今回は途中の経過に工夫が見られ、作者岡部 . . . 本文を読む
最初は精神病院と思ったけど、拒食症専門の心療内科でのはなしだと分かってくる。暗くなりがちなテーマなんだけど、敢えて演出は結構明かるくそしてコミカルに描かれる。
ブログを閉鎖した後処理を請け負う業者まで登場してきて、現代というものをクローズアップしている。ある女優のブログを分析する業者。暗号めいた展開になり、劇はむしろミステリー的に進行する。
拒食症って、かなりやばい病気らしい。周囲が気づくとき . . . 本文を読む
重松清原作ものは昔読んだ。久しぶりに当時の感想文を読み返すと同年齢の(38歳)の父親との邂逅がいいね、とか書いてある。本公演も、まさに同感。父親と同年齢時に話せたらどんなにいいだろう、かというセリフもあったが、実に心に残る。
話の筋は流星ワゴンを運転する親子も本筋となる。この親子がいいねえ。義理の関係なのにお互いを気遣い、本物の親子より強く結ばれている。これは泣かせる。
実は先週も関学の学生演 . . . 本文を読む
全編ポエムのような作品であります。しかしそのうっすらと塗り込めれた死のイメージがこの映画の映像を全面に覆う。原発モノとしてのペシミズムより、むしろ本質的な人間の生と死を問い続けているかのように、、。
若いころ自分の息子を殺してしまい、もう一人産んだ息子と引き離された女は、わが子が海外に移住することを知り自死する。彼女の移住優先度は低かった。残されて死ぬことより自分で断罪をすることを選んだのだろう . . . 本文を読む
あの驚愕の「ミステリーアリーナ」に次いで、早速深水作品を読んでいる。
これは面白い。ぼくはまあ絵画も好きでよく展覧会に行くが、そういえばあまりエコーロドパリ派としてこのグループを鑑賞したことがない、かなあ。スーチンもそれほど好きではないし、、。
それぞれの章の巻頭で述べられるエコールドパリ派の画家たちの芸術的な掘り下げも見事であり、さすがとうなるように読んでいたが、まさかこれが読者への挑戦のキ . . . 本文を読む
130分の長尺だが、脚本が素晴らしく珍しく途中で泣いてしまう。役者たちは学生さんたちなのだろうか、若く伸びやかだ。最初は少々学生演劇っぽいところも見受けられたが、そのうち堂々と有川の人生の起伏たっぷりの動線を演じてゆく。
何度も言うが、素晴らしい脚本で、本当に人生とは長く激しく、しかも緩やかで歳月を感じる時間の流れまで感じられる。その川の流れの中で、一つの愛を育む素晴らしさ。この年になっても感動 . . . 本文を読む
つぼさかの演劇は僕は3作目である。「さよなら父さん」、「しみったれた~」の切実な愛の考察がいまだに余韻が残るほどであるが、本作は前作に比べてとてもシンプルである、と思う。
音楽を志し路上で歌っていた男が一人の女性からの一言で希望を得る。そしてその女性との数年後の再会。女性は風俗嬢で男は小学校教師になっていた。ホテルでの二人の対話が続く、、。
僕もずっと演劇なるものを見て来ているが、それは演劇と . . . 本文を読む
イスラエル映画、言語はなんとヘブライ語、老人ホームでの死と向き合う話であります。でも彼らはゴージャス層なんでしょう、気持ちも豊かです。それでも、一律に死は訪れます。
いろいろコミカルに明るく描かれてはいるが、やはり主題は尊厳死。すなわち自死をどう捉えるかということなので重い。突き詰めれば、がんなどでのモルヒネも効かない患者にとっての安楽死と、痴呆症でそのうち自分が自分でなくなることを恐れ、そうな . . . 本文を読む