2つの演劇。まず最初は僕の好きな別役物。この乾いたアイロニーが不条理の不条理を生んで、面白い。いつもこういった感じだが、僕に合ってるのか。ラストの意外さも相まって、まさに不条理。秀作。
2作目はもうどこかで上演している人気作。女優たちはこういったチェーホフやシェイクスピアのセリフが飛び交う演劇物をやってみたいし、観客はこういった名作演劇物プラス裏内幕を見たがるからなのだろうか、、。
もう舞台は . . . 本文を読む
何故かいつも見てしまっているじゃぶじゃぶの新作。今回は一人の男の葬儀風景。若くして亡くなった妻が若いままそのままに出てきたり、心のつながりが続く親友が連れ立ちに来る。そして葬儀は娘たちや孫が頑張っている、、。
そこに香典泥棒が忍び込んだり、となかなか相変わらず面白い展開である。誕生と葬式は人間の生と死の祭りである。しかし、この劇はカラッとしてしんみりともしない。
むしろ不思議と全然明るいのであ . . . 本文を読む
読ませます。テーマが一刑事の心情を主体とするものなので、感情的にも入りやすい。裁判員制度の詳細についてはまだまだあ国民がわかっているわけではないので、こういうミステリーが出現するというのもなるほどと思わせます。
田丸刑事の鬱屈した心情はちょっと遊離しちゃう部分もあるが、でもこの相棒話は泣かせます。そうでなきゃあ、刑事なんてやってられんでしょうが、、。
下村の泣き節を切々と読み取りました。真犯人 . . . 本文を読む
8時間ほど映画館にいたことになる。僕の映画館史ではこの年齢にして最高記録。うーん、頑張ったぞ!
「ニーチェの馬」も驚くべき秀作だったが、この作品はカット数が驚くほど少なくほとんどが長回しのオンパレード。ワンカットの中でも冗長さを感じるのも多く、それらが半分のカット時間だったら、3時間半だから、長時間映画館にいても意外と一つの物語を見た感は強く残る。
モノクロ映像が美しくしびれる。これが芸術作品 . . . 本文を読む
人間の一生と宇宙の一生を同一にじっくり考えることの出来たいい演劇でした。宇宙にも永遠はなく、いつかは滅亡する。もちろん人間も不滅ではない。
100億年と100年を同一視するその慧眼すべき着想がまず素敵だ。そして演じるのは若きヤングたち。ラップ的なダンスに思いを寄せ、人間のはかなさ、宇宙のはかなさ、いわんやすべて目の前にあるものが失われてゆく感覚を90分ひしひしとか感じる。
これは仏教でいうとこ . . . 本文を読む
何人か、数えきれないぐらい俳優が多い。そして彼らのほとんどが妖怪である。ところがこの妖怪たち、なぜか人間になりたがっている。そして12年前に人間に捨てられた人間をみんなで育てている、、。そんな時、12年前に捨てた両親がこわごわこの妖怪たちが住む山にやってくる、、。
要はこの妖怪たちの悲しみを人間たる我々が共有できるか、ということなのだが、これがなかなか難しい。妖怪たちがなぜ人間になりたいのかわか . . . 本文を読む
お気に入り監督、ジャ・ジャンクーの新作。またまた二人の古臭い恋愛ロードを軸に中国の20年間の歴史の営みをじっくり描く。
この二人のくされ縁恋愛は映画でも今までかなり描かれてきた。日本映画の「浮雲」なんてその代表作だし、洋画に至ってはむしろありすぎて上げられないほどだ。
それほどこの男と女の恋愛というのはいたって簡単で、しかしひねくり出すと途方もないほど迷路に入り込む。人生って、そんなものですね . . . 本文を読む
学生演劇が続く。とは言いつつ、初めての劇団だ。でも、演劇界では実力派の名高い劇団であり、かなり期待する。
う~ん、舞台装置も俳優陣もかっこいいんだけど、ちょっと軽すぎたかな?いつもちゃうちゃかんって、こういう軽妙劇をやるのかな?ようわからんけど、面白いけれど、それだけといった感じがしちゃうのが惜しい。
でもこの劇は彼らの脳裏にある過去のオマージュを現代にアレンジしたものなのであろう。こればっか . . . 本文を読む
大好きな学生劇団である。もうみんないつも元気で、明るい。最近の学生では猛者なるところがあるのがお気に入りの原因である。
今回は新人がかなり多い劇である。そのため、多少の躓きは我慢しよう。確かに、発声がなっていないとか、トチリがあったり(でもこれは既成の劇団でも存在する)、場慣れしていないのだから仕方がない。それをも上回る彼らの持つ若さ、熱意がこの劇の神髄であるのだ。
他愛のない遠い夢、同じとこ . . . 本文を読む
泣くななんて言われても、ラスト近くからもうボロ泣きだ。これは僕にとって本を読んでいて珍しい出来ごとです。我々患者側からは医者側のことがあまり分からなかったこの辺りの空白の部分がこの小説で、明瞭にされている。そこが魅力であります。実に痛快で何か真実のものに出会えたような気になる素晴らしい小説です。 . . . 本文を読む
「箱入り息子の恋」が絶品で、その後いろいろ映画を見ているが、どうもあの作品を超えるものが見えないなあ、、。ひょっとして、市井のことを過大評価してしまったのではないか、とまで思ってしまうぐらいこの作品もそれほど見どころがない。
話の展開はスムーズで、確かに飽きさせないんだが、どうもどれを取ってもフツーの出来なんだ。これがどうも許せない。
恐らくほかの人も意見をおっしゃると思うけれど、ラストがいけ . . . 本文を読む
この頃長岡の作品はずいぶん無理があると思う。そう思いながらも読んでしまう悲しい長岡ファン。それぞれほんと短くて読みやすいのが一番の長所だろうか、あっとラストに行きつくところがこの著者の作品の一番の魅力。そういう意味で、やはり短編作家なんだろうな、、。
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高橋さんの演劇は綿密で、人間の心の奥底を十分照らしたスケールも大きい演劇です。
そこらにあるような題材なのにいつも考えさせられてしまう。本作も、この演劇作家の才能のすばらしさを十分感得できる秀作であります。
全編に吹いている清涼な風がとても気持ちいい。それは高橋さんの脳裏が根源なんだろうけれど、観客席に凪のように吹いてくる。この心地よさ。しかし、根に息づくものは、社会の矛盾と、我々が生きている . . . 本文を読む
米澤の青春推理もの。古典部が好きで、そのイメージを辿っていると、ずいぶん違うことに気づかせられる。まず、最初の1章が全然暗く、そしてミステリー的にもちょっと暗然とさせられるところがあるも、そういう意味でも大胆な1章目であることよ。
この灰色気味の色彩はだんだんと薄まりつつあるが、最終章でこれが伏線になっていたことに気づく。
けれどやはりとても面白い。読者の意図をすみずみまで考えている着想ぶりで . . . 本文を読む
数々の賞を受賞という触れ込みでこの映画の評判を知るが、最近僕はヨーロッパの映画賞をあまり信用していない。特にカンヌは見て失望する映画も多く、少々期待してはいけないぞと思いつつ、だが、性懲りもなく、見てしまった。
そしてこの映画。大体、この男、社会的には褒めれたことをしている人間では決してない。いや、実に、ヤクの売買をやったり、頼まれて強盗の手伝いをして車を運転したりするコソ泥風情なのである。
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