小学生の時、国語の教科書に、全国各地の小学生が自分の郷土を紹介する、という内容の文が載っていた。
最初の報告は室蘭からだった。
室蘭は鉄の町で、大きな煙突から煙がもくもく出ている、といったことが、幾分自慢げに書いてあった。
日本が大気汚染、水質汚染などの公害問題で騒がれるのはこの後のことであり、当時は、巨大な煙突から出る煙は復興と繁栄の象徴だったのだ。
この中に、牛島からの報告があった。
牛島は瀬戸内海の小島であり、みかんの栽培が盛んであることが報告されていた。
山の斜面にみかんの苗を植えており、島がみかんでいっぱいになるように、といったことが書かれていた。
同級生の一人が地図帳を広げ、
「これが牛島じゃないか? 形が牛に似ているよ」
と言った。
指さした先を見ると、それはなんと小豆島であった。
私はその後、牛島はどこにあるどんな島か考えたことはなかったが、最近思い出して調べてみたくなった。
昔なら、百科事典にも載っていないであろう牛島のことを調べるのは大変だったろうが、今は簡単である。
牛島は香川県丸亀市に属し、丸亀の北7.7kmのところにあり、東には瀬戸大橋(瀬戸中央自動車道)が通っている。
28の島々からなる塩飽(しわく)諸島の中で、4番目に小さい島である。
島の周囲4.2kmで、里浦と小浦の2集落があり、人口は9世帯11人だそうである。
かつて栄華を誇り「瀬戸内海の海上王」と言われた豪商、丸尾五左衛門の本拠地だったとか・・・
今は過疎化が進み、みかん栽培は自家用程度らしい。
ネットには、島の風景など様々な写真が載っており、遠い昔に知った牛島のことが身近に感じられた。
牛島のことは、下のホームページに詳しい。