昨年に続きとうとう今年も鑑賞数が100本を超え104本になった。これは危険と思い、セーブしていたつもりだが、、。
90点は1本だけ。10月にシアトリカルで見た、あやめ十八番「三英花 煙夕空」(脚本・演出 堀越涼)である。東京の劇団であるらしい。とにかくセンス抜群。「もののふ言葉」で語られる劇である。能に通じるところもあり、芸術性がかなり高い。なのに、ミステリーをも取り入れ、娯楽性もたっぷり。とに . . . 本文を読む
今年は映画鑑賞数71本。昨年とほぼ同じ。演劇が100本を超えているので、まあ妥当な本数と見る。我が年齢、限られた時間、カネからするとこれが精いっぱい。
洋画に比べて、日本映画が少ない。見逃したものも多いだろうが、日本の映画作家と言える人の活動が停滞しているのではなかろうか。洋画は選ぶのに苦労したぐらいで、好きな作品が公開され、充実した1年だった。
ドランのこの映画は主人公が最後までセリフらしい . . . 本文を読む
ALWAYSシリーズ、昭和史的映画の秀作を手掛けて来た山崎の作品にしては、これはまた随分と娯楽色に徹した映画であることよ。彼もやはり日本エンタメ映画の群れに甘んじてしまうのか、、。
特に前半の組み立て方がベタで、全然山崎らしき特色がない。後半になって、愛しき新妻がさらわれてからはやっと勢いが増しては来るが、まあそれも通常エンタメの域を出ることはない。
要するにいつものスゴ~~イ感があまり見られ . . . 本文を読む
年末恒例、ダニエルの歳末公演。もうこれを見て年を越すというのが定番になりました。また今度も全く知らない劇場。なんと、仏壇屋の2階のスペースが劇場でした。これは何というか、今回の劇は仏教に関係があるのでしょうか、、。。
目の前に布団一枚。何が起こるのか。僕は最前列の久しぶりの座敷席。80分ぐらい我慢できるだろうと思っていたが、やはり寄る年波、かなりきついです。
3列目からの椅子席にしとけばよかっ . . . 本文を読む
これは、すごいですなあ。いつの間にか、主役がくるくる変わっとります。結局主役は誰だったか!
レイ、カイロ、ポー辺りが最初目立つが、結局名前バリューで出演していただけだと思っていたレイアとルークが後半になって、俄然メキメキ頭角を表わしてきて、いやあ古き良き「スターウォーズ」の世界にいやがおうにもどっぷり首を突っ込まされました。
レイアさまなんて、もうこの世にいないのが観客には分かっちゃってるだけ . . . 本文を読む
達者な役者陣たちが勢ぞろい。秀作劇の多い劇団六風館から多数出演。安心できる。
脚本は高校生らしい。でも取っつきにくいカフカを題材に。意欲作である。
カフカの『変身』『城』『審判』『父への手紙』のオムニバス的、ダイジェスト的なカフカ論である。それでも、脳裏はやはり高校生、それほど深くカフカを掘り下げてはいないように思った。
カフカが全世界へ与えた影響からすると、この作品は今やカフカさえ知らない . . . 本文を読む
後半までは、それほど高揚する気持ちになれなかった短編集だったが、この古典部の二カップルの神髄を語るに重要な部分が語られる「チョコレート~」「遠回りする~」のは感心してしまう。
ミステリーというより、明るい緻密な青春小説である。ただただ素晴らしい。気持ちよくこの小説集を読み、そっとこの本を置く。そんな小説が今少ないように思えるのだ。
まだまだ続く古典部。さあ、読み続けるよ。 . . . 本文を読む
冒頭ノリオが登場する。若くはない。いや、もうすでに老人である。そこに同じく老人たちが一人一人訪ねてくる、、。ノリオが殺人を犯したのが19歳の時だから、それから数十年経っているのか、と分かってくる、、。
このように面白い設定で、彼の死刑寸前の懊悩状況からこの劇は始まる。
脚本、演出もウイングフィールドという小さな劇場を十分に意識し、これ以上ない出来の劇である。演劇的には本当に素晴らしい出来で、目 . . . 本文を読む
米澤の古典部、僕にとっては第2作目。短編集かなあと思っていたら、第1章を読んでまだマラソンの初め。そう、今回は長編ものだ。
マラソンをだらだら走り、または歩きながら後ろから駆けてくる一人一人に尋問してゆくという、ユニークな構成に新風を感じる。この手の高校生ものではぴったしの感覚で、大いに気に入る。
まあ、言われてみればそうなんだ、という奉太郎の指摘に、アッと驚くどころか、そんなの、あのちょっと . . . 本文を読む
久々のカオス。この劇団好きなんだあ。どこがって?
そうですね。みんな純朴で、素直で、ピュアで、逞しく、まさしくいい意味での大学生たちって感じがします。学生演劇なんだからそれは当たり前なんだけど、でもほかの学生劇団とは違うネ。チームワークが全然いいのかな。とにかくいいのだ。
今回は、成井ものだから、だいたい展開も予想は出来たけど、家族と愛。このテーマが2時間半突っ走る。スケールが大きい。
クリ . . . 本文を読む
甘いと言われても、ポップな展開に目を輝かしたとはいえ、エル・ファニングの可愛さにうっとりし過ぎたとはいえ、
ストーリーがかぐや姫がかってるとはいえ、やはりこのピュアな映画に心ときめかせ、愛の確かさ、哀しさ、人生の深さを思い知ったのも事実なのである。この青春の迷い・輝きを一瞬に醸造した、まさに宝石のような映画を奉じた全スタッフに感謝! . . . 本文を読む
日本映画で、これほど血のたぎりを感じる映画も最近では珍しい。3兄弟の血を巡る話なんですな。僕も4人兄弟だけど、この3人の感覚は分かるし、よく出ている。
兄が弟に向ける優しさも後半で露見し、そして僕は感動する。大森は長兄だけに抑えた役どころをさすがいぶし銀のうまみ。お父さんにも似て来たね。
実質的な主役は桐谷なんだろうけど、切れた感じと淡い憂いの合わさったところの表現が作りものではなく、自然と湧 . . . 本文を読む
特に、映像が斬新だとか、展開が意外で新鮮だというのでもなく、ところが最後まで見せてしまうその腕力につられ、途中で「嫌な映画を見てる」という蔑視感も忘れ、最後には見事な打っちゃりを打ち、観客をある意味納得させてしまう力量は、さすがだと思わざるを得ないものがあります。
まあ、病院で自分のまともぶりにやっと気づくザラも、あの事故を後で知ればまたどう変わるかもしれないし、警察が事故車両を調べれば、あの事 . . . 本文を読む
米澤の作品は最近よく読む。でもこの古典シリーズは初めてで、これがその中でも最新作らしいのだが、読んでみて何とも素晴らしい。
青春前期、年齢の割には何でも透けて見えている年齢の彼らの心持が手に取るように分かる。(分かると勝手に思っている。)
久しぶりに、一気読みで、しかも一ページを繰るのがとてももったいなく、大切に思う気持ちで本を読むという最近ない経験をさせてもらった。
作品はどれも好き。特に . . . 本文を読む