北村龍平好みの時代劇風ホラーで時たま素人風演技も散見されたが、思ったより鑑賞に耐えることができた。というのも予告篇が相当ダサい作りで、あの予告編を見て映画館に足を運ぶ人はあるまいと変人の僕はしかしなぜか館内にいる。
客席は寂しく3人しかいなかったが、それでも映像は元気であった。勢いよく切断された首から飛び立つ血しぶき。無念そうな死人の表情。カルト的な魅力はある。予告編ほどひどくはない。鑑賞に耐え . . . 本文を読む
衣装がとてもカラフルなのにすぐ気づく。舞台装置が狭くて衣装が美術を兼ねていて、そのファンタジーさを奏でている感じだ。
話は他愛ない結構軽いものだが、歌に踊りと新躍進の努力を十分感じる。僕は服部まひろさんのファンなんだけれど、主役でいながら実際は脇役風の役柄で少々彼女に対しては脚本的に不満もあるが、でも出来としては水準だろう。次回を楽しみにする。 . . . 本文を読む
横溝正史ミステリ大賞受賞第一作という触れ込みだが、実に素晴らしい。普通第一作って受賞作より水準が低いものが多いと聞くが全くそうではない。かと言って、僕は彼の受賞作をまだ読んでいないので実際のところ何ともいえないのだが、、。
華やかなスポットライトを浴びていた人がふとしたことから社会の底辺ともいうべき暗闇をうごめきまわる生活を強いられる。そこにあるのは希望をなくしたはかない人生のともし火だが、4エ . . . 本文を読む
あの大量虐殺、ホロコーストの世界ばかり見せられるユダヤ人の受難期において勇敢にも抵抗し、ひとつの共同体を森に創設し生き延びた人たちの記録であります。
一つ一つのエピソードの積み重ねは弱者が束になって一つの輪を作り努力すればどんな苦難にも打ち勝つことは出来る、といったいわば生き物(動物)の生態を見ているような印象さえ持ってしまった。
ホロコーストとは対照的な小さな明りが見える作品だが、逆に日本人 . . . 本文を読む
普通の刑事アクションドラマなんだよね。通常なら考えられない悪徳警官ものの設定なので演出次第ではもっと緊迫感を持った映像に仕上げることも可能かと思われるが、少々勿体ない出来と言えようか。
愛妻を亡くした主人公の心の痛みがあまり掘り下げられていないので、ただ苦しそうなキアヌの表情を観客はただ眺めている。結構壮大なミステリー仕立てで、キアヌの内面に入って行かなかったらミステリーに徹すればいいものを、そ . . . 本文を読む
またまた実験作のような夢を通した男と女の世界。全く他人の二人が精神を共有するかのように不可思議な出来事が続く。愛とは、一体全体何なんだろう、、。
オダギリが日本語で、その他の役者がハングル語で会話をしているので最初は戸惑ったがそれもそのうち慣れて来る。俳優たちは相手のセリフを瞬間には理解していないことになる。もうその段階で完全に作家映画である。俳優たちは台本で全体の概要を知るだけなのだろう。セリ . . . 本文を読む
うーん、ホント宝石箱のようなきらめきを感じる青春高校生活。こんな時代もあったのかなあ、なんて懐かしさと嬉しさとときめきまで感じてしまう素晴らしい小ミステリー集です。
上条ハルタの明晰ぶりはまあ特筆するものはないけれど、何と言っても主人公の穂村チカちゃんの三枚目風の掛け合いがとても素敵です。もう戻ることは叶わなくても一瞬でも青春のひとときに触れたその想いは僕にとっては事件でした。次作高校2年生モノを . . . 本文を読む
3時間弱の長尺だがまあ退屈せずに見られる。さすが、フィンチャーの新作。まともに演出するとこうなるんですな。映画を見ているだけでは彼の今までの毒性は出ていない。むしろ大河系名作に挑戦し演出だけでも相当だというアピールをしたかったのかなあ。
この映画の場合やはりブラッド・ピットの逆時間遡行経過、もうそれだけで80%ぐらいの見ものである。80歳の老衰状態での誕生から実年期、青年期、少年期、そして幼児期 . . . 本文を読む
世にいう老いらくの恋ではないのでしょう。むしろ若者より元気があり過ぎる年齢は老人の、実際は十分青年のハナシであります。
何かこの役のベン・キングスレーには違和感があります。風貌からこの役をやらせるとむしろ絶倫オジンのように思えてなりません。教授特有の文化人の持つ教養といやらしさも併せ持っています。結婚という制度はよくないと言い張り、長年寄り添った女を愛人にしながら適当に若い女も摘み食っている、要 . . . 本文を読む
監督名を知らずにただ普通に見始めたら、何と哀しく濃密な描写の連続でそこらのSFものではないなあ、と感じ始め、その後は出てくる登場人物(?)たちの幽玄さにため息までつく始末だ。
ちゃんとお金をかけてキャラを創造しているのでその美術を見ているだけで映画の至福を感じる。一人一人が面白い造形で感心する。しかも、人間様がこの映画では何と完全脇役。むしろ厄介な存在として、この地球上に人間どもがそもそも存在す . . . 本文を読む
未来世界を予言していると言おうか、刑務所が民営化し収益を挙げるために殺人レースを施行しその放送料をたんまり稼ぎたい悪徳女所長と、無実の罪で刑務所に入れられた凄腕ヒーロー、、。
なかなか面白い設定なのにその人間ノワール部分は掘り下げが全くなく殺人カーレースのみがゲーム感覚で繰り広げられる。まあ、助手席に同乗の美女も侍っておりカーレースそのものはかなり面白いが、それだけというのもちょっと勿体ない感じ . . . 本文を読む
3人劇なんですが、舞台だけでなく工場のイマジネーションも感じられるほどうまい脚本、臭いいい演技。90分にうまくまとめてシリアスな人間劇を醸し出している。
牛、豚の屠場の研磨室兼休憩所と言う設定が面白い。コメディなのかシリアスなのか途中まで分からなかったが、この動物のを題材にしたと言うことなのにカフカ風の現代物語に到らず、少々コミカルでシリアスな人間劇にしたのがよかった。
でも見終わってから . . . 本文を読む
映画って原作を読まないで見た方がいいのかなあ、どうしても頭の中では原作との比較がぐるんぐるん駆け巡っている。
まあ、3作が関連して展開しているのは感心した。そういう思い切りも映画創造では必要だと思う。
最初に見る1章の小西真奈美の印象が強いので、3章での違いっぷりに驚いてしまう。原作でもラストであっと気付く仕掛けだったと思うが、富司純子のセリフのしゃべり方が小西真奈美とかけ離れているのである。 . . . 本文を読む
既に出演する映画作品を見失ったのか、開き直ってヴァン・ダム自身の身を喰らい、己の栄光の過去と呆然たる現実との対比を名作「狼たちの午後」に似せて作ったトンデモ野心作です。
色彩が鈍い。ドキュメンタリー風に作っているせいか、それともヴァン・ダムの退潮振りを暗示しているのか褪せた色合いだ。でも今のヴァン・ダムに似つかわしい色調でもある。ピークを過ぎたアクション俳優の末路。映画は彼の心情を材料に郵便局ギ . . . 本文を読む
スタイリッシュな計算されつくした光と闇の映像。子供からそのまま大人になってしまったような結構年齢幅のある5人の男。若き青春の日々に築き上げた彼らの強い絆。そのバランスが崩れ始めたとき人はその青春の日々を追い続けることが出来るのだろうか、、。
と、昔よく見た西部劇のようでいて陰影のある青春グラフィティのようでもある。この映画が疲れ果てて家路に戻る男のシーンから始まるのは、そうこの映画が出口のない青 . . . 本文を読む