過去あれほどの秀作を撮って来た吉田の新作でありますが、完全に今までのイメージをうっちゃられた感もあります。
文芸的SFというのは阪本の「団地」でも感じたように、どうも漫画チックになってしまう傾向がありますネ。
だからコメディにしてしまうんでしょうけど、日本の実写版sFの展開なので浮いてしまうこともあるんですよね。
中盤までストーリーを追うのがもどかしく、いくら吉田の映画でも今回はちょっとダメ . . . 本文を読む
東京にいた時よく見た演劇だと思った。センスが良くて、ちょっぴり不条理で、恐くて、面白い。全編詩情に溢れ、そして哀しい。そんな演劇を大阪で見る。
名前だけは知ってはいたが、初めて見るコトリ会議。随分、何気に深いものを感じる劇であった。
またまた90分。最適の時間。けれど結構深い内容だったので長く感じた。竹林なのにまるで富士の青木樹海のように彷徨う人間たち、、。自殺を試みる人たち、宇宙からはるかに . . . 本文を読む
初めて見る劇団です。宝塚のレビューのような、それでいて時代劇、しかも新選組を信望する女性群。なかなか大変だろうと思います。
何が大変だって? 通常の劇の練習の何倍もしなければいけないのではと思ってしまいます。それぐらい立ち回り、歌、セリフなどてんこ盛りでした。
最初は固そうに見受けられたんだけどそのうち乗って来て、あのトリイの舞台が広く感じられました。全然面白かったです。
彼女たちの思いがず . . . 本文を読む
ベン・アフレック、骨太の会心映画です。こんな映画を撮りたかったんだ。それが実によく分かります。
単なるならず者がギャングの傘下に入ることでどんどんのし上がってゆくその疾走感。初めて愛した女はボスの女。まだ若い彼は愛の燃焼に身を燃やす。これは彼の人生に影響を与えることになる。
完全に悪者の主人公なので、感情移入はそこそこに、でもこれが悪徳ものではなく通常のサラリーマンと考えれば、だれにでも親近感 . . . 本文を読む
入場するとき、劇団代表ナオミさんからのきれいな文字のあいさつ名刺が手渡される。いつもファンを大事にする人なんだなあ。今回もファンとの飲み会を入れている。残念ながら今回僕は参加できなかったが。以前に、ビールを片手に俳優さんと談笑した想い出が今でも強く残っている。あまり例のない劇団のファンサービスであり、嬉しい。
ところで今回の劇は日の出旅館。何年か前に見た覚えがあります。ところがストーリーは全然違 . . . 本文を読む
入ってすぐ、あの巨大で傾いた宇宙船を見る。今まで様々な大道具を見て来たけど、これは何か宇宙物理学の匂いがする。そう思ったけど、劇は地球が宇宙に浮いているなどアインシュタインとはほど遠いものだった。
でもだから面白かった。この劇団、随分見てきたけどどんどん洗練されてきているね。俳優連中みんな若いし、それにみんな一人一人でも十分主役はれるぐらいうまい。かっこいい。見ているだけで惚れ惚れする。
随分 . . . 本文を読む
初めての劇団。でも主宰者の竜崎だいちさんは他劇団でも見ており、また2,3人は知った顔のいる劇団であった。
導入部から意味深で、謎の多いウガツを知るためにゼンカは山に入ってゆく。さてそこには、、。
大道具が何かしらロールプレイングゲームのいでたちで、軽めの劇なのかなと思ったら、とんでもない、舞台は炭鉱を意識し、明るさも控えめで、終始薄暗い採光での劇である。何人ものウガツが登場してくるので当初ちょ . . . 本文を読む
何か昔テレビドラマでこういう猟奇連続殺人事件を見た覚えがあります。殺人が継続して第三者につながってゆくという不思議で奇妙な、しかし興味あるミステリーです。
このミステリーの褒められるべきところは最近の江戸川乱歩賞の停滞をしのぐべく本格ものであるということです。何よりこれがいい。
また、原初の犯人の手記もなかなか厭味なくきれいに連続殺人事件を書いている。それは殺人の行程を描いているのではなく、犯 . . . 本文を読む
大好きな劇である。世界中で戦争が起こって、もはやミサイル発射は日常的。それも人間の意思が届かず、壊れたプログラムにより引き起こされているのだ。
そんな世界の最後の日々にリヤカーに荷物を積んで、旅芸人の初老の男と若い娘がとぼとぼ歩く。けれど彼らは決して暗くはない。何かしら淡い希望をもってその日を過ごす。
そこに一人の若い男が紛れ込んでくる。ヤスオというその男はキリストまがいの奇跡をしてくれる。若 . . . 本文を読む
「ムーンライト」そして本作を産むアメリカってどうなってるんだろう。両方とも10年に1作の秀作である。これまでのアメリカ映画を断然見直すべき秀作の到来であります。
まるでアメリカ映画じゃないみたいなんです。一人の男の心を静かに、震える手で触るように、じっくり描いた作品なんです。
あることがあり、心を閉ざしてしまった男の話です。でもそれはこの映画を見る人々の誰もがあっと驚き、納得してしまうものです . . . 本文を読む
またまたお気に入り劇団。何といっても劇団員さんたちみんなが若くて華やか。見ているだけでさわやか感が充満する感じ、と言ったら失礼だろうか。
僕が演劇を見ているのは映画とは違い、若い人たちの汗と熱気を感じたいがため。何かを信じて何かに打ち込んでいる人間の姿は老若男女通してとても美しい。その瞬間を見たいのだ。
この劇団が、お堅い文学ものをやるという。シアトリカルは浄土宗の寺だから、真宗の開祖親鸞が登 . . . 本文を読む
女性4人がシェアハウスで暮らしている。そして彼女たちが話している内容は、といえば、取るに足りないお話ばっかり、まるで女子会を覗き込んでいるような錯覚にさえ襲われる。しかし、設定がどこかあの秀作虚空旅団の「誰故草」を思わせるのはなぜだろう、、。
ところがこの劇、2/3を過ぎたあたりから、急転する。彼女たち40代に見えた風貌は放射能を浴びた病気のせいであり、医者たちからも騙され監視下に置かれていると . . . 本文を読む
行ったことのない美術館であります。それを映画でごまかそうとする我の企みはまあ満たされるが、映画は個々の美術品より、ロシアの歴史と共に歩んできたこの美術館を全面に出す。戦争の相手国ドイツも然り、内戦のポリシェビキも同様であった、、。
と、エルミタージュとともにロシアの悲鳴を聞く羽目になる。まさにそれは見かけでは最大の美術館を呈しているが、ナチスに対するルーブルと同様、エルミタージュも美術品の移送と . . . 本文を読む
執念を感じますね。映画とは別に美を意識しなくとも、ショットも、セリフも、演技も、そんなの、作品を作られるかどうかという命題の前には些末な話なのである。とは言いつつ、制限のある環境でパナヒの才能が十分感じられる秀作であります。驚異的です。
にもかかわらず、こんな邦画名を考え出す業界の人間たちは少々不埒ではないかなあ、、。「タクシー」でいいではないか。 . . . 本文を読む
久々のアレン映画。だいたいあまり僕と相性が良くない作家です。でもいつも見てしまっていた。で、今回はまた何となく気になり見てしまった。そしてこの映画はアレン版「ラ・ラ・ランド」のようで、、。
それでもさすがはアレン。元祖(?)チャゼルのようなエッセンスだけを集めたいいとこ取りはしませんでした。ちゃんとじっくり二人の愛の行方を描いていますね。あまりに陳腐な使い古されたテーマなもんで、時代設定を193 . . . 本文を読む