ホアキン・フェニックスって個性的で、古代の伎楽面に似た大きな鼻が特徴の特異な顔をしています。全編出づっぱりなので、ほとほと疲れます。兄貴とどうしてこんなに違うんだろうとか、作品と全く関係のないこともつい考えてしまいます。
冒頭の海辺シーンと言い、教祖ドッド夫婦共同の自涜シーンと言い本当に幼児趣味が濃厚でありますなあ。それらはそれほど意味のある映像とも思えないが、かと言って余裕の裏返しとも思えず一 . . . 本文を読む
我々日本人には修道院での悪魔憑き事件なんか知るべくもないが、何とまあ不幸な事件であることよ、と簡単に一言では片付けられないからこの映画は生まれたのだろうが、それにしても2時間半の長尺、確かにラストまでの切迫感・臨場感は見事の一言。
でもねえ、この話、登場人物みんな悪い人は誰一人いないんだよね。なのにこういう事件が起こってしまった。何がいけないんだろうか、なんてことをムンジウは問いかけてはいない。 . . . 本文を読む
戦争で異変があった時に肉親に告知する役目を背負う軍人。彼らの存在は知ってはいたが想像以上に過酷で大変な任務である。映画は戦争の裏側に潜む人間の苦悩を静かに描き出し秀逸。
でも思ったより甘いかなあ。肉親の肉体接触禁止のはずなのに思わずハグしてしまうベン・フォスター 。それは自分自身の精神的成長の結果でもあるのだが、映画的とはいえ甘い。
あらゆる肉親から罵倒され「何故あなたが生き残り私の息子が死ぬ . . . 本文を読む
ドキュメンタリータッチかなあと思えばそうでもなく、しかし舞台がほとんど体育館の遺体安置所でのエピソードなので、それぞれ彼らが生きた人生が浮かび上がってくる構成となっており、まさに映画劇であります。
この題名の「遺体」という名前にこの映画のすべてが表れている。安置所に運ばれる遺体をぞんざいに扱う人たちに「遺体であり死体ではない、彼らを生きているように扱ってください。」と優しく諭す民生委員の西田敏行 . . . 本文を読む
あの、僕にとっての、永遠の名作『イルマーレ』の監督たるイ・ヒョンスンの新作。でも何やら至る所で力不足が露呈。一体全体『イルマーレ』は何だったんだろうとまで思うようになって来た、、。
最近、ソン・ガンホだからって、安心してはいけない。一時の作品選択眼が見られない。というか、ひょっとしたら作品を選べる状態ではないのかもしれない。それほど軽い役柄である。全然彼でなくとも構わない役柄である。
相手役の . . . 本文を読む
ハネケにしてはえらくオーソドックスで毒がないなあと言うのがまず僕が感じた印象。また映画ファンとしてもあのトランティニャンとエマニュエル・リヴァ が映像に並ぶだけであらゆる想いが湧いてくる。
冒頭のコンサートのシーン。大勢の観客を映しながら、音だけ鳴っている。ピアニストは出て来ない。珍しい映像である。
夫婦の住居、マンションなんだが、入口もとてつもなく広く大邸宅であることが分かる。しかし映画はほ . . . 本文を読む
哀しいかな、ダメだった、、。やはりこういう映画は童心に戻れない僕は完敗です。映像もとてもいいものがありましたが、この世界に入り切れませんでした。こればっかりは仕方ないかな。まだ、白黒映像部分にはちょっと惹かれました。 . . . 本文を読む
いわゆる悪徳ものなんだよね。予告編のイメージとは180度違うこういう映画もまあ珍しい。それなのに、主人公にすり寄って行く我が心の哀しいことよ。この作品は観客の悪徳度を試す試験紙ではないのか、とさえ思ってしまう。
あの展開のまま最後まで嘘をつきっぱなしで後々に後悔の念にくれる男と、この映画のごとく最後にうっちゃって人生を取り戻す男を比べてどちらがいいかい、と比較する単純な浅い映画のようにも思えてく . . . 本文を読む
冒頭の諸注意のあと、この舞台がほろ苦い物語であると告げられる。年老いた二人の老いらくの恋であることは観客は知っているので、なるほど悲恋なんだなあと脳裏に受け止める。
8月の一月ほどの恋のエピソードが時間を追って区切られ、そのつど舞台の設定も違える至れり尽くせりの舞台づくり。甘美な世界である。セリフも発声もほぼ完成度が高く、気持も十分伝わってくる。
戸田恵子が容貌も美しく、老いらくの恋とは到底思 . . . 本文を読む
冒頭に映像が映し出され、若いカップルの男の方に車がぶつかる。急に場面が変わり通常の舞台構成。そのうちこの交通事故を忘れていたら、これが後で効いてくるという仕掛け。うーむ、なかなか面白い。
けれどね、若い人のほとばしる熱情なり発想力は強く感じるものの、何かふっきれないものが残滓となって残る感じ。俳優は精一杯頑張っているんだけどなあ、、。何か、素晴らしいと認めるものが不足してるというか。
いつもの . . . 本文を読む
高校生の学園物、しかも密室ミステリー、さらに本格という触れ込み。年齢的(自分の)に少々気になる素材であったが、それは杞憂に終わり意外と面白い書きぶりで最後まで一気の作品であった。逆に読み易過ぎるのがちょっと欠点でもあるように思われてくる不思議な作品でもあった。
難点を敢えて言えば、僕の単なる感想に過ぎないかもしれないが、本格モノで、犯人探し、しかも関係者を一同に集めて真犯人を挙げるという正統派で . . . 本文を読む
確かに映画の原点に戻ったかのようなワクワク感が最初から続く。特に冒頭の保安官話は秀逸の一言。胸がすかっとするし、その爽快感が次エピソードへと繋いでくれる演出。もうそれだけでこの作品は成功へと導いてくれる。
やはりタランティーノ好きの俳優たちのエネルギーが満開であることがこの作品を濃密にしてくれている。むしろ受け気味のジェイミー・フォックスの内面演技、すべての演技を醸造したかのようなクリストフ・ヴ . . . 本文を読む
石持作品、初の学園物ということで実は多少(否、かなり)期待していた。そして仕掛けは遠隔操作ロボット。まあ、冒頭から事件が起こるまではかなり退屈(ごめんなさい)したけど、それ以降はさすが一気だったね。
でも石持って、青春の甘酸っぱい体が宙に浮かぶ感じの青春小説はやはり難しいんだね。少年少女を描いている割には相変わらずの理詰めが多いし、でもこれは仕方のないことかもしれない。
青春小説からは一歩も二 . . . 本文を読む
カルトコミューンで共同生活から逃げ出した女性。彼女は2年間のマインドコントロールが醒めやらず姉夫婦の別荘で癒しのひとときを過ごす。映像的には交互に混ぜ合わせたり確かに面白い工夫を見せてはいるが、それほど新しいものではない。
ラストの車の気配も確かにカルト集団らしきではあるが、彼女の妄想かもしれないし、この作品、急に殺人のシーンが出現したり、とてもじゃないがキモイ印象があとあと残る。
で、一体全 . . . 本文を読む
ウクライナという場所。ドイツ進撃によって実業家一家のドイツ人がウクライナから迫害を受け、ドイツ駐留になるとウクライナにいたユダヤ人が逆に迫害を受けるこの世の不思議。それらを子供の一言で言ってのける現代史批判。その一言とは、、。
そう、この映画で一番余韻に残った言葉「大人がバカだから」。重い映画である。人の命さえ虫けら同然見世物にし、気にいらなければ抹殺してしまう同じ人間に存在するモンスター。こう . . . 本文を読む