《ローマの力を今に語る数々の壮大な遺跡》(2)
(2)世界遺産「ドゥガ」のローマ遺跡
「ドゥガ」の遺跡はチュニスの西南西100kmの内陸にあって、19世紀の末に発掘された新しい遺跡だ。4世紀に最も繁栄し、少なくとも1万人の人がそこで暮らしていたという。アフリカ最大のローマ遺跡だとして1997年に世界遺産に指定された。
①「円形劇場」
紀元168年に造られた観客席19段、高さ15m、3500人が収容できる大きさで、保存状態も良く、今でも野外劇場として使われている。
②「風の広場」と「キャピタル」「風の広場」は円形劇場から少し離れた場所にあった。「キャピタル」はジュピター、ジュノー、ミネルバの三神を祭った8mの高さの神殿で、当時はとりわけ壮大な建造物だったのだと思った。
③ローマ人の「住宅」やローマ時代の「売春宿」跡住宅の大きさで貧富の差が見て取れた。
丘の最も低い位置に小さい個室が並んだ売春宿があり、少し離れたところに男女共用で10人程が並んで腰掛けて使ったという水洗トイレがあった。
④浴場跡他
巨大な公衆浴場が残っていたが、冬場に営業したらしい。蒸気をパイプで通す蒸し風呂だったようで、粘土で造ったパイプがあった。
ローマ帝国は、支配地域になったカルタゴにも住民の憩いの場である公衆浴場と娯楽の場である闘技場を造ったのである。それは政治から目を反らさせるローマ帝国の基本政策であった。