アイヴォリーの新作。と言っても3年ほど前の映画だけれど。彼特有の、まさに文学たる匂いぷんぷんの、少々お高い所に位置する映画です。なにせ主人が不在の邸宅には妻と元夫の愛人と子供、そして義兄と男の愛人が住んでおります。
設定はとてもスキャンダルで何が起こっても不思議はないんですが、結局、異郷地であるウルグアイという安住の地を主人公の青年が踏み込むことで、安定した蜃気楼は崩れていくんですな。それをだれ . . . 本文を読む
NHKで撮影風景を見ていたからかなあ、映像的にぎょっとさせるシーン(例えば若嫁が防御服を着て夫を見るシーン)なんかはホラーっぽい印象が湧くはずなんだけれどそれがない。ごくすべて自然に映像が流れる。
監督は言う。事実を映像に残しておくことが我らの使命である、と。けれど彼は劇映画の方法を採った。何故劇映画でなければならないのか。ドキュメンタリーでは何故だめなのか。(ただ、ドキュメンタリーは僕らがテレ . . . 本文を読む
評判悪そうだったからとうとう封切り最後の方に見てしまう羽目に。でもあのボーンシリーズのトーンは貫いており、途中のもたもたはあれど、まあ僕の好きなこのシリーズの快走感は十分出ている。
ただ、今までの三話の計画を同時進行させたりするも(なかなか面白い趣向だが)、これが表層的で飾りの意味合いしかもたないので少々がっくり。またボーンに手向かう最強使者たちもてんで弱く拍子抜け。
しかも首脳部たる指示系統 . . . 本文を読む
いやあ久々の綾辻行人。何年ぶりかのう。ひょっとしたら20年ぐらいは経っているのかも。
エラリー・クイーンを照らした叙述法は、やはり本格モノをミステリーの珠玉にしている吾輩としては、ただただページを繰るのが嬉しい限り。この長編はこれだけの分量を呈してたった1件の殺人事件しか起こらないが、そこにこそ綾辻の狙いがあるように思われる。これを2,3件の連続殺人事件にしてしまうとそこらのミステリーとなんら変 . . . 本文を読む
いつものナチものでないところがいい。主人公たる英雄も最初は金稼ぎの内職としてユダヤ人をカモにしている。地下に匿われたユダヤ人にも女癖の悪い奴がいて、狭いごろ寝にもかかわらず愛人とセックスをするありさま。
そして生まれた乳飲み子を殺してしまう女など、みんな生きるためには何でもするいわゆるホロコーストものでないところが見ていて救われる。
またこの秘所から収容所に忍び込み連絡をつけ、またぬけぬけと帰 . . . 本文を読む
冒頭の事件が「モルグ街」で、と趣向が分かって来るミステリーファン泣かせの映画なんだが、どれもが少年時代に読んだ本なので、そのうちだんだんと(個人的に)つまらなくなってきた。
かと言ってポーファンならぞっこんいい映画というわけでもなさそうで、というのもジョン・キューザックが中年の域に達しており(かなり減量はしたみたいだが)女優陣も出演者が少ない割に平凡で、また演出も(言ったら失礼だが)月並みでその . . . 本文を読む
いやあ、戻ってる。北野映画健在。この7,8年のへたれは何だったろうか、と思わせるほど映画の芯に重力が満ち満ちている。そうなるとこのバイオレンスは現代人の男の魂を引き連れはじきまくる、、。
それにしても北野の映画と言うだけでこれだけの俳優求心力があるんだ。本作は彼らのエネルギーが画面の端々からのたうち回る。
加瀬亮のねちねち演技とあっけない若さをさらし一体全体この俳優はどこまでやるんだ。意外とよ . . . 本文を読む
この映画を見ている時、ノーベル賞を取った山中教授のことを考えていた。算哲が情報も何もない時代に生き、天体の動きから暦を考察していく過程は現代の研究者と似通っている、と、、。
研究者においてはけれど研究に没頭できる環境と時間が必要である。山中教授が言っているように、失敗の繰り返しから突然その成果が生まれるのだ。まさに映画でも表現は多少違えど、たゆまない努力と大失敗、そして研究成果・自信が描写されて . . . 本文を読む
映画とは何か。映画という手段で国家を知ることもできる。人類の歴史をつぶさに見ることもできる。そして大自然を超えた人間たちの偉大さ、能力そして友情という愛の強さをつぶさに見る。
狂的な国家体制のもと、人類はあっけなく殺戮の歴史を選ばされる。それは大国であれ、小国であれ皆一緒だ。勿論現代でもそれは続いている。人はそれらを知りたくないがゆえに無視することもできるが、知らねばならない歴史に目を隠してはい . . . 本文を読む
結構興味のあるテーマで恐らく「泣かせ」が入るんだろうと期待して見てました。でも、話は独創的で予想以上に面白かったけれど、意外と涙が出てきませんでした、ね。
ツナグをつなぐ3話のエピソードも交錯してなかなかよろしい。俳優陣もみんな手抜きなくしっかり演技していてかなりよろしい。映像もきれい。でも感動には至らない。何故だろうか、、。
ハートフルファンタジーだから、嘘っぽいなんてダサイことを僕は言わな . . . 本文を読む
最初の出だしはなかなかよろしい。たまたま人質にした青年に過去のミッションを聴かせ映像は流れてゆく。まあ、さすがソダーバーグ、流麗と言っていいだろう。でもこの女007がそれほど美女でもなく、やたらへばらないがセクシーさからほど遠いのだ。
え、そうではないの?結構いいって?うーん、時代も変わるよなあ、、。
お相手の男優陣がやたら豪華。頭髪の横、後ろを極端に切ったマクレガー。ちょっとお疲れ気味なのだ . . . 本文を読む
歳月を経て十分にこの映画のランヴァンと同じく齢となった私だが、この作品にそのまま感情移入することは出来なかった。妙齢になりある程度家族という至宝まで手に入れたランヴァン。
彼がこれらすべてを反古に出来るほどの、同志愛というものはいったい全体何なのか、というのが僕の個人的な興味どころだったが、それは僕にはあまり伝わっては来なかった。
なるほど、さくらんぼを盗んだだけで6カ月の禁固刑。それもフラン . . . 本文を読む