鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

犬城海岸の粘土

2014-03-02 | エッセイ

私が6~7歳の頃、皮膚病にかかったことがあり、父は

「犬城(いんじょう)に粘土を採りに行こう」

と言った。

犬城は種子島の東海岸にあり、海蝕崖が続き、馬立の岩屋という洞窟がある風光明媚なところである。

私の実家からは十数キロメートル離れている。

 

当時、犬城までの道路は整備されておらず、もちろん自家用車などない時代だった。

遠出するときや重い荷物を運ぶときは、いつも馬だった。

私は馬の背中に揺られ、父が手綱を引いて、山道を犬城まで行った。

 

犬城海岸の粘土は、波打ち際の崖の下にあった。

私は腰まで海水に浸かってその場所まで行き、父が粘土を採取する様子を眺めた。

かますに詰めた粘土を、馬に背負わせて帰った。

帰りは私も歩き、父は手綱を引くこともせず、馬が歩くのに任せた。

馬は、おとなしく私たちと一緒に歩いた。

 

粘土を袋に入れて風呂に浸け、泥湯にして入った。

数回入ると、私の皮膚病は治った。

皮膚病に効く温泉成分が粘土に含まれていたものだろう。

犬城海岸には今でも行くことがあるが、今となっては、その粘土を採取した場所を特定することはできない。

  

犬城海岸。洞窟は馬立の岩屋。(以前撮影したもの)

 

洞窟内から海を見る。

コメント (6)
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