久々に映画エッセイを読む。「みずからの出自を問われたら、「映画館の出身です!」と胸張ってこたえたい。」この言葉がこのエッセーのすべてを物語っている。
やはり映画好きが映画館に勤めているという先入観は本当だったんだ。何げなく映画館に勤めている人を観察しているが、映画好きなのかどうかは見てくれだけでは分からない。でもこの本を読んでみてやはりそうなんだと思ってしまう。
本当に昔と違っ . . . 本文を読む
函館とはかくも人の営みを写して哀しく美しいか、、。「海炭市叙景」と同じく、そこにある風景はバラックのような廃墟であったり、ゴミ溜めのような決して見たくないものなのに、何故かくも強く心惹かれるのだろうか、、。
見ていてずっと「ジョゼと虎と~」を考えていた。池脇千鶴が主演ということが大きいが、設定が何故か似ているような気がしていた。確かに体は少々太り始めた女の体。そしてこの体がこの映画のキーでもある . . . 本文を読む
確かにマイク・ニコルズの「バージニア・ウルフなんかこわくない (作中で素顔で美しいと評判のリズ・テイラーが主演)」、ベルイマンの「秋のソナタ」、日本では向田邦子の「阿修羅のごとく」を足して割るとこういう作品になるのではないかな。
家族って結局血縁関係なんだからきれいごとでは済まされない。どす黒い血の匂いがするまでみんな言ったら引かない。人類って、何十万年も生きてても結局そういうものから逃れること . . . 本文を読む
「死神の精度」が素晴らしく、早く続編が出ないかなあと思っていた。そして首を長くして待った甲斐があった。本作は何と、ちょ・長編なんだ。これはファンにとってはとてもうれしいプレゼントであります。とにかく長くじっくり読めるし、短編集とは違う香りが楽しめる、、。
やはり短編と長編とではこんなにも違うんだなあというのがまず感想。当り前のことを身を持って感じた次第。恐らく書く姿勢から始まってすべて違うんだろ . . . 本文を読む
最近小説を読めなくなっている吾輩。4,5冊ずっと途中断念が続いている。そんな中、2時間一気に読破破出来た、という僕にとって希有なミステリがこれである。
体裁は「告白」気味。語りの体裁を取っているのでとても入りやすい。しかも5編の独白とでも言える小説が綿々と続くが、これがまたなかなか高校生女子特有の(僕には理解できない何かが充満している)花園を感じ取り、これがまたいいのだ。
そしてどんでん返しを . . . 本文を読む
まあ、題材がイマでも一応センセーショナルではある。しかもポルノでなくて劇映画に仕上げるっていうんで、テーマは当然必要となって来る。でもなあ、、
見終わってからの感想は、面白かったけれど内容がないわな。セックスそのものを突き詰めた映画っていうんだったら、他にもゴマンとある。多少恋しかけた青年のむずむずさは出てはいてもそれもあっけななくしぼんでしまう。(でもここは納得)
結局僕には三浦のこの映画へ . . . 本文を読む
時折挿入される楽曲シーンが場を持たせる。結構直球で夫婦愛・家族愛を見ているので観客としては気の抜けるシーンも欲しいのだ。
考えたら二人のそれぞれの職業は個性的である。女はタトーを施す職人。自分の体にも今までの男性遍歴が残るタトーが掘られている。それは服からはみ出ていていかにもの女性風ではある。
男性はアメリカの自由を愛するのらくろパンジョーマン風だ。
どんな男・女でも当たり前の恋は経験する。 . . . 本文を読む
この映画の場合、予告編が良すぎる。よかった。だから本編に期待した。しかし、、
なんかうまく作られてるなあ、という感じ。起承転結よく作られ過ぎって感じ。これをハリウッド的というと失礼だろうか、観客の受けを計算しすぎなんだよ。
だいたいあのネガの行方から、恋の成就まで、古きよきハリウッド。(そうか、この映画はリバイバル(今はリメイク?)だったか)
だいたい何故ラストの表紙が彼なのかこの映画を見た . . . 本文を読む
なかなかいいじゃん。こういう映画って1960年代後半にかなり見た記憶もあるけれど、(それを人はアートシアターという)最近では全く見られなくなくなってしまった。
恋人とのあわただしい都合のいい別れでコーヒーを飲み損ねた青年のながーい一日である。
モノクロ、アイロニー、人生を自虐するコメディタッチ、ベルリンの狭い範囲ながら立派なロードムービー。うまいなあ。こういう映画は大好きだ。
父親に内緒で大 . . . 本文を読む
まずレオンが盲目の暗号解読師という地味な役どころに少し驚いた。彼にとってはもうやりたい役柄ってそうそうないのかもしれないネ。
で、今回は美貌スパイジョウ・シュンと恋愛沙汰になるわけでもなく、え、ほんとかよ、とあっさりしすぎなのだが、だからからとはいえないが、今回は意外と地味な役回りなのです。
むしろ言葉少ないがワン・シュエビンのカッコよさが目に付いた。昔だったらレオンはこの役を選ぶよね。
目 . . . 本文を読む
結構このシリーズ見て来たけど監督が中村義洋から変わっただけでこうも作品が変わるもんかね、、。考えれば出演者も大幅に変わってはいるが、、。
冒頭の火葬場シーンの手術用ハサミが、まずいけない。今時ミステリーでこんな稚拙な動機出しはないだろうに、、。
僕が一番面白いと思ったのは9人という大量殺りくの死亡原因が皆目不明だという点であった。
. . . 本文を読む
こういう映画って、いつも言ってるけど評価に困る。歴史に埋もれた事実が圧倒的過ぎて、映画そのものより、この事実に対峙する勇気を観客はそれぞれ保持しなければならないのだ。
けれどこの、目の前に繰り広げられる大虐殺はただ単にカメラを回すだけではない。モノクロで遠景を意識した芸術写真風映像、ワンシーンワンカットの多用で,まるでヨーロッパの映画作家の面影まで感じさせるほどだ。
そう、オ・ミョルは事実をし . . . 本文を読む
オリヴェイラにしては長い上映時間。(とは言っても90分だが)彼の最近の映画は悪(意)が薄れて来ている、と思う(これはハネケもまた同じ)。人間、年を重ねると人生が透いて見えて来るのだろうか、、。
そして今回はまさにレンブラントの「放蕩息子の帰還」風でもある。90分全編、「光と影」。まさにろうそくの光で室内を映したような映像はレンブラントである。そしてこの映画は寓話でもあるのだ。
嫁を入れると4人 . . . 本文を読む
僕好みの映画だと思ったけどなあ。主演のお二人の演技は的確でさすがに巧いと思った、が、、、。
メリーポピンズ自体読んだこともなければ見たこともない。(まあこの映画は見なくてもいいようには出来ているが、それでも見た方がいいだろう)けれど、どんな話かも分からないのでこの作品に入っていけない気持ちのあったのは事実である。
交互に挿入される原作者少女時代のつらい思い出。これもイメージ先行で何故父親が悩ん . . . 本文を読む
出演者がレッドフォード一人だけという異質な作品であるが、だからこそ一個の人間と大自然との対峙という、人間が生きてゆく上での本質的な真理が明かされてゆく、、。
時間は2時間弱で通常の時間帯なんだが、長くは感じない。一人で海を回遊してしまう羽目になり、乗っていた船も沈んでしまい、救命ボートで広い海洋をただただ救いを待つ。
水、食料、何より一人きりという孤独感。文明から離れてしまった人間はどうやって . . . 本文を読む