最近珍しい山岳ミステリーだ。実は僕は若い時に山歩きをしていた時期があり、古くは新田次郎の小説を読破していた時もあった。
この作品はやはりラストまでぐっと読ませる展開の上に超驚きのどんでん返しが待っているので最後まで目が離せない。
山に興味がない人は読みづらいかというとそうではなく、人間がしっかりかけているから通常のミステリーとしても1級品だ。これが今年の最後の読書だと思うとまあ悪くないと思っている . . . 本文を読む
今年は今日で見納めにします。196本でした。200本を超えた年もありましたが、それでもやはり多かったです。昨年が150本だったんで3割増ということになります。
いつもベストテン上位はミニシアター系が常連だったんですが、今年はメジャー系もがんばりました。ひょっとしたらミニシアター系の質的凋落が始まっているのかもしれませんが、、。
日本映画
「歩いても歩いても」「ぐるりのこと。」「母べえ」「おくりび . . . 本文を読む
題名は少々大げさそうですが、まあ少女のいたいけな気持からは分からないではありません。肝心の親からあれだけ虐げられれば血もつながらない二人が寄り添って生きる気持ちは分かります。
でも、二人が家出するまでは、ひたっと耳をすぼめるぐらい描写が緊密でなかなかリアリティがある素晴らしい映像だったのに、新宿以降の描写が凡庸なんですね。
まず彼女たちを守る中年やくざの心境が説明されていない。感覚的なものでも . . . 本文を読む
リチャード・ギアとダイアン・レイン、そして海辺に立つゴージャスコテージに嵐が来て二人きり。それぞれ中年の哀愁を漂わせる二人には深い悩み事があった、、。
大昔から使い古されたメロドラマ設定、そして内容は今はやりの韓流です。ターゲットは中年女性でしょうが、実年代表である吾輩も結構気に入ってしまいました。意外といいんです。テーマが人間の心、相手への思いやりだからでしょうか、、。
結構丁寧に作り込んで . . . 本文を読む
榊英雄監督て、少々コワモテの俳優さんのイメージしかなく、こんな地味そうな映画をどう撮るのかなあと思っていたけれど、いやあ優しい暖かい人なんだとすぐ分かりました。
最初の夢シーンからは何かB級の雰囲気が漂いはじめましたが、なんのなんの、映画をよく分かっていらっしゃいます。というより好きなんですね。映画への愛情が映像の片隅にも出ていました。何と言ってもカメラへの親近感が素晴らしいです。レンズの堅さを . . . 本文を読む
今や世界的なテロで日常を危機感につのらされている9.11以降のCIAとテロ集団との戦いを、かなり切り込んだ脚本と鮮烈な演出で一現代を炙り出すことに成功している。
でもアメリカってすごいですね。こういうどちらかというと政治的にも避けたい題材を堂々とエンタメにしちゃう技量と野心、そしてそのたくましさには頭が下がります。テロ崩し、合戦だけでは単調と見たのかご都合よくロマンスまで挿入し硬いばかりの画面に . . . 本文を読む
人がばたばた死ぬわけじゃない。子供のときに記憶にとどめていた叔母の人生をたまたま探ることになった甥。人間の人生そのものがミステリーだという見本なような小説であります。
多島 斗志之って、2作しか読んでないけれど現代より戦後の一時期を描いたものが多いような気がする。過去の話は書きようによってはとてもポエムになる。目の前の現実より想像部分が多い過去はミステリーに向いているということだろう。
叔母の . . . 本文を読む
この映画を見てやはり男性と女性との違いを感じてしまう僕でしたが、普通の女性の何気ない心の移ろいを繊細なスケッチでさらっと書いてしまうその映画的手腕はさすがと思わせるものがあります。
ごく普通の女性である。セックスも好きだが、心の空白を埋め合わせてくれる男性をどちらかというと求めている。精神的なつながりだけは絶対必要。セックスを通じて心を通じさせたいと思っている。
超普通の女性であります。でも、 . . . 本文を読む
うまく出来たサスペンス風ロマンス映画なんだけど、ちょっと昔見た映画のような雰囲気があります。そこが魅力だけど、演出がもっと切れてれば飛びっきりの恋愛映画になったかもしれません。
俳優が旬です。ユアン・マクレガーにミシェル・ウィリアムズのカップルはいい。魅力的です。それにヒュー・ジャックマンが混ざり合う。もっと心理劇にすればよかったかなあ。いまどき秘密クラブ何てなあ、かなり前の東欧だったらそうかも . . . 本文を読む
立派にそれはそれでB級してます。何かプレステゲームのようでいて、レトロ調の怪獣映画のようでもあり、それはそれで楽しいのですが、本当に何もないです。あっけらかんです。長さも90分で映画の基本です。でも、やはり、何もないです。現代でこの何もないのが凄いといえばスゴイデス。映画館を出るとすぐこの映画を忘れそうです。 . . . 本文を読む
世界的大スターに駆け上った金城武を主役に、今受けているレトロ調を配した時代設定。そしてメジャーの配給によるエンターテインメント、予告編はすこぶる秀逸。映画を見るまでのワクワク感は募る、、。
見始めて何かいつもの怪人二十面相ではないことに気づく。仲村トオルの明智小五郎が何か違和感がある。懐かしさや優しさを感じる小五郎ではない。まるで悪役の如しだ、、。変だなあ、、と思っていた。でも、それがこの映画の . . . 本文を読む
僕がずっと追い続けている劇団空晴の第三回公演。考えれば10年以上この劇団(前身はランニングシアターダッシュ)を見守ってきたことになる。主要な俳優陣は残存されてはいるが、5人ほどしかいなく少々寂しいものがあった。
今回はリーディングでの3人芝居と小休憩を挟んでの客演も交えた「引っ越しのススメ」の連続上演だ。今までは劇団名と同様常に走っていたダッシュだったが、ものの見事に走らなくなり、スポーツものか . . . 本文を読む
前作「愛情マニア」は服部まひろ主演でとても身近な親近感のある演劇でした。今年は2回目の上演で楽しみにしていました。
サリngROCKさん、結構凝った演劇作りをしていて最初はその打って変わった変貌振りに目を白黒させ、とっつき憎い感じがしました。一見華やかなハナシに見えるが、結構意味深な内容だったので最初からどっぷり浸かるというわけにはいかなかった。女性の演劇陣が多く、見ているだけで楽しいが、結構奥 . . . 本文を読む
絶えず、愛というものを信じるがゆえに起こる悲劇を淡々と描き続けるホ・ジノ監督の新作であります。今回は僕たちのすぐ近くにあるようで遠い「幸せ」についてのスケッチです。
前作「四月の雪」に較べると随分と「春の日は過ぎゆく」に戻ったなあという感がする。やはりホ・ジノには不倫というテーマは合わなかったのかなあ。原点に戻り人が生きていくときに必要な愛というものについて問うている。
単純なハナシである。世 . . . 本文を読む
ひょんなことから社会悪に対抗することになった日和見管理職の普通の男が必殺仕置人の頭領となり、そして、、。
というある意味現代人が夢想するタラレバを少々漫画調に描写している映画です。前半は冒頭の反痴漢者然り、とても面白い展開で自分で心が踊っているのを発見するが、後半は息が持たなかった感が強い。主人公と同様自分の知らない間にエスカレートしていくので、罰を受ける人間の功罪が小さく感じてしまうのだ。
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