何か長い西洋の小説をようやく読み切ったといった感のある丁寧な映画作りの作品であります。恐らくシャトーという銘柄は日本でも有名だから、フランスではあえて説明は不要なところもあるのでしょうが、結構きっちりと葡萄と大地、日光、そして人間との確執がじっくり描かれている。
俳優も美男美女が出ているわけでもなく、どちらかというと地味目の俳優が多く、主眼はどうしてもストーリーへと導かれていくが、そんな単純さを . . . 本文を読む
原作未読だから何とも言えないが塾の教え子の行方を捜しにはるか10数年ぶりに東京まで訪ねた塾教師の、同じく10数年時が止まっていた自分探しとシンクロする心情がほとんど伝わってこなかったのが惜しまれる。
彼はこういう映画はお得意だったはず。しかもあの、豪快な斬り方の【阪本】だ。何故男と女の中身に突っ込んでいかなかったのか。彼の作品をずっと見続けていた僕にしてはある意味また裏切られた感もする。
だい . . . 本文を読む
まあ、最近の2作に比べると随分と面白かったわい。2時間半、退屈しなかったもんね。それにしてもこのシリーズ、最初のころは映画の娯楽の粋だと思っていたのに、時を過ぎるとともに随分と暗くなってしまったなあ。これでヤングが見に来ているから不思議でもある。フムフム。
前編と後編に分かれているので見るのをよそうかなあとも思ったけれど見ていて正解だった。ここまで来てラストだけ見ないというのもね、というよりこれ . . . 本文を読む
車掌が列車で切符を切る。しばらく車掌を被写体にした映像が続く。でもそのうち車掌は用を済ませ車両から出ていく。拍子抜けのような観客に、元美人風の実女と何か悩んでいる風の青年にピントが合ってくる。ここで【オリヴェイラ】の企みは成功している。
世間話風に「こういう話がありましてね」、という日本で言うと落語話風の作りである。伯父の会社で仕事をしている甥の恋愛話である。窓から直見える女性に一目ぼれする。そ . . . 本文を読む
本当は京都の紅葉でも見に行こうかなと思っていた。でも、東福寺が新聞等で取り上げられていてものすごい人出だと予想されたこと、そして上村松園の展覧会も気になっていたのだがお目当ての「序の舞」が展示替えということで京都に行く気がなくなり、春から行きたかった法隆寺へ行くことにした。
奈良は今年も2,3回は行っているが、ずいぶん遠い所だという気がしていた。しかし、昨年引越しをしてから京都も奈良もそれほど . . . 本文を読む
なるほど、こういう映画だったのか。でも想像以上に芸術感覚がひしめくそして観客を選ぶ映画でした。死に向かった心境はルイ・マルの『鬼火』、映像と音楽は【ウォン・カーウァイ】の『花様年華』、そして研ぎ澄まされたストーリー感覚はスティーブン・ダルドリーの『めぐりあう時間たち』だ。何を隠そうこれらは僕の最も好きな作品群だ。
最初のクレジットの水の中の裸体シーン。男なのか女なのかはっきりとは分からない。ど . . . 本文を読む
モト映画を見ていない僕は結構楽しめました。やはり映画は美男美女、そしてサスペンス。しゃれた脚本一つあればそれで一応成功でしょうね。思ったよりこの映画よかったです。でも一番驚いたのは【ソン・スンホン】の日本語。違和感がないほどの自然さにこの映画の格調を維持させていた。
恐らく短期間で猛勉強したんでしょう。それほど堪能な日本語だった。思ったより彼は役者本能があるんですね。見直しました。意外です。
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ああ、少年心という貴重な、けがれのない強いものを一度も持ったことのない吾輩はこの映画に乗り切れませんでした。すべりました。そしてあろうことか、この映画から大人のたくらみまで感じ取ってしまったのでした。そんな僕はこの映画を語る資格がないのかもしれません、、。
まあ、でも悪ガキというものはこういう風にして仲良くなっていくものなのだ。廊下に出された少年たちの出会いは確かに秀逸だ。最初は力任せ。強者が弱 . . . 本文を読む
お気に入りの石持の新作。前作「見えない復讐」も秀逸だったけれど、本作は本来は人民の敵である国家側の犬、番匠の素晴らしい造形力。この多大なる魅力には参りました。
何十年先の日本の未来を架空視しているが、国家による「死刑」「教育」「軍隊」「売春」「自由」についてのびのびと書かれている。すべての章が斬新で、あっという間に読んでしまいページを繰る時間も貴重で、残りが少なくなってくるとさびしくなる。こん . . . 本文を読む
今年初めて挑戦したバラでしたが、もう11月半ばなのにますます元気だ。ひょっとしたらバラはイギリスが源泉なので今頃の気候が一番良いのかもしれません。
とはいっても、12月に入ると花も少なくなってくるでしょうし、1月になるといよいよ鉢替えという作業を行わなければなりません。今まで、花を切り花にしたことは皆無ですが、今回初めてやってみました。
思ったより、様々な色がそろい華やかです。ピンクから、黄色 . . . 本文を読む
青春時代はみんな行き場所も居り場所もないものなんだ。J・レノンの場合は母親の愛情に飢えていたという個別の事由はあるにせよ、みんな同じように悩んでいる。それが人生の最後まで持ち越す人もいれば、この映画の主人公のように卒業できる人もいる。人さまざまだ。
映画はよくできている。演出も緻密で魅せてくれる。彼の苦しみ、悩み、心の移ろい、すべて手に取るように分かる。でも、観客からすればいつビートルズメンバー . . . 本文を読む
まあ、内容はさておきカット割りなど余韻を持たせる演出は安心できる。微風がこの不思議な町を駆け抜けている。その勢いはさわやかでいかにも水の流れのごとし。なんのてらいもなく空っぽにしている頭には心地よく通り過ぎる。
水割りだけのスナック。グラスにまず大きな氷を入れてウイスキーを注ぐ。そして水を入れる前にかき混ぜる。うーん、何か心地よい。そして女バーテンとのちょっとした会話。それは大した内容ではないが . . . 本文を読む
この題材はかなり面白そうだと期待していたんですが、、。
カットの終わりがダラーんと長く微妙に変。この微妙なぎこちなさが全体に続きます。
脇役と言ってもスティール写真に立派に警官役で載っているから助演役ぐらいと思える。これだと脇役というイメージからちょっと違うかな、という感じ。わびしさももちろん出て来ない。
そして父親が劇作家の大家。大きな家。わびしさなんか元々描く気がなかったようだ。
そし . . . 本文を読む
この題名はいかがなものかなあ。話がどこかで3人クロスするはずだと思い観客は見ているはず。3人の警官のそれぞれのはみ出しの話ではあるけれど、それがクロッシング、か。まあ、題名にはそれほど拘りませんが、、。
まず、【イーサン・ホーク】。 冒頭の、はみ出しどころか、完全突き抜けの強盗シーンは強烈でこの映画のワクワク感を奏でてくれる。これは秀逸。悪徳警官モノですね。好きです。この感覚。
でもその後がい . . . 本文を読む
北と南の鮮烈きわまる争いに意外や娯楽作に徹底する展開、そして【ソン・ガンホ】と【カン・ドンウォン】の余裕ある演技合戦。面白いわけがない。楽しめました。でも、、。
彼ら二人の演技力をもってしても、ちょっと緩めの演出が気になったり(緊張感の持続が全編を持ち応えていない)、警察が犯人を捕まえているのにのうのうと逃がしたり(逃がさないと話が始まらないのだが、、)、繋がらないシーンも目に付いてしまう。
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