これは一気読みだなあ。ミステリー的には大変面白い読み物であります。そして女性ならではのあの内面的苦悩も理解でき、でもそれが伏線になっているとは、、。
でもこれは叙述形式だからできることで、映像では不可能でしょう。このトリックをこの作品では二度ほど試していますね。でもやはり面白い。秀逸です。
問題は自殺に見せかけた殺人を警察が気付かないはずがなく、あのラストの二人の警官が訪れるシーンは主人公の二 . . . 本文を読む
確かに最後の20分は韓国映画でも類を見ない面白さである。どこで終わってもいい映画なんだが、そこから二転三転させているところが秀逸。イ・ビョンホンもおどけた役者ぶりで絶大なるファン向けに新たな魅力づくりに精を出している。その根性に拍手!
ただ冒頭からの90分は少々この内容にしては凡庸。切れた演出だったらもっと秀作になり得た。惜しい作品です。 . . . 本文を読む
岩井の新作。しかも3時間という長尺。最近敬遠する時間だが、体の調節をして頑張る。時間はさすが岩井映画、全然気にならなかった。また、出演者全員が芸達者で安定した映像を堪能できたことも一因。日本映画としてはここ最近ピカイチの収穫作である。
冒頭の東京の何気ない雑踏の風景が(いつも見慣れているはずなのに)実に美しい。いい色合いだ。もうここで岩井は観客の心をがっちり捕える。赤い郵便ポストに揺れて手を挙げ . . . 本文を読む
70分、本当にみんなハイテンションでコメディをやっている。しがない民宿宿でのドタバタコメディなのであるが、ほのぼの感も十分ある。時々顔を出す不思議な幽霊も人懐こく、全然怖くない。チャーミングでさえある。
この劇は何といっても大道具が素敵である。それは見とれるほど素晴らしい出来である。入口の戸なんかは実はその奥に僕らが入るトイレがあるのだが、この戸を壊さないでずっと保存しておいてほしいと思っている . . . 本文を読む
結構漫画チックな冒険活劇SFものといってしまっていいのだろうか、役者たちも楽しんで演技している感がこちらに伝わってくる。みんな若く颯爽としている。
冒頭に「人間に死には3つある。肉体の死と精神の死、そして永遠の死である、と、、」と告げられる。永遠の死とはみんなの記憶からも一切消えてしまう、すなわち本当の永遠の無である。この永遠の死が今回の一応テーマなのですが、、。
卑近な日常的な話でもなく、架 . . . 本文を読む
何となく時間が空いていたから見た演劇なんですが、まず
①これが旗揚げ公演だという。結構旗揚げ公演は見たつもりだが、何と旗揚げに見られる落ち着かなさがまるでなし。というか、もう数回公演をこなしている堂々感もある。これはすごい。
②旗揚げにしてはHEPなんて、ずうずうしいと思う。(これは完全に僕の斜め的私感です)普通はせせこましい小劇場から2,3年目でHEPという段階を踏むもんだ、という先入観を彼 . . . 本文を読む
題材は現代的だが、昭和の香りいっぱいのまさに家族ドラマすなわちホームドラマであります。徹底的に脚本を練り込んだ山田の完璧な映画追及。山田にしては珍しく全く隙がない。東京物語を信望する山田のホームドラマとしての真骨頂そしてその達成感。その思念が俳優陣に届く。
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いやあ、面白かった。迫力あった。全員投球の壮絶な野球を見た感が残っている。実に楽しかったあ~。本質的な演劇の醍醐味を味わう。
これだけのストーリーで、2時間弱の劇を持ち応えさせるのは本当は大変だと思う。でも全くだれるところがなく、ラストまで一気でした。そこが偉い!すごい。
だいたい川田恵三さんと練間沙さんを見るためにやってきた吾輩であるが、そのうち全員がちゃんと役をもらって、しかもそれぞれがち . . . 本文を読む
結構難儀な演劇だ。川を超えた所はどんなところなのだろう、ある家族が川向こうの人を誘拐し、その人と話すことにより、家族それぞれが自分自身の本源的なものに向かい始める、、。
ずーっと彼らが何をしているのか最初分からずちょっと焦りました。でも彼らの話している言葉は(特に最初の方は)ポエムのようで頭に入っては消えてゆくのです。普通のセリフならもう少し頭にとどまるものなのだろうけれど、そうはならない。
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宇治に行く。天気は良かったが、まだまだ春遠からじの風が吹いており、少々寒い。
宇治は実に久しぶりだ。10年は来てないだろう。まず、世界遺産でもあり有名な平等院へ。結構人がいる。中国の観光客も多い(大阪ほどではないが)。境内に入り、池の周囲を散歩。正面から池をまたいで、例の阿弥陀仏を御簾越しに鑑賞。結構明瞭に見えるものだ。
宝物館に入る。まず二つの鳳凰が美しい。目立っている。毅然とした風情が素晴 . . . 本文を読む
夜中に渋々筆を進めては立ち止まる作家。眠ろうとするが締め切りが迫り、部屋にまで編集者が押し掛ける。本の構想にしても作家は殺すのをやめて変更しようと考えるのだが、編集者は承知しない。作家の苦悩は夜を跨いでいろんな妄想を抱えるようになる、、。
この作家の脳裏を一人の青年が傍らで70分ずっと舞踏で象徴する。それは美しい舞踏であった。彼の脳裏と交錯するときもあれば、どんどん離脱するときもある。そんな心象 . . . 本文を読む
うーん、考えちゃうね。確かにこんな展開はひょっとしたら世界で初めてかも。少なくとも日本では絶対ないネ。
冒頭のいわくたっぷりの猫の話に少々驚いたが、まあ最近こういうのが多いのでそんなものかな、と頭の隅に置いておいたが、まさか。
そもそも上司の検事の冤罪を解明する女検事の話のはずが、本筋の事件ではなく、派生的な事件の解決がメインである。その派生的な事件が、なんと驚くなかれパラレルワールドで何回も . . . 本文を読む
この「ラブアクチュアリー」風のタッチはとてもよかった。俳優たちの演技も自然で言うところなし。ハートフルな声が響く心地よい映画であった。でも、、
その掘り下げ方はちょっと浅い感がしないでもない。でもそれはこれだけのエピソード数から考えるに仕方がないことなのかもしれない。掘り下げ方によってはトーンが変わってしまうかもしれないし、ね。全体のスケッチは確かに淡くパステル調で、映像に浸っていける。
考え . . . 本文を読む
多人数による演劇だ。全員セリフ回しがとちらず立派。日頃の練習成果が現れている。一人一人の話す言葉は抑揚がある。素晴らしい舞台だった。しかもダンスまで登場し、それが結構エレガントで美しく、全体の流れにいいリズムを醸し出している。
いじめのような苦痛を日常的に味わう青年がドア一つで経験した別世界はどうだったのだろうか、というテーマだ。
彼の時空を超えて遭遇した場所は、エルドラドというネイティブアメ . . . 本文を読む
あの時のリーマンショックをまざまざと思い出させる。当時は低所得者向けの住宅ローン債権化というポイントに、ある程度説明を限定していたような気がするが、この作品を見ると、投資対象が金融製品だけでなく、金になるなら何でも対象にしていたかが分かり、驚く。
それはある意味賭け事であり、ロイズ保険のようなイメージか。アメリカでは何でも証券化しちゃうんだね。驚きやした。
さて映画の方はというと、誰でも分かり . . . 本文を読む