年末に5本映画を見る。いわゆる正月映画でもあり、いつもはベストテンに入らない映画だと思ったが、今年は2本入ってしまう。ジャンニ・アメリオの「最初の人間」とアンジェイ・ワイダの「菖蒲」だ。これは最近では珍しい。ほんとに驚いた。そしてまだまだ映画は奥が深い。
洋画 1.最初の人間(ジャンニ・アメリオ)2.別離(アスガー・ファルハディ)3.サラの鍵(ジル・パケ・ブランネール)4.ポエトリー アグネスの . . . 本文を読む
登場人物が多すぎて最初は人間関係を読み解くのに汗かくほどで、どうなるのかなとも思ったが、話がきちんとコンパクトにショートした造りでカット作りがうまい。しかもビデオを並列した映像作りもなかなか面白く、このたいがい鬱陶しい話もうまく料理した感あり。
だいたい親子の会話と言えど棘があり優しさなんてこの映画ではてんで無関係。とことん家族の崩壊ぶりを突き詰めていく。それが今現生の人間どもを見つめる神の視線 . . . 本文を読む
菊池亜希子は「森崎書店の日々」で印象深い俳優である。雰囲気があり、何でも受け止めてしまう包容力さえ感じられる。そして彼女が宮沢賢治の世界を彩るこの作品、、。
映像も特にどうということもない、そして俳優陣も父娘以外はほとんど無知のいわゆる手作りの映画作品である。主人公は30前のごくどこにでもいる東京での孤独人。恋人がいるようでいなく、仕事でも人間関係に傷つくどこにでもいそうな人物である。
そんな . . . 本文を読む
北条氏がなかなか落ちずという歴史的事実は知ってはいたもののこういう話だったんだ。前置きの市村正親 辺りがちと臭いが、意外と颯爽としている三成の上地雄輔 、出しゃばらない山田孝之のすがすがしさ、佐藤浩市の相変わらずのカッコよさ、魅せまする。
でも何と言っても萬斎じゃろう。これだけオーバー演技をしていて観客を引きつけるのは彼のパワーが全開しているせいだろう。終わりの小舟の田楽はもう国宝ものの芸。すご . . . 本文を読む
90分ぐらいの、分かりそうで分からない、それでいて明るく、楽しい、結構人を牽き付けてしまう即興的なユニークな演劇でした。
結局何を言いたいのか分からなかった気もするが、そんなものは初めからないのかもしれません。女の子も可愛いし、男の子たちと適当にカッコよく、それらに何故かしらロボットが重要な役柄を占めており、後々印象に残る楽しい演劇でした。
こういう軽そうな演劇こそシナリオ作りも難しいはずだし . . . 本文を読む
うーん、昨年俳優座の「カラマーゾフ」を見た時も感じたことなんだけれど、言い方悪いけど臭いんだよね。臭うんだよね。新劇という何かワカラナイ匂いがするんだ。
結構僕も演劇をいろんなジャンルで見るようになって、あまり見なかったのが新劇でございの本丸演劇だ。文学座も考えたら最近では久しぶりの観劇で、また新しくなってるのかなあと思っていたら実はそうではなかった、という感想。
この演劇、時代設定が少々古い . . . 本文を読む
なるほどね。空晴ももう5年過ぎ10回目公演か、、。年に2回、大事にいとおしく公演を発表されている僕の一番好きな劇団、それが「空晴」である。彼らとともに学び、頑張り哀しみ、彼らと共に前を行く。そんな僕の5年だったような気がする。
そしてこの公演。相変わらずの行き違いからなる人の人情劇なんだが、客演がいつも一人ないし二人いるのでカラーが変わってくる。今回は唐組から稲荷卓央さん。わびを感じさせる俳優。 . . . 本文を読む
007という超娯楽作にサム・メンデスを投入するハリウッド。確かに冒頭からの30分は従来の007を満喫できるも、その後は内省的な、人間を意識した007であることよ。これは今や、夢流離うノーランを意識するハリウッドの現地点を示すのか。
終わって見ればMの墓碑銘映画であることよ。ここ10年、Mがあの年でよくこらえているなあと思っていたのだ。長年007を見続けたファンとしては彼女の存在は嬉しい限りなのだ . . . 本文を読む
野球のスカウトマンが主役という映画は「マネーボール」に続いて今年は2作目。しかし、データ主義という前作に対し本作は目で確認する現場主義。両極端の映画が同じ年度に出現する意味合いとは、、。
というか、「マネーボール」の方がいっぷう変わった映画だったよね。目で見るよりデータ重視と言った方が斬新だったような気がする。そこを突いた映画だったね。
パソコンも扱えず、見た目重視の老スカウトマン。しかも当然 . . . 本文を読む
ご当地映画であり、いわゆるスポコンものであり、涙あり笑いありの娯楽映画なのだが、これだけいい俳優を集めながら作品に活力がないのはどうしてなのだろうか、、。
この素材でミニシアター映画風に作ると結構感動作になれるものが多いと思う。結局作る材料は高価でも、最新調理器具を駆使しても、調味料、料理人が違うといい料理を作れないということなのだろうか。
とにかく8人それぞれの人生を表層的にしか捉えていない . . . 本文を読む
4年前に読んだ原作。読後感を読み直してみるとほとんどこの映画の感想と同じだということに気づく。これは珍しいことで、今回はその読後感を載せてみることにします。
「400頁そこそこの長編なんだけれど大半読み終わってもミステリーって感じしないんだよね。この世界はまるで伊坂幸太郎です。社会から隔絶されている人間たちが寄り添って生きていくそして過去の仕打ちに復讐することで一心同体になる。ほとんど道尾の本は . . . 本文を読む