2泊3日で東京に行く。行く前はゆっくり、じっくりと秋の美術鑑賞でもしようとか考えてはいたのだが、結局は夜は飲み会2回。関西であれほど見ている演劇、今回は東京では見るまいと思っていたのに、結局毎日見る羽目になり3公演鑑賞。そして合間に映画も2本。
正直結構きつい、そしていつもと変りない東京紀行となってしまう。あ~あ。
東京は行く前に季節外れの大雪だということで厚着をして行ったら何のことはない、大 . . . 本文を読む
何だろう、目の前にマイム的なスポーツ競技が催されている。見たことのないオリンピック競技だ。点数も何故そうなるのか全然分からないほどエキセントリックだ。背後のスクリーンにはオリンピック憲章が次々と流れている。
観客はその不思議な競技を最初から最後まで全部見続ける。見続けた。クスッと面白い部分もあるけど、どうしても意味を考えようとすると、そこで止まっちゃう。考えなくていいんだと気楽に劇を見てると、で . . . 本文を読む
この演劇はすごいねえ。もう演劇の常識というものを自らはみ出している。演劇の素という観客を楽しませるには、という基本中の基本を、徹底的に考え抜いている。でも普通はそこまではやらないといったものにまで、どんどん観客に擦り寄って(いただいて)いる。
いままで数えきれないほど演劇を見てきたが、ここまでやってくれた演劇集団は初めてである。どんな劇団でもどこか冷めている部分があるものなのだ。(彼らもその部分 . . . 本文を読む
題名から推察されるか、あの「白雪姫」からヒントを得た作品だと思うが、見てみるとエネルギーからして、ものすごいことになっている。狭い舞台に10人ほどの大人が踊り狂い、汗を吹き出し、何と純粋な童話をやってのけているのである。
彼らは全然物おじせず、ファンタジーを演じ切る。かなりグレーかかったファンタジーではあるが、どんどん燃え上がる。大の大人が悪びれず童話を真正直に演じるのだ。これほど素晴らしいこと . . . 本文を読む
神様のような徳を集めた善人の父親が死ぬ。その葬儀の一夜を彼を思い求める人たちの心の動きに合わせて綴ったモノローグ集。読みやすくまたとても面白い。そしてミステリーだから簡単にそうは行かない逆転劇が続く。さらにラストのドンデン返しが、、。
全くミステリーをこよなく愛する吾輩には至れり尽くせりの作品ですが、最後の30ページにはちょっと無理感も。筆が滑ったからそうなったのか、それとも最初からこういうラス . . . 本文を読む
冒頭の、車で走る東京の街の風景がいいね。なんだか懐かしい。かれこれ東京に20年近くも住んでいた吾輩にとってはこのフィルムは郷愁に近い感さえする。
先日WOWOWで、前作「深夜食堂」を見たところだったので、何だかその続き感もうれしい。
けれど、WOWOWの大きさと、スクリーンでの大きさの相違に最初は戸惑う。この映画はテレビバージョンぐらいのサイズの方がいいのではないか、特に第一話が内容的にもスケ . . . 本文を読む
ファン・ジョンミンの出演する映画に凡作なし、という格言を信じてまた見てしまう。
まあ、今回は観客には(特にカン・ドンウォンファンには)サービスたっぷりの演技をさせているが、その分主役でありながらファン・ジョンミンは最後まで刑務所を出られず、ある意味損な役回りであった、ような気がする。
ファン・ジョンミンも結構多作であり、これからも今までのようなオール渾身作には恵まれないだろうが、それでも、面白 . . . 本文を読む
冒頭から続く前半はまるで一本の映画本体を解体したかのような、或いはエミリー・ブラントの脳裏を解体したかのような不思議な描写と語りが延々と続く。
大体この映画は作り側と観客側との一種の闘いなんですね。見せる方と見る方とが、出し惜しみをする作り手からいかに何を引き出すかがポイントとなるのである。
でも僕は1時間ぐらいそれをやっていて少々の疲れを覚えてくる。そういう気配を感じたのか、作り手がだんだん . . . 本文を読む
ずっとこの劇団を見て来ているが、だんだんと回を追うごとにコメディなんだけど研ぎ澄まされて来ているというか、コメディの質が洗練されていることに気づく。
そのため、面白いんだけど、ハチャメチャ部分も計算されているので、演劇的には高みに向かっているんだけど、脱線があまりない。それゆえ、ちょっと前まであった爆笑といったものが少なくなって来ているような気がする。
これは演劇的には極みを目指すという視点か . . . 本文を読む
ミステリーという呼びこみながら、確かに一つの殺人事件は起こるが、それほど謎めいたものはない。作り込みも古めかしくレトロを基調にしているのは間違いない。現代より昔が何故か気になるのだろう。そんなノスタルジーが全面に出ている。
ラストで、ある女性の仕掛けたストーリーだという種明かしをしているが、これがミステリーの謎解きとは思えない。僕だったら、あの女性が本当は真犯人だったという設定を採るなあ。とかな . . . 本文を読む
180ページぐらいで短編が4篇。すぐ読めちゃう。
それぞれアッという驚きが生じますが、凝り過ぎているというか、練りすぎているのかなあ、でも、だからこそ面白い。4編の中では『サンクスレター』が印象に残る。凄いと思う。ここに書けないのが苦しいが、今まで読んだことのない別次元の謎解きであります。
なかでもユニークな取り組みである『秘薬』もさすがで、にんまりとした。でも、自宅介護を題材の「手に手を」は . . . 本文を読む
まずこの大仰な題名に少々引いてしまう。でもそれはラストのラストで明かされる。ふむふむなるほど面白かった。
そして見ていてすぐイザベル・コヘット「死ぬまでにしたい10のこと」の日本版だと思った。ただし、カラーはこちらの方があくまで明るいし、強い。その差はあれど、人が死期を悟ったとき、それでもこれからどう生きてゆくのか、考えさせられる秀作であった。
今や珍しい銭湯がこの映画の舞台なんですね。ただし . . . 本文を読む
3編の中編もの。それぞれが50分程度で、それぞれに前説が付く。この前説は凝っていて一人芝居風でもある。とても贅沢。全部で3時間程度にもなる長尺だが、一つ一つの芝居が観客のサービスを第一に考えていて、見ていてとても豊饒な気持ちになる。
充実した演劇の時間である。すなわち演劇者と観客との気持ちが見事にはまった、年に何回もない珠玉の芝居であります。至福の時間であります。タマラナイ、、。
まずは「無言 . . . 本文を読む
想像していたよりぐんと硬派で、しかも「報道とは何か」という重いテーマが全編に渡って繰り広げられるので、そのことにまず驚いた。
最近これほど直球の硬派演劇を見たことがなく、しかも2時間を超え、また劇の舞台がエルサルバドルという中米の地味な国での話なので、よくこんな題材を選んだもんだとある意味感心する。(これは褒めてます。)
報道の本質。テレビメディアの嘘と真実、そしてつきまとう娯楽性。現場で撮ら . . . 本文を読む
久しぶりの島田 荘司。そして懐かしき御手洗潔名探偵、なんだが、最後の方にちょっくら出て来て名推理をして、そして終わり、というそりゃあ、なんだか、投げたような書きっぷりでしたが、それでも、この、「まったく自殺する気がないのに、その銀行ビルの屋上に上がった男女は次々と飛びおりて、死んでしまう。いったい、なぜ? 」という謎解きにはぐっと惹かれるものがある。
この謎だけで本を買ってしまった人も多いのでは . . . 本文を読む