原作、脚本、監督とやってのけた熊澤尚人に拍手したい。とても地味な内容であるものの、さらりと人間の見据えた空気感を表出した映像は実に心地よい。忘れ去られ置いてけぼりの老人たちにも、どっこい一つの人生がきらめいているのだ。佳作です。 . . . 本文を読む
うーん、このミステリは「そんな馬鹿な」から来る「バカミス」の範疇に入るらしいんです。後半になるとどんどん人が殺され一応とても面白いです。しかし解決編がほんと、バカミスなんで、通常のミステリーだったらこのラストのページを大切にめくるはずなんですが、いい加減に読んでいる自分に気づきます。
それはないだろうと、思いながら読んでいても、無性にばかげています。まさに、「そんな馬鹿な」ではない「ばかミス」で . . . 本文を読む
同姓同名、結構いるよね。常に日ごろから気にしてることを下村氏がミステリーの仕上げてくれた。これがなかなか読みやすく、あっという間にラストへ。
その間、ほとんど登場人物が同姓同名の人ばっかりだから、結構紛らわしいが、それを除けばとにかくひねりにひねりを加えているから、ミステリー的にも読みごたえがあります。
ラストのラストでどんでん返しのような真犯人が出現するが、なるほどとも思わされるいい最後だ。 . . . 本文を読む
ポーランドから久々の秀作。なりすました牧師に心を奪われる人々。しかし、その人たちは村社会という閉塞的で敵意むき出しの状況下にあった、というある意味、不条理な設定で人間の本質を問う問題作であります。
映像は静謐で美しい。その奥から人間の遠吠えが聞こえて来るかとまごうぐらい迫力があります。相当信念をもってこの映画を製作したのが分かる。
ポーランドのカトリックって、ついこの前まで30年近くローマ法王 . . . 本文を読む
この劇団を見るようになったのは最近である。40周年というから大阪では第一人者と言えるのであろう、けれども今まで全く接点がなく、ようやくここ2、3年の付き合いである。
今回は幕が上がると、なんとそこには黒い色のごみ袋が山積みされている。見苦しい。臭いさえしそう。そしてそこで不法投棄をどうするか、という町内会議が開かれていた、、。
と、なんだか生活臭漂う劇風であるが、ある家の地下室が見つかったこと . . . 本文を読む
ホラーだと知っていたら見なかった作品です。まあハ・ジョンウも出てるし、そこそこの出来かなとは思うけれど、それほど目新しさも感じず、凡庸な作品でしょうか、、。ただ、意外と怖い、と思いますよ。
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関係者のインタビューで構成されている読みやすい小説です。そのうちだれも犯人ではないのではないかなんて思い始めると、思いがけないドンデン返しが、という展開で、ミステリーを長年読んでおり私でも、かなり面白いと思う掘り出し物です。
これがでも何と処女作だというから恐れ入りました。しかも、かなりご高齢になってからのデビューなんですな。いやあ恐れいりました。
面白いけれども、このトリックはでも現実味がほ . . . 本文を読む
なかなか上映されなかったマリック作品だ。久々に彼の作品を見て傍観者的に思うことが多かった。
冒頭からラストまで執拗に繰り返される広角レンズによる被写体。異様に美しく、また一方グロテスクでさえある。酔いそうでもある。このモノローグ、心のつぶやきを映像化するには最適な手法である。
けれど、俳優たちの演技を見ていると、モノローグ群はまず映像を撮った後で(俳優にある程度のシチュエーションは伝えてはいる . . . 本文を読む
昨年のミステリー界でベスト1を獲得した作品です。名古屋の戦後の黎明期を、当時の映画・世相部門より細かく再現した丁寧な作品作りが際立つ力作です。
ただ、肝心のミステリー部分があっと驚くような展開になっておらず、本格ファンとしては期待外れと言わざるを得ない。ミステリーの評価というより、驚くような当時の時代を見事に再現した緻密な描写に尽きるでしょう。
この時代は辻さんの主人公たちと同じ思春期でもあり . . . 本文を読む
昨年観た映画数46本。コロナ禍とはいえ、少なすぎる。華やかなりし時は200本を見ていたものだ。そのため見逃した作品が多いのはお許しあれ。
さて外国映画から。1位の作品が好きだ。長らく人生を過ごしていると自分に重ねて観てしまう。
1.在りし日の歌(ワン・シャオシュアイ) 2.パラサイト 半地下の家族(ポン・ジュノ) 3.バーニング劇場版(イ・チャンドン) 4.レイニーデイ・イン・ニューヨーク(ウ . . . 本文を読む