深沢氏痛快な若者に対してのサジェスション。とにかく、明瞭簡単、ただぼ~~と生きてりゃいいのさ、というお強い言葉に救われる。そもそも動物なんて悩まずただただ生きているのに、人間だけが何で悩む必要があるのか、、、。そこなんだよな。
「自分とは何か」から始まる哲学志向もこの深沢につかまると、いかに人類は無駄なことに時間を費やしてきたことか、となる。この深沢の人間滅病教、大好きです。
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好きな作家だが、でもここまでワクワクしながらページを繰る作品も最近では珍しい。ミステリーだが、本格ものではないし、犯人探しでもないのだが、文字の間から五十嵐の躍動感があふれているのがわかる。
ミステリーで一気感が強いのはそれほど秀作だとお言うことだろう。最初はシリーズが続くと思った妹刑事があっけなく亡くなってしまうのがちょっとした驚きだったが、でもその後登場人物の設定も面白く、五十嵐の才能を十分 . . . 本文を読む
まあとても面白い。とにかく設定がユニークで、魅入られてしまう。あっという間に読破だ。だいたいページ数も少ないし、しかもミステリー好きならではの展開で、そのまま一気です。
でも、何か物足りないというか、緻密ではないですね。この感じだったら、何でも書けそう。通常のミステリー作家がトリック等で日夜研究・努力されている部分がいかにも皆無、といった感じ。
でもこんなミステリーもたまにいいか、、? ラスト . . . 本文を読む
600ページもの長さ、そしてまたこの著者ならではなのか、300ページまで読んでいるのに全く殺人が行われない。以前にも同じことがあり、またかとほくそ笑む。
ところが、最初の殺人が始まると次々とやはり前と同じく連続殺人が続く、しかも突拍子もないトリックで行われるものだから、とても現実感がなく、それでもかなり面白いからページを繰る動作は続く。
途中、丁寧に犯行の記述が紙面を割きこれは読者にはとても親 . . . 本文を読む
5編の短編集。そのうち1編は日本推理作家協会賞というから、また最新作「難問の多い料理店」がすこぶる面白く、即読破した。
で、その受賞作品、SNSを使用した少々異次元風のお話で、一応ミステリーにはしているが、正直言うと、吾輩はついていけませんでした。
ほかの4遍のいうち一部はっきり「真相をお話ししていない」風の作品もあり、それは読者に真相を委ねるタイプであり、ミステリーでは僕はどうかなと思う気も . . . 本文を読む
この作家では初めての初読。孤島の島で起こる連続殺人。まあよくあるパターンですわい。この手のものはけれど結構秀作が多いのを知っている。で。期待して読んで行くと、、。
目、腕、足など切断の孤島という習俗が最後まで引いてしまう羽目になり、少々げんなり。そして登場人物が鷲、鴉の苗字がとても多く、覚えられない、そしてどんどん殺戮されていくので、もう誰が殺されているのかわからなくなってくる始末。
主人公の . . . 本文を読む
明治から戦後にかけて語るある小説家の話、、。5編あり、それぞれ本物の小説を読んだ感あり。ミステリーでもここまで時代、人間を書き紡ぐ作家は他にはないのでは、と思えるほど秀逸である。
やはり、でも現代より彼には時代もののミステリーが相応しい。彼の個性を十分引き出している。
寡作ではあるが、今までで出した本はすべて一級品です。まだ若いし、これからどう豹変するか頼もしいばかりです。 . . . 本文を読む
読みやすい連作集です。しかし、この手のミステリーはありそうで今までなかったような気がします。題材が現代でも最短のものを扱っているので、とにかく斬新そのもの。ページを繰るのが早くなります。
それだけ秀作ということなのでしょう、いやあ、ホント面白かったです。中盤から凄みも見せ始めますからね。今年の収穫作だと思います。ミステリーがお好きな方に、そしてあれこれ細かいことに詮議しない性格の方に超おすすめミ . . . 本文を読む
かなりの物議を起こしたミステリーですが、でもこういうのは初めてで、このトリックはやはり鮮やかというしかないのではと思います。なぜかというと、しっかり僕が作者に嵌められたわけですから、、。
文章も読みやすく、設定も(気づいていなければ)斬新。まあ、読後感からすると、それはないわなあ、という気も少しだけするが、あっと驚かせてくれたのだから、ミステリーとして僕は買います。出版されたものでこういうものは . . . 本文を読む
愛すべきそして大好きな大山誠一郎の新作です。あのまたワトソン力というユニークで斬新な武器をネタに本格ミステリーを綴る。これはファンならではのお愉しみ時間であります。
でも1作目よりずいぶんと軽妙過ぎて、さらに読みやす過ぎてあっというかに読んでしまう。もったいないというか、何か物足りない気もしないではない。
でも考えたらワトソン力って、作者にとって都合がよすぎるよね。自分の解決編をその場にいる5 . . . 本文を読む
映画業界内輪ものとしてスクリプターという特殊な仕事を焦点に置いたミステリー。なかなか斬新で面白かった。映画が好きな僕は十分映画製作の裏話を知る思いでページを繰るのが早くなる。
なるほどこういう素材は長岡ミステリーにも合うなあというのが第一印象。いつもの彼らしい強引なところはところどころあれど、まあそこが彼の面白いところでもあるので気にはならない。しかし、映画業界があんなものだと思う人はいないと思 . . . 本文を読む
こういう本は初めてで、驚く。よく映画で、終わった後に座席に残った人にだけ映像を見せるという作品もたまにあるが、だいたいファンサービスのようなものが多い。ところがこの短編5編の最後のQRコードにはどんでん返しがあったり、隠された真相がしっかりと潜んでいるのである。
残念なのは音楽がうるさかったり、人の音声が聞こえづらかったり、そして最後なんかは映像をずっと見ていないと、何のことかわからない仕掛けに . . . 本文を読む
初期の作品らしいが、読んでいなかったことに気づく。長岡の作品はほとんど読んでいる。驚くことに、最近の作品より念入りに、そして情感がより強く流れていることに気づく。彼の作品の本流をこの作品でみたように思える。
それほど秀作ぞろいの短編集であります。そしてその短編はそれっぞれ関係しており、一つの長編作品を成している構成も素敵でいい。
最近、SFもどきのミステリーがこの世界を闊歩しているから、こんな . . . 本文を読む
うーん、今回は主要軸となる女性たちの歴代話が満載で、ファンとしてはとても楽しく読むことができました。この一冊でビブリアの本道がかなり見えてきた感じです。
なにより登場人物が歴代通り描いているから、とてもファンにはうれしい企画です。そして内容も感動編であり、珍しく涙腺を刺激させられました。
いろんな古本も今まで出てきたけど、やはり夏目漱石のような超名作は今でも再読したい気にさせられました。また次 . . . 本文を読む
人物の描き方に人間の陰影を鋭く書き込み安心できる。病を持って亡くなる刑事、後を引き継ぐ刑事二人、そして場面ごとそれぞれ登場する関係者たち、うっすら犯人はぼんやりするんだけど、どうも真相につながらないミステリーのわくわく感。ページを繰るのが惜しいほど面白い。
それらをあっという間に結集した最後の2,30ページは予想もつかない内容でした。
でも伏線を全く出さないこのミステリーは本格ものではないのか . . . 本文を読む