四六版上下800ページ近くの長編小説であります。警察に勤務する3代のハナシで、1代目の謎の死が孫の世代になってやっと解き明かされという最後まで読者をぐいぐい引っ張っていく力量はさすがであります。
この本、読み始めて(僕はだいたい通勤電車でしか読書をしません)3日で読み終えました。どれだけ面白いか、通勤が楽しみだという想いも久しぶりです。
戦後のどさくさの上野公園の様子、息子の時代になって197 . . . 本文を読む
肺がんで余命6ヶ月を宣言された男の行動とは、、という人間であれば誰でもが到達しなければならない命の終わりという重いテーマを、彩色豊かな水彩絵の具でさらりと書いてしまったような印象の映画であります。
で、まず冒頭で起こる印象的な男のがんの受容。
この映画ではここまでが早すぎる。普通は間違いではないのかと疑うところから始まる。そして神、自然等々への怒り。そして、何かにすがろうとしていく心理状態が過 . . . 本文を読む
もう見るのやめようと思いながらつい見てしまうシャマラン。でも、今回は結構僕を怖がらせた。
何がって、冒頭の必殺仕掛け人のような針を首に急にぶち込む女性、いきなり屋上からばらばら落ち葉のように落ちてくる人間たち、携帯の映像で見せるライオンに食われる人間、、。精神的なショックには強い僕もこの手の映像はかなり怖がります。ええ、刃物恐怖症(ホラー恐怖症でもあるのかもしれませんが)でもあるので、ほとんどシ . . . 本文を読む
総勢20人ほどのヤングが在日の高校生について赤裸々に不安、希望、目の前の重い壁を浮かべながら思いきりセリフに訴える。
ほとんどが日本人による出演なのだが、脚本が在日の方なので生の気持ちが僕たちに伝わっている。2時間強の上演時間なのだが、長くは感じなかった。むしろ若い人たちによるストレートないい演技で、笑ったり泣いたり、それは気持ちのいいものでありました。
在日という血そのものから彼らは自分の存 . . . 本文を読む
7/21
今日は祝日だそうだ。こんな日は家でゆっくり片付け物でしていればいいものを、まさに猛暑の気候なので家にいても空調を利かしているに過ぎないことは分かっているので、またいつものように梅田に出る。
まずシネ・リーブル梅田で「百万円と苦虫女」。
結構満席。内容が身近なものでいい映画だ。こんな親近感の溢れる映画も珍しい。秀作であるからにしてなんだろうが、、。
昼食は早めに地下のレストランでいつもハ . . . 本文を読む
意外と面白かったので、楽しめました。3つの挿話とリリィの関係が、図式的で少々数学の証明を解くがごとく理路整然としていてすっきりし過ぎているなあとも思ったけれど、結構明快でよろしい。
3挿話がそれほど重くはないのだけれど、食事をして話を聞くだけでみんな救われていくというのは、哀しいけれどこれが現代なんでしょうか、、。でも、いつも話を聞いてるだけのリリィが一番救われていないというのがこの映画のミソな . . . 本文を読む
現代版小津の東京物語とも言えようか、この映画は家族の姿を現代という立脚点から探り出すことに成功している。
完全な家族映画であります。ある夏の日に兄妹がそれぞれ家族を連れて親の家にやってくる。料理のこしらえから始まる会話の妙。母親、娘の突っ込みと受け。ほとんどアドリブではないか、と思われるほど自然でしかも険のある会話。どこの家でも心当たりのある空気のいぶり方が素晴らしい。
樹木希林がYOUの髪を . . . 本文を読む
そこらにいる等身大な主人公、一つひとつのエピソードがごく自然で現代に生きるものにとってすこぶる共感できるものとなっている。
フリーターで生活をしている人は限りなく多く、その人たちの目線はすなわち現代の目線でもある。主人公は自分探しでなく、むしろ自分を見たくないのだという。そうなんだよね、自分探しの映画も今まで数あれど、すべて主人公は自分に対して積極的だったなあ。自分を見つけたいんだ。
でも、こ . . . 本文を読む
テレビドラマの劇場版らしいが僕は全く知らないで見ました。でも、ダイジェスト版の展開、演出が露骨で、何一つじっくり見るところのない映画だったように思える。
だいたい、話自体がちょっと浮いているので、最初から僕は引き気味だったが、それがずっと続くのであります。ひと夏のみんなの心のときめきを映画化したものであるはずなのですが、あまりに心理描写でさえダイジェスト過ぎる。
テーマであるデュオBBの楽曲で . . . 本文を読む
ものすごく暗い映画であります。全編通してずっと暗く、最後まで救いのない映画であります。これほどの暗い映画を見るのも久しぶり。でも、最後まで集中力を欠けさせない秀作でもあります。
川崎の外れの工場街のスモッグと臭気と人いきれが強烈なエネルギーを伴いこの映画の全編を覆っている。青年が集塵の街を歩いている。ジャンパーで頭を覆っている。
青年は親殺しで少年院に長くいたようで今日就職先の工場に出向いてい . . . 本文を読む
外は35度。冷房ガンガンの部屋でこういう時はホラーでしょう、と何気なく期待しないで見ていたら結構イケてました。
何といっても、出演者が全員20歳前後で、高校生役なのでとても若くそれだけで魅力的です。こういう映画って結構雑に作っているものだけど、この映画は話の進み方も練ってあるので、怖くはないけれど退屈はしない。
事件が解決したと思っての逆転、逆転も楽しかった。カップルで見るには最適ですよ。意外 . . . 本文を読む
関係者があらゆる角度からまたその犯罪を見直したり驚くべき事実が次から次へと語られるミステリーでも上等の香りのする醸造酒で感心する。
若かりしときにアントニー・バークリーの「毒入りチョコレート事件」を読んで僕はミステリー史上でも最高級に近い読後感を感じたことがあったが、範疇としてはこの系統だと言える。
ある美人女教師が部屋でホワイトデーでのチョコレートを睡眠薬入りで飲んでその後頭に殴られた跡があ . . . 本文を読む
7/14
今週は夏休みを取って映画三昧にしようと思っていた。(いつも映画三昧なんだが)
休みの日は目覚まし時計をセットしない。そのため、朝早い映画は見られないときもある。まあ、それはそれでいいのではないか、といつも思っている。
ところが早く目が覚めてしまった。休みの日初日はだいたいまだ体が通勤モードなのでしょう、、。
九条のシネヌーボーという映画館でドイツの鬼才ファズビンダーの特集をやっている。 . . . 本文を読む
人間の人類への課題を投げかけた一編の映画だ。映画歴史的にも繰り返しこの手の主題は追求されて来てはいたが、戦地と国(故郷)の距離があり過ぎることもあるのだろうか、アメリカで最近執拗にこのテーマがクローズアップされている。
それはイーストウッドの太平洋戦争の2作品も全く同テーマであった。戦争=殺戮は人間を滅ぼすという図式である。憎しみのために殺戮するのではない。家族のために戦うのではない。ただ戦争と . . . 本文を読む
近距離恋愛なんていうこの映画のテーマと全く関係ない題名をつけるなんて配給会社なかなか知恵者だ。
「友達以上、恋人未満」なんてそんな、そんな少女マンガでさえ題材にしなかったラブコメが堂々とシネコンで上映されていることに驚いてしまいます。でも、こういう映画を男性である我輩が、しかも単独で見に行ったのが不幸の始まりだったのかも、、。
男性の視点から女性を見たラブコメだが、女性からの視線をかなりナーバ . . . 本文を読む