刑務所で暮らす女性たち。殺人を犯してしまった人、詐欺を働いた人など様々だ。世間からは忌み嫌われている人たちも人の親であり、人の子でもある。そんな暗黒の生活にも一筋の灯りを見出そうとするほのぼのとする話である。
でもこういう映画って、ある程度話の内容が推察されるんだよね。そして感動話に盛り上げられていくのを観客たちも実は期待しているわけ。ちょっとそういう過程が気恥ずかしくもあり、厭なんだけれど、こ . . . 本文を読む
最近、「灰色の虹(貫井徳郎)」という本を読んだ。無実の罪を着せられた青年が刑事、弁護士、検事、裁判官と次々連続殺人を犯す話だ。この映画の主人公は家族を殺した犯人を司法取引でうやむやにした司法制度を告発する。
そしてその手段としてこの日本の書物と同様に関係した犯人たち、弁護士、裁判官あっちを遠隔操作のごとく殺戮してゆく。というのは、この主人公は刑務所の独房にいて誰か共謀者者がいないとこの連続殺人は . . . 本文を読む
ふらっと東京に行く。特に用事はなかったが、最近演劇も見ていないし、たまに都会の空気にも触れるのいいかな、と軽い気持ちでした。
朝の飛行機で立つとすぐ羽田空港だ。東京に来るとICカードはほとんどSUICAで間に合わせることができる。とりあえず5000円をチャージしてさあ都内へ。今日は寄り道せず一目散にまず両国へ。
あれっと思うだろうが、特に相撲が好きというのではありません。演劇会場が両国なのであ . . . 本文を読む
これは面白い。「桜の園」と言えばラネーフスカヤ夫人の貴族の没落といったテーマが色濃く出ていたが、本作では彼女は出演しない。迂闊にも30分ほどいつ出るのか待っていましたが、待てど待てども彼女は出て来ない。
そうなんです。この演劇はラネーフスカヤ夫人をすっぽり切り落とし、傍系であった3組の恋愛にクローズアップをかけたものなのです。まさに、桜の園は背景と化し、生き生きとした物語がそこに展開されます。
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フランスでは結構有名なポップス歌手なんだろうけれど、日本人にはさっぱり分からない人が主人公。しかも、そっくりさん大会に出場し、優勝を目指していると、、。
こういう映画って、コメディアンだけれど、世界向けに作っていないこともあり、事情が分からないので、笑えるところでなかなか笑えない。主演俳優もかなり地味目で、映像もくすんでいる。自ずから館内の笑いも冷え切ったまま。
でも、1970年代の曲も結構な . . . 本文を読む
うーん、こういう映画って、見る前からストーリーがほぼ分かっていて、何を見るねん?という映画でしょう。結構作り手も見る方も観賞姿勢が難しいですね。
それを分かっているから、あまりお涙ものにしなかった【星譲】はエライと思います。だって見ているうちに、人の死とそれぞれの歳月、というものに人は涙を流さずにはいられません。こういう映画を作る際に一番難しいのはどういう構成で映画を撮ろうかということですね。
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いかにも人生を荒く生きてしまっている女51歳。彼女は母親にさえ厭われている風に見える。毎日ぎすぎすしている。
有能美人弁護士。仕事とセックスだけで毎日生き伸びている。暗い心の孤独は誰から見ても明らか。彼女は37歳。
そして、夫婦仲はいいものの、肝心の子供に恵まれない黒人女性。気持ちが強すぎて夫の真底の気持ちからはぐれてしまう彼女は30歳ぐらい。
女の話である。女と生まれ出る子供との話である。 . . . 本文を読む
フェイスブックなるものがこの世にあることさえ知らない吾輩がこの映画についてウンチクをたれることの失礼をまず述べさせていただきます。でも、この映画、確かに面白かった。こんなにつまらない内容なのに映画的には見ごたえがありました。
冒頭の女子学生との会話。5分ほど続いたかなあ、これが圧巻でしたね。俗っぽいエリート意識とハーバードだから女の子とデートできることさえ分かっていないオタク学生。その、会話にな . . . 本文を読む
敗戦直前の大阪大空襲当日の悲惨な事件と阪神大震災とを結ぶ、とてつもない「都市のトパーズ」とでもいうべき大スペクタクル。いやあ、よく書けています。
僕は大阪出身だからか、とても65年前の京橋あたりの軍需工場も興味がありますし、ヒロインが図書館を尋ねてそこから新事実を積み重ねていくといったきめ細かい地味さも気に入った。
肝心の、ああいう状況でわが子の首を処理するか、といった部分にちょっと疑問も感じた . . . 本文を読む
5つのオムニバス映画であります。すべてが虚無的でもあります。生きることの空しさ、哀しさが切実に伝わってきます。話のすべてが身近です。どこにでもあるような話がかえってリアルです。でも、こんなに寂しい、厳しい映像なのに、どうして見終わった後いつまでも糸を引いているのか、、。
ひょっとしたらこれが映像文学というものなのかもしれません。そう、この映画には文学のタッチがあります。人間の営みを、どこにでもあ . . . 本文を読む
まるで変身して一躍サッカーファンになったような【ローチ】のおどけた新作です。彼がこんなにサッカー好きだとは思わなかったけれど、真髄からそれだと認識した次第です。
心に悩みぶつぶつつぶやくとそこに敬愛するスターが目の前に入る、といったもう少年っぽいお茶目さが目立つ展開で、サッカーファンでもない僕は少々白々しくもなるが、それでも「パスこそ最高、仲間を信じることから始まるんだ」といったメチャ明るい解放 . . . 本文を読む
ノンストップ列車をだれが止めるのか、といったパニック映画でありますが、アメリカ映画らしく機関士の二人の人生エピソードもさらりと利かせ、まあうまくまとめた見世物映画とは言える。
やはり見せ場は連結器を繋げようと悪戦苦闘する場面だろうけれど、主役は穀物の襲撃ではなかろうか、、。ものすごい迫力で意外と臨場感が溢れており、出色の出来。しかし、この映画、事実を元にした映画らしくそこから離れられないもどかし . . . 本文を読む
冒頭のクレジットが秀逸。こんなに何国語も重層的に、しかもサイケに映画の扉を開けてくれる【ノエ】はひょっとしたら心優しい人なのではあるまいか、と誤解させてくれるほど見ていてワクワクする導入部だ。
でも結構、今回の【ノエ】は説明調だったりする。最初の方の輪廻の書はこの映画の物語を説明してしまっている。欧米にとっては現代でも輪廻の話は知られていないのかもしれないが、、。丁寧だ。観客に迎合する感も無きに . . . 本文を読む
昨年の映画本数は172本。ちょっと予定よりオーバー。
昨年は日本映画が質が高くベストテンを選ぶが大変だった。これは例年とは逆現象。対して洋画は90点が1本もなく、ある意味不作か。それでも米・欧・韓バラエティに富む。
『告白』は2時間強の、あの凝縮した緊密感の持続はすごい。今でも余韻に浸る。『インセプション』は完全に僕の好み。あの、たゆたうゆらゆら感は映像と睡眠中の脳裡に光線が走る。
なお、わが敬愛 . . . 本文を読む
前半は学ランの不良生活、後半は急造の極道生活。そのギャップにちょっと驚くも、描かれるのは「青春の色、音、絆、叫び、すなわち強い友情」だ。そして裏切りが混ざればそれは悲しくも崩れていく。それは青春の墓碑銘となる。
あるときみんな同じ方向を見つめていたという経験を持つ人のみこの映画の痛みは分かるはずだ。しかし、大人になっていくほどこの感覚が薄れてゆく。
自分に戻り、この映画、無理だろうけれど、うー . . . 本文を読む