いつもながら前知識ゼロでこの映画を見ていた。冒頭の永作が女に電話をしているシーン、、。
話の内容から僕はてっきり永作が愛人の方だと思っていたので、最初ちょっと戸惑った。これは面白いとも思ったが、考えたらみんなある程度筋書ぐらいは知ってて映画を見ているから斬新とは言い難いのであろうか、、。
考える間もなくイモが闖入し、こりゃあどうなることか、と。ここからが現実を通り越した映画の世界に入って行くん . . . 本文を読む
恐らく世間では評判の高そうなこの映画にケチをつけるなんて弱気の僕にできる術もございませんが、実はあまり好きな映画ではない。
映像、演技、演出をもってしてさすがと唸らせるものは確かに多い。現実のアイヒマンをまるで登場人物に仕立てるような映像の処理もかなり面白い。密度の高い映画なんだろうなあと思う。
けれど主人公のハンナに僕は相容れないものを感じる。何百万人ものユダヤ人をハンコ一つで収容所に送り込 . . . 本文を読む
R・スコット、いよいよこんな映画を作ったんだなあというのがまず最初の印象。娯楽作で儲けて自分の好きな映画を作るといったスタイルが最近の彼の映画ライフである。でも「プロメテイス」でそれほど儲けられなかったから、一挙趣向の違った問題作をぶちまけたのではないだろうか、、。
そう、この映画はなぜだか、こうなってしまうというカフカ的不安映画ではあります。でもそのバックには思想的なものは皆無だ。ただ設定とし . . . 本文を読む
前作「さよなら父さん」と同じく、時間軸の違う設定を一つの舞台で表現している。片一方が成り立っているときはもう一方は体を停止させる。なかなか面白い手法で僕は前作で慣れてはいるが、普通の人は戸惑うだろう。
しかも今回は二つの話の設定が同一人物だというのだから余計ややこしい。
それでも面白いのだ。作者の、愛についての考察過程が痛いほど聞こえてくる。人間はなぜ生きているのか。何のために生きているのか。 . . . 本文を読む
確かに快テンポで面白い。これでもか、これでもかと、たたみ込む展開の妙。そしてミステリーとしてトンデモ話に持ち込む奇想天外さ。娯楽映画としてはこれ以上は望めない出来であるといえる。ただひとこと言わせてもらえれば、、。
この手の話はよくある秀作警察ミステリーで使われる手法だ。このハナシがミステリー小説だとしたらかなり面白いだろう。でも映画は悲しいかな映像で見せる分、リアルさが頭のそこはかに漂うのだ。 . . . 本文を読む
この古ぼけた貸ビルの舞台装置を見て、もうだいたい話は分かりかけている。一つのフロアに4つの店。その共有スペースに人が集まってくる。面白い設定。魅力的である。
劇団員ではないのにもう立派に劇団員を主張している牛丸裕司の変な日本語の中華コック。岩本は今回はなんとインド人コックに扮している。顔に黒いドーランを塗り多少インド人風ではある。そしてうどん屋を開店する若い青年にこんどうけいいち、4軒目の売れて . . . 本文を読む
ドキュメンタリータッチというよりまさに劇映画でありながら、ドキュメンタリーのいわゆる人生の切り取りに成功した作品である。
5年の歳月をかけて作られた映画であるという。その間に4人の子供たちはどんどん成長する。本当の兄弟だから当然顔もよく似ている。しかしそれぞれ子供でも人生の荒波を多かれ少なかれ受けている。表情にそれが出ている。とても面白い。
父親と母親はしかし5年の歳月ぐらいでは風貌はあまり変 . . . 本文を読む
ゴンドリーの映画、今まで見てはいたが僕には少々とっつきにくい感触だった。この作品も多少そういう部分もあるが、見ている間にどんどん惚れこんでいく自分に気づく。
映画にしかできないイメージが全編に溢れていて、薄っぺらい映画が多い中これはすごい。立派。まさに映画愛が結実し、その表現力は見事の一言だ。この映画は感覚で見る映画だね。こんな映画は大好きだ。
いろいろ奇抜でおかしげな道具が出てきて楽しめるが . . . 本文を読む
この題名がねえ、何ともキモイなあ。余命いくばくもない若者を含む4人の果てしない旅路の話である。大体ストーリーは映画を見る前からほぼ想定できる。そしてそれは見事そのままであった。ただ一部を除いて、、
そう、その部分とは、最後の目的地に着いてしまった後の主人公の行動である。
死ぬのは仕方がない。90歳生きようが、1歳で亡くなろうが、人間は一度は死なねばならぬ。29歳という若さで死ぬことの意味を考え . . . 本文を読む
青春ものロマンスの定番スタイル男2+女1。そこに大人の実女一人を加え、大地震の爪あとの残る中国の過去と現代・そして未来を描く。いったい人はどこへ行くのか、行こうとしているのか。それを一瞬のカメラで切り取っている。しかしこの映画、観念的ではある、、。
4人が4人、そろって自分にそれほど深く踏み込まない。それぞれ悩んではいるが表層的である。表層的であるがゆえに、そこに崩れゆく自然・文明を持ってきても . . . 本文を読む
ハルストレム監督、好きだったんだけどなあ。デビュー作「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」が結局一番好きだなあ。逆に言えば多作だけれどそれを乗り越えられないのか、デビュー作がベスト1というのは結構あるようで実はそうでもないのだ。
で、本作。最初から夫殺しのまるで「逃亡者」風、唐突映像からこの映画は入る。いまどき指名手配されて安穏と暮らせるのだろうか、という不安。
ところがあっと驚くトリックをこの映画 . . . 本文を読む
サラエボ紛争を基に女性の生き方をクローズアップした作品です。結構この手の作品は多いデス。本作は紛争さながら人子受精を考える夫婦との絡みであります。でもなあ、、
ラストになって初めて真相が明かされるというこのショッキングさは痛烈で哀しいものがある。しかしこの長丁場の映画、このラストだけでサラエボを伝えようとするのはちょっと甘すぎるのではないだろうか。夫婦愛の人工授精版2時間はあまりにもただ添え物に . . . 本文を読む
予告編の斉藤和義のバラードが尋常ではなく、その雰囲気に流されたく、見る羽目に、、。
うーん、長澤と高良と 波瑠と中村蒼の4人組15歳というのはやはりいかがなものかなあ。少々キモイです。4人だけでは不思議ではないけれど、他のクラスメートの一群の中ではちょっと、ねえ、、。
それはいいとして、現代のヤングがこんなに繊細でプラトニック系なのか、そもそもこういう性向は多少でもあるのか、えー、ほ . . . 本文を読む
この映画、見終わった後気づいたことがあった。いったいどこの国の話だったんだろう、ということ。ヨーロッパなんだろうけど、分らなかった。どこの国でもよかったと言えばそうでもあるが。
結局タンゴが個々の人生にどう影響しているのか、なんて考える映画でもないような気もする。いろんな場面にアルゼンチンタンゴが出てくるが、それほど掘り下げてはいないので状況としてそうあるといった感じなんだ。
女があれほど時間 . . . 本文を読む
主役が手垢のついていない俳優で新鮮である。けれどその他主要な脇役がオールドで、それはそれで演技的にも安心できるのだが、ストーリー的にも凡庸で少々盛り上がりに欠ける感がした。
10年ほど前、家老クラスの一人が濡れ衣を着て城を守ったという武士の美徳がこの話の礎なのだが、今回さらにその無念の死をもって殉じた息子を騙し殺戮しようとすることなかれ主義の藩首脳部のノー天気さは現代にもつながるところは確かにあ . . . 本文を読む