みなさん明けましておめでとうございます。
坂本龍一です。
今夜はこれから二時間 坂本龍一 ニューイヤー・スペシャル と題してお送りします。
この番組は毎年お正月に放送しているんですけれど、何と10回目なんだそうですよ。
ね、色々なテーマでやってきたんですけれども、一昨年は4人、5人くらい 色んな方を呼んで即興ライヴみたいなことを同じようにスタジオでやっていたんですけどね。ASA-changとか やくしまるえつこ さんとかね。今年はですね、まあ近いアイデアなですけれども、もう少し若い世代というんですかね。もしかしたら皆さんあまり馴染みのない名前かもしれませんけれども、若い世代で僕が、頑張ってるなーっと、良いなーと、才能あるなーと、思う人たちを呼んで、やはりこのスタジオで即興ライヴをやってみようと。まあヴァージョン2的な感じなんですけどねー。
まあそれが、お正月にふさわしいかどうかっていうのは僕もよくは判らないんですけれども。
まあねえ新しい若い世代と今年の初めにやるというのも何か良いんじゃないかと思ってるんですよねー。
あのう、まあ別にいつもセッションをやるという訳ではないんですけれど、何となく今年の気持ちは雰囲気はそういう感じになったんですよね。
それで今日お呼びしている若いミュージシャンは
OORUTAICHIさん。それから女性のsawakoさん。イギリス人の女性Micachuさん。それから原摩利彦(はら まりひこ)のこの4名なんですけれども、あのうイギリス人のMicachuさんはですね。イギリスにいるために、このために日本に来るということはできませんで、インターネットを介して、データーのやり取りを介してセッションすると。もう少し具体的に言うと、Micachuさんに曲のきっかけになるモチーフですよね。このモチーフを送ってもらって、それを僕がニューヨークである程度、僕の好きな音を被せて行って、土台を作った上に、今日僕がそれに即興をすると。だから、Micachuと僕が作った土台の上で僕が即興して音で遊びをするというような感じです。ま、一種のセッションですよねこれもね。えーどうなるでしょうか。即興なんで僕も別に予めこうしようなんてことは全然決めてなくてですね。その場の気持ちとかリアクションとかで音を出していくという感じですけど。じゃあまあスタジオセッションを始める前にですね。ここで今日の一曲目。今日発売されたNHK大河ドラマ「八重の桜」のオリジナルサウンドトラック コンプリート盤から、このアルバムからですね、Playing the orchestra 2013で演奏された「八重の桜 メインテーマ」を特別仕様されていますので、その曲の後にOORUTAICHIさんとのセッションをします。
それでは坂本龍一 ニューイヤースペシャル 最後までごゆっくりお楽しみください。
「八重の桜」メインテーマ Playing the orchestra ヴァージョン。
1 OORUTAICHI
よりコメント
みなさんOORUTAICHIと申します。明けましておめでとうございます。
関西に住んでいるんですけれども、一人で電子音というかエレクトロニック・ミュージック・トラックに音を乗せて歌を乗せているんですけれども、日本語で歌ってみたり、或いは言語じゃない自分の言葉で歌ってみたりしてます。それで、まあ東京も大阪・京都も時々地方に行ったり、海外とかまあ広く活動はさせてもらっているんですけれども、先月丁度フランスのマルセイユで呼んで頂いてライヴをしてきたんですけれども、そこでたまたまライヴを見てくれた12,3歳くらいの女の子が凄い感動したっていってイラストのついた手紙をおもむろに渡してくれて凄く感動して、これからはもう少し海外ももうちょっとライヴの数も増やせたらなって思っています。
えー今聴いて頂いた曲はですね。僕がUTAMOというアーティストと一緒にやっております「PLANT」という曲です。色々とプロジェクトを沢山やっておりまして、この後聴いて頂く坂本さんとのセッションとはまた一寸雰囲気が違うんですけれども、七尾旅人君が中心になっていやっているDIY STARSという音楽の配信のサイトでこの曲を買っていただけますので、もし気に入った方がおられましたらチェックしてみて下さい。
この話を頂いた時にああどうしようかなって思って凄く一瞬悩んで何か曲をやったりした方が良いのかなって思ったんですけれど、事前に坂本さんの方に聞いたら、自分はもう何も決めないでやります ということを言われたので、まあ自分も一寸腹をくくって何も決めないで即興セッションをしてみようと思って、まあ声が中心になるのかなって思ったんですけれど、まあそれに加えて少し何かリズムのトラックを用意したりとかセッションの音色を用意したりとかしてきたんですけれど、とても楽しみです。このセッション前に坂本さんの今まで聴いてなかった音源とかを聴きなおしてたんですけれども、本当に今に至るまでに色んなプロジェクトをやられてて、本当に自分には出来ない凄いことだなって思っているんですけれども、その辺とかをお話とかで聴けたらなあと思っています。はい、多分自由な感じに(笑)なると思いますんで、自由な頭で聴いてもらえたら嬉しいです。ではセッションです。オオルタイチでした。有難うございました。
ジングルの後
S:じゃあOORUTAICHI君、ちょっと音出してみましょうか。
O:はい。
{教授と音を出してインプロで演奏}
{教授と対談}
S:いやあ面白かったです
O:有難うございます。
S:なんかアフリカっぽい
O:あ、そうですか?もう思い切り歌わせて頂きました。良い音がいっぱい飛び込んでいて凄く感化されました。
S:面白いですね。けっこう声を使うの?
O:そうですね、あのう時々こうやってセッションするときは声を使うんですけれど、今日はちょっと声だけだとあれかなーって思ってちょっとだけ事前に準備はしてきたんですけれども、主にインプロで
S:うん。あまり、会ったのは二回目でしたっけ?
O:はい、大阪のコンサートに招いて頂いて、そん時に会って
S:そう。僕は割と前から聴いてるんですけれども
O:あ、有り難うございます。あのう息子さんにはNYでお世話になって、
S:そういうことありましたかね(笑)学校に行ってくれたんですよね。
O:はい。学校でライヴをやらして頂いて、すごく楽しかったんですけれども。
S:アメリカというか海外でよくライヴとかやってるんですか?
O:そうですね、年に数回ツアーとか。まあ単発で行ったりとかはしてるんですけれどもね、はい。
S:良いですね。音楽を始めたのは普通にバンドからなんですか?
O:そうですね、初めはそれこそ普通にそうでしたね。フォークギターで弾き語りだったり。まあ中学生でしたけれども。
S:えー! それが何故このような?
O:何でしょうかね。まあ色々な音楽が聴きたいというのがあって、まあ高校ぐらいから沢山色んなのを、無理して聴いて
S:無理して・・、 特に何か影響されたアーティストとかはいるんですか?
O:もうけっこう音楽を聴き始めた時からもう、そのころのバンドブームの影響も凄く受けていると思うし、僕は出身が奈良なんですけれど、ずっと大阪で暮らしてまして、今までは京都に居てたんですけれど、大阪のアンダーグランドのシーンなんか大阪・京都のって凄く面白かったんで、丁度20歳前後の時っていうのは
S:ノイズとかもですか?
O:ノイズもまあ有りますし、色んなハウスとかも。洋楽もたくさん聴きました。
S:でも映像とか。全部自分でやってるんでしょ?
O:映像は別の人なんです。
S:そうですか
O:はい。鎌谷聡次郎くんという、彼も大阪出身の子がいて、僕の音楽を聴いて、勝手に作っちゃってんていう
S:勝手にやってんの?
O:突然に。最初はそうやったんですよ。持ってきてくれて、わあ凄い才能やって思って
S:面白いですよね。
O:そうですね。ぶっ飛んでて
S:あれは結構効果的っていうか。音楽をもっと引き出すというか。そういう効果が出ている。
O:そうですね。
S:まあてっきり自分で一人でやってんのかと思ったら違うんですよね。今でもじゃあずっとコンビでやってるんですか?彼と。
O:そうですね。今のところ鎌谷君にずっと頼んでますけれど。
S:漫画ぽっいというかね
O:そうですね。全部アニメで手書きでやっていて
S:彼は早いんですか?仕事は パパパパッて
O:うーん。普段はもうちょっとちゃんとした会社に入って、ミュージックビデオとか作ってるんですけれど
S:ああそうなんですか
O:僕のをやってもらうときは手書きなんで凄い時間とかかかるみたいで
S:手で書く?
O:はい。
S:手で書いて一枚一枚やってるんだ。凄いなあ、大変ですね
O:はい。大変そう。
S:そうですか。で、y t a m oというアーティストと両方やってるんですか?
O:はい。坂本さんにも何か以前にコメントを頂いたことがあったんですが
S:そうですね
O: ウリチパン郡というバンドを以前い知ってまして、そのメンバーのy t a m o ウタモ(1979年4月うまれ)という女性のアーティストがいて、その彼女と二人で今、またちょっと歌もの路線というか
S:彼女はヴォーカルなんですね
O:ヴォーカルも歌いますし、キーボードも
S:それはヴォーカルだけに?作ったっぽい感じなんですか?
O:そうですね。自分の中ではウリチパン郡の流れの中にあるというか。日本語で詩とかを書いて、ギターとかでオーソドックスな曲作りをするという。枠と言いますか、やってるんですけれども。
S:ウリチパン郡という活動はもうやってないの?
O:いいえ、一応まあ休止という感じで、ちょっとお休みしてるんで。
S:凄く好きでした
O:ああもう有り難うございます。
S:あのーコメントの依頼を貰う前から聴いていて、好きで
O:あ、そうなんですか?
S:ふん。本当に。好きで聴いていて、たまたまコメントの依頼が来たので
O:そうなんですか?てっきり千住君が頼んでくれたんやって思ってたら、聴いて下さってたんですね。
S:うん。どうして発見したんだかは解らないんですけれど。
で、クリスマスにフリーで配信するシングルにしたんですよね?
O:そうなんです。シングルを
S:何というタイトルなんですか?
O:それは2曲ありまして、それは「BEAUTY STEP」というのと、「Flower of life」
S:それはどこに行くとダウンロードできるんですか?
O:ええとそれは、自分のサイトにアクセスしてもらったら、そっからダウンロード出来るようになってますので
S:OORUTAICHIとアクセスすればできますよね。Oが二つですよね。
O:そうです。
S:本名じゃないですよね?
O:そうなんです。本名みたいに言って下さるんですけど(本名:大流 太一)
S:本名は何て言うの?おおるさん?
O:たいち
S:たいちさん。それは本名なの?みんな聴いて下さいね。
O:聴いて下さい。
S:そちらから何かあれば
O:色んな形態というか、色んなプロジェクトで坂本さんは休むことなく。僕なんかは作るのもすごいのんびりしてて、時間がかかっちゃう感じなんですけれども、坂本さんは凄いコンスタントにどんどん作品が発表されているのをみて、何か任されたままにっていう感じなんですかね?やりたいことがどんどんと見つかってきて
S:そうですね。時間は足りないですけどね。
O:もっともっとやりたいという
S:本当はね。山口のYCAMとかって行ったことあります?
O: はい。一度
S:今YCAMでたまたま僕と高谷史郎さんと一緒に作ったインスタレーションがあって、3つ同時に展示してあるんですね。3つ同時にってことは後にも先にも今後もう無いと思うんですけれども、もし時間があったらぜひ見てほしいんですけれど、3月頭まではやってるんですけれども、YCAMの宣伝というよりは、何かね、そういうインスタレーションとかね、その音楽、勿論音もあるんですけれど、いわゆる普通の音楽のフォームというかは違った拡張したようなものにもちょっと関心があって、色々思いついちゃうので、作るとなるとやはり時間もかかるし、人の協力も必要だし、中々ね、でもそういう風な気持ちの高まりってさ、何か月もそんなに持続しないから
O:そうですね、思いついたらすぐに
S:やりたくなっちゃいますけど、色んな事情で実現できないものは沢山あるから、そうするとそれは捨てられて行ってしまう。ちょっと勿体ないですけれど。
O:何かそういう無くなったプロジェクトとかを顧みるとか
S:そうですね。たまには思い出して引っ張り出して形を変えてということはあるかなあ。勿論普通の音楽というのもねメロディーがあるものとかも思いついたりとかもするんですけれど、まあでも色々とやっている割にはね、いわゆるCDになっているアルバムというのも、もう5年くらい出してないんですよ。最後に出したのが2009年かな。たまにはそういうものも作らないと。
O:そうですね。常に活動されている印象がすごいあって
S:そうですか
O:僕なんかは思いついたりして凄い興奮しちゃったりするんですけど、中々実現するとかまでの道のりとかが、こう大変やなって思っちゃったりとか、躊躇してしまったりとかってあるんですけど。
S:そうだね、そうだと出来ないですね。ま、普通の音楽というのは思いついちゃうと直ぐに音が出るし、まあポップスなんか本当に全て出来るわけだし、バンドがあればコードだけ渡せば直ぐに簡単に音が出る訳だし、そういうのが楽しいですけれどね、このリアルタイム性がありますよね、音楽には。
O: そうですね。坂本さんも結構、歌ものというか歌が入ってくる曲を何曲か書いてはりますけど、ああゆうのってどれ位?色々あると思うんですけど、かかるもんなんですか?
S:そうですね、僕の悪い所は、割と作っちゃって、それをとことん突き詰めない。作ったら作ったらでもう良いやって、という悪いところがあって、ああ出来た。もう終わりっていう。
O:ああー
S:早いですね。もう早いものは5分10分で出来ちゃうし、
O:じゃあもうそれで完成
S:でもね、それは本当は良くないっていうか、あのう前にアントニオ・カルロス・ジョビンのカバーアルバムを作ったのがあるでしょ? で、ジョビンさんとは生前会えなかったんですけれど、色んな一緒に仕事をしていた人と会って話をしたりすると、ジョビンさんの曲は世界中で愛されていて、歌ものも洗練されたものじゃないですか、親しみやすい。簡単にできるみたいだけれども、二年も三年もかけるんですって。
O:ああ、そうですか
S:凄いですよね
O:僕は2年も3年もかけれないですけれど、凄い時間がかかってしまって、何か聴くたびにこうできるなって思ったり
S:ああ、でもそれは良いですよ。
O:はい。でもこんな調子でやっていると何か大丈夫なんかっておもてしもたりして
S:そういう閃きも大事だけれども、閃きをちゃんと保持しながら何ていうのかな、彫塑というのかな、磨いていくのも大事だと思うんですよね。僕もそうしなければと思っているんですけれど(笑)
坂本龍一 セッション一人目はOORUTAICHIさんでした。続いてはsawakoさんとのセッションをお送りします。
41:20
2 {sawakoよりコメント}
経歴凄いです・・・sawakoさん。
坂本龍一ニュー・イヤー・スペシャルをお聴きの皆さん、あけましておめでとうございます。ミュージシャンのsawakoと言います。今聴いて頂いた曲はセカンド・アルバム「hum」収録の「Pink Liquid Cotton Candy」でした。私は普段コンピュータで作った電子音と街や自然の中で録音してきたフィールドレコーディングサウンドを用いて音を作っています。もともとは名古屋出身でNYに6年間在住の後、現在は東京とネット上を拠点に活動をしています。カフェや神社のような場所から、ソナーフェスティヴァルのような国際的なさまざまな場所でライヴやインスタレーションを行っています。今日はこの後、坂本龍一さんとの初めてのスタジオセッションということで、とてもドキドキしています。坂本さんはmore treesのような活動や森や水をテーマにしたYCAMでのインスタレーション作品のような地球規模での活動をされていることが、大変すばらしいなっと思っています。今日のセッションは聴くこと、演奏することともに、聞くこと耳を開くことにも意識を向けながら、一音一音を大切に奏でたいなって思ってます。お聴きの皆さんもじっくりと耳を澄まして音の海に漂って頂けたらとっても嬉しいです。よろしくお願いします。
{教授と音を出してインプロで演奏}ここでのRは坂本龍一
R:ちょっと出してみますか
S:はい。
R:音を出すのは初めてなので一緒に出すの。
S:はい、初めてです。
R:どうなるかわかりませんが、あのついていきますから
S:はい。有難うございます。
インプロの曲
{教授と対談}
R:今晩は。良い音でしたね。
S:丁度あったんで
R:良かったですね。だけど、水とか鳥の、ああいうフィールドレコーディングって自分でしたんですか?
S:そうですね。色んな場所の音とかも今日も混じって、雪解けの音とかも今日も使ってました。ツララが落ちてくる音とか
R:うーん、日本?
S:日本ですね。それは新潟県の方で録ってて、
R:それはフィールドレコーディングをしようと思って行ったの?
S:そうですね。知人がそこにギャラリー兼ドミトリーみたいなものを始めて、丁度、越後妻有トリエンナーレのある町なんで、それで季節ごとに通って録音させてもらっているんです。はい。
R:ああそうか季節によって違いますものね
S:はい。色んな音が面白いですね
R:結構雪深いんですかね
S:豪雪地帯です。5mくらい、5m6m丁度雪解けの季節に行くと雪が固まっているんで
R:へー
S:道が無くなって上を歩いて行ったり
R:ああそうなんですね、固い雪の上を
S:歩いて
R:道が出来てるんですよね
S:道が出来てて。そうですね。積りたては柔らかいんですよ。
R:ですよね
S:ぽしゅっと落ちちゃうみたいな感じで
R:ですよね、だから カンジキみたいなのを履かないとね
S:それで、ツララの音を録ってた時に、私は街出身なんでツララとか凄く珍しいんですけれど、道行く人に笑われちゃって、R:そんな当たり前なものを録ってって
S:はい。そうですね。普通のことですよね、向こうの人にとって
R:珍しがっている。珍しいですよね。
S:珍しいです。凄く綺麗だし。その水の滴る音がやっぱり美しい。
R:そういうのって日本的なんですか?
S:多分エリアによって国によって音が違うと思うんですよね。雪も違うし
R:そうですね
S:ツララの感じも違うし日本はやっぱり繊細な感じがします。森なんかの生き物も他のアマゾンとかオーストラリアとか
R:全然違うよね
S:攻撃的な感じの音だったりするんで
R:そうですね。アマゾンとかも行ったの?
S:アマゾンは行ってないですが、知り合いの方が録音をしてて、はい。
R:僕は行ったんですけど、凄いですよ。もうねえ朝起きて夜明けぐらいに森に行ったらね、森全体がキーンという金属的な音がしてるのね。あの亡くなったルー・リードの「メタル・マシーン・ミュージック」みたいな
S:はい、はい。
R:キーンって音がして、それはね森中の昆虫が一斉に鳴いている音なんですよね。物凄く高周波の金属的な音でした。で、植物も棘なんかもこんなに長くてね、凄く植物も攻撃的なんです(笑)
S:はいはい
R:みんなが競い合っているという感じでね。ああゆうなんか蟻なんかもこんなに大きくて、食われると本当痛んですけれど
。面白いですね。だけど、その自然のそういう音に感応するというか、感じやすい日本人の特質とかって言われるじゃないですか。まあそういう所もあると思うんですけれど、テーラーなんかは割と日本人的ですよね。
S:的ですよね。凄いはい。思いますね。
R:外国人の中ではね。あと、北欧の人とかちょっと日本人の感性に似ているような気もしますけれど
S:はい。
R:今日会うのは二回目でしたっけ?
S:はい。二回目になります。
R:以前、NYでお会いしたんですよね。
S:NYのワールド・ファイナンシャル・センターでフェネスさんとライヴをされた時に、私のレーベル・オーナーの12K(トェルブ・ケイ)のテーラーと一緒にご挨拶にお会いしました。
R:ああ、そうでした。あれはテロで壊れちゃったワールド・トレードセンターの丁度向かいにあるビルで、あ、じゃあ911の時はNYに居たの?
S:その時は日本に居たんです
R:じゃあその後にNY
S:はい。その後にNY
R:それであのビルも壊れて何年間か修復していたんですけれど、それの何て言うかな、回復記念みたいな、で出たんじゃなかったっけな?そうじゃなかったっけ?
S:何でしたっけね?忘れちゃって(笑)
R:もう最近のことなのに記憶が僕はダメなんですけれど、もともとはSFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)なんですね
S:はい
R:大変面白いですね。サウンドアートと言うか。そういう電子音楽とかやってたんですか?
S:音とか映像とか、あと統計とかが凄く興味があって、コンピュータを使ったり、フィールドレコード。街の音だとか、人の動きだったりとかそういうことも興味があったんで、一番中心になるのはアートなんですけれど、それ以外のことにも色々と顔を突っ込むようになって
R:そうなんですね。でNYに行ってNY大学。
S:そうですね
R:そこでは何を勉強したんですか
S:そこではもうちょっと、やっぱりマルチメディア・アートともうちょっとアクティヴィズム寄りのような
日本よりはもうちょっと、やっぱり意見がある方が多くて、そういう感じの所でした。
R:アクティヴィズムやってるのが当たり前の感じですよね。
S:そうですね。
R:アメリカの大学なんかはね。
S:あと
R:ジェンダーとか色々とあるじゃないですか。
S:そうですね。あと環境問題とかありましたし、逆にそのテクノロジーとかを培っている人が多いので、それ以外のことに興味がある方の方が多かったです。
R:まあねITを使うというのもどういう分野でももちろん使うし、アートとかそういう社会問題とかでもみんな使うし、SNSでも使うし、慶応に行ってそのコンピュータとかの使い方もよく知っていて、それをアートとかそういう社会問題とかにも生かすというのはとても○○的というか。そうなんですね。12Kのテーラー(Taylor Deupree)とはどうやって知り合ったんですか?
S:もともとこういった音楽のネーミング・リストがあって、それで知ってたんだとは思うんですけど、共通の友人が「絶対にテーラーに会うべきだ」って言ってくれて、丁度テーラーが日本に遊びに来てて、初めてのライヴの時で、それで私も会って、NYに行くことになって、仲良くなった感じですね。
R:僕がテーラーと知り合ったのは、デイヴィド・シルヴィアンと「WORLD CITIZEN」という曲を作って、そのリミックスをテーラーに頼んだんですけれど、そのころだから、2004年くらいかな。
S:割と近いですね。それぐらいです私も。2003,4年くらい。
R:12Kのリストでsawakoさんというのを見ていたので、勿論聴いてもいたので、もっと長いのかなって思っていたんで、同じぐらいなんですね。去年はね、僕はテーラーとディオのアルバムを出したんですけれど、
こちら(Disappearance)
S:素晴らしかった
R:ああ、そうですか(照笑)
S:すごい好きな感じでした
R:ああ、本当?有り難う。さっきも気が合っているんですけれど、うーん
S:あれは?NYでスタジオ・セッションをして?
R:そうですね。ライヴをやることになって、テーラーって意外と用意するというか、気持ちを準備するというかな。そういう人みたいで、いきなりライヴで即興ってんじゃなくて、NYのうちのプライベート・スタジオに来て、どういう音にしようかってことを相談したくて来たんですけれど、その時に音を出して2時間くらいやってたのが元になって、それで直ぐその後にザ・ストーンって所でライヴをやって、まあその辺が元になってるんですね。それをテーラーがこう10分か25分くらいの曲にまとめてって感じですね。青葉市子さんとか
S:はい、入ってます。
R:そんなこんなで初めて一緒にトライしてみたんですけれど、やはり偏見ではなく女性的な感性と言うか、そういうのも、やはりありますよね。面白いですよね。また是非
S:また是非よろしくお願いします。
R:よろしくお願いします。頑張って下さいね、今年の活動も。何か言っておくことはない?
S:1月に東北の方でツアーがあります。
R:ああそうですか。東北のどこですか?
S:東北の仙台と宮城県にあるプラネタリウムでそれは星空に合わせてライヴをして
R:それは即興なの?
S:即興です。あと岩手県の水沢という町でライヴがあります。
R:じゃ是非ね、近くの方は行ってください。Sawakoさんでした。
S:はい。どうも有り難うございました。
3 {Micachuさんとのセッションです}
ええ、このMicachuとうのは、皆さんお分かりだと思いますが、ピカチュウをモジッタものでして、そのMicaさんというね、イギリスの今は多分25ぐらいの(1987年生まれ)(Mica Levi)若い女性なんですけれど、実は僕は会ったことないんですよまだ。何で知ったかと言うと去年、僕はベネチア国際映画祭の審査員として招かれてベネチアに行って、一日に映画を3本、4本とね立て続けに1週間か10日くらい見てたんですけれど、そのコンペディションの中に入っていた映画の一つに「Under The Skin」という映画がありまして、まあ映画としてはウーンと言う感じ(笑)なんですけれども。映像のスペシャル・エフェクトとかですね、音が素晴らしかったんですよ。ジョナサン・グレイザー Jonathan Glazerという人が監督をしていまして、有名なスカーレット・ヨハンセンが主役なんですね。このSFスリラーみたいな感じで、そのスカーレット・ヨハンセンの女性がエイリアン。地球に来た宇宙人なんですけれども。まあそういうSF。でね、音が素晴らしいんですよ。音楽もですけど、音も音楽も素晴らしい。非常に変わっていて、普通の映画の音楽という感じは全くなくてね、本当に僕はびっくりして誰がやっているんだろうって思ってすぐ調べてたら、このMica Leviだと人で、もっと調べたら24、5のイギリス人の若い女性だと。それで本当に驚いて、それで映像なんかもインターネットなどでも調べてね、バンドをやっていたりするんですけれども。それでHPがあったんで、メールをしたんですよ。坂本と言うんですけれど、まあ英語でですけれど。こういうNHKでラジオをいつもやっていて、今年は若い色んなミュージシャンとセッションやるんですけれど、日本には来れないかもしれませんが、ファイル交換とかでセッションやりませんかということでメールしたら。そうすると彼女から「良いわよ」って直ぐに返事が返って来て、じゃあ最初に何かモチーフを送って下さいと言うと、すぐに送ってきてくれたわけ。翌日くらい?という訳なんですよ。ちょっと彼女から番組にコメント来ていると思いますので、聞いてみましょうか。
本人からの音声
{日本語訳の音声}
私のWEBサイトではメッセージを受け取れるようになっていて、そこに坂本さんが連絡をくれたの。Jonathan Glazer監督の作品「Under The Skin」に使われている私が作曲した音楽を気に入ってくれて、そのメールによると、坂本さんがラジオ番組の中で一緒にコラボレーションをする若いアーティストを探していて私を指名してくれたのね。公正なる気持ちに、シンプルで発展的だったんで、私も直ぐOKしました。私はシンプルなアルペジオ風のをギグミーティングで録音したの。音の吹くような音よ。それを坂本さんに送って、1か月ぐらいかしら、彼からのファイルを受け取って、私のシンプルなアイディアをとても気に入ってくれて、坂本さんが作り上げたテクスチャーはピースフルで素晴らしかった。彼が今夜のスタジオセッションでどんな音に仕上げてくれるのかとても楽しみです。私は今回の経験を自分のバンドMicachu & The Shapesに引き継いで、新たなレコーディングをしています。成分を拡張させてね。私が映画音楽を手掛けた映画「Under The Skin」という映画は来年の3月に公開予定です。機会があったらチェックしてください。Micachuでした。
R:でまあ、彼女から来たそのモチーフを基にして僕がNYで少し音を重ねていって、曲風にしてですね、10分くらいの。その上に生でライヴで僕が演奏するという、そういうセッションです。ちょっと変わったセッションですけれど。どうぞ楽しみに。
{彼女からの音源に僕の演奏を重ねてセッション}
4 原摩利彦(はら まりひこ)
よりコメント
坂本龍一ニュー・イヤー・スペシャルをお聴きの皆さん明けましておめでとうございます。原摩利彦です。今聴いて頂いています曲は「Flora」というアルバムから「Boat」という曲です。普段はですね、曲ということをテーマにした、質感とかそういうものに拘った静かな音楽を作っています。電子音楽とピアノも弾きます。時には激しいビートの音楽を作ったりとか、また舞台とかの音楽とかもやっております。活動の中心は主に京都に住んでおりますので京都を中心にやっております。お寺とか野外で音楽を演奏することもあるので、自分の用意した作った音だけではなく周りで鳴っている音に焦点が行くように心がけてやっております。この坂本龍一さんと新春のセッションを行いますけれども、非常に緊張しております。お話をして頂いてから毎日、朝、寒風摩擦をやって体調だけを崩さへんようにして来ました。繊細な音を用意して来ましたので、坂本さんの音とどのように寄り添っているかを聴いて頂けたらなって思います。ではまもなくスタジオセッションのスタートです。お楽しみに。原摩利彦でした。
{教授と原摩利彦さんのトーク}
R:原摩利彦さん。今晩は。
M:今晩は。
R:音を出すのは今日が初めてなんですけど、ちょっとどうなるか、即興何でどうなるか解らないですけれど。
M:はい。凄く嬉しくてですね。
R:はぁ(照笑)
M:中学1年生の時に13歳の時に坂本さんのトリオの1996のコンサートに行きまして、それでミュージシャンになろうと思いました。
R:あ、そう(照笑)
M:なってもう17年くらいですね。
R:そうなんだ
M:もう本当嬉しすぎて息出来ないんですけれど。あのう高校生の時の携帯の番号の下四桁も1996にしてたぐらい好きでした。
R:ああ、そうですか(照笑)
M:非常にだから今日は嬉しいです。
R:○○テープとか沢山送ってきてくれたりとか。本当に10代の時から知っているという感じなんですが、初めてだからどうなるかわかんないけど、やってみましょう。
M:はい。よろしくお願いします。
{教授とのインプロ演奏}
{教授と対談}
R:もう随分前でしたね会ったの
M:そうですね。
R:法然院だっけ?
M:そうです。はい法然院の。高谷史郎さんのシークレットライブの時ですね。それが一番最初です。
R:あれは二人で来たんだっけ?
M:はい弟の瑠璃彦と一緒に
R:摩利彦、瑠璃彦って神話みたいですよね。古事記みたい、凄いな。でも本当に仲良いですよね二人は。
M:5つ年が違うんですけど。小さい時は絶対的に力があったんですけれど、最近はそうでもなくてですね。
R:そうなんですか?大学を卒業してもうじゃあ今はミュージシャン?職業は?
M:一応大学院に籍はあるんですけれど
R:ああ、籍があるの、
M:休学して
R:休学してるの。へえ何の勉強をしていたんですか?
M:生涯教育学でlife-long educationなんですけど、その中で音と人との関わりみたいなものを考えていました。
R:まあ関係してるわけね音の方に。
M:はい。大学の方でもう先生にミュージシャンになれと
R:追い出されちゃった
M:はい。(笑)
R:そうですか、でも、色んな海外のミュージシャンともコラボレーションしたりとか、割と活動が本格的になって、まあ随分と長く見ているから。ねえちょっと前までは学生でね、やってたんですけど、いよいよねー。どうですか?音楽で、音で生活していくのって大変でしょ?なかなか
M:なかなか大変ですね本当に。
R:ね、弟の瑠璃彦ちゃんは?( 1988年生まれ)あれですかね、研究者になるんですかね?
M:どうでしょうね。
R:どうなんでしょうね。
M:舞台とかそういうのには関わりたいとは。創作には関わりたいみたいです。
R:そうなんですね。
M:はい。
R:兄弟揃ってお世話になっちゃって
M:いえいえ
R:即興ってよくやってんですか?
M:いや、それほど沢山はしたことがないです。
R:じゃあ割とちゃんと曲がある形で
M:が多いですね。何かあっと言う間でしたね。楽しかったです。
R:そう、あっと言う間?けっこう長くやっちゃったんだけれども。もうちょっと1つ何かあったかな。なんかちょっと尻切れトンボで終わっちゃったんですけれど。すいません。全く打ち合わせなしでブッツケ本番でやったんで。ね、暗中模索というかね。
M:いやあ
R:明りのない蝋で暗がりで彷徨、森の中を散策しているような感じです。楽しかったです。また是非やりましょう。
M:是非やりましょう。
R:今年は何か予定があるんですか?
M:まず2月から奈良にあります たんぽぽの家 という障害者の方たちのアート活動を支援している所があるんですけれど、そこの障害者の方と一緒に6.2チャンネルのサウンド・インスタレーションを発表します。
R:大友さんもね、子供さんたちとやったりね。
M:はい。歌遊びの会とかで。その系列で
R:そうなんですね。なんか教育的な観点もあるような。気もしますけれどもね。
M:はい。
R:そういうところにも繋がっていくのですね。まあ注目しているので頑張って下さいね。
M:はい。有難うございます。
R:どうも有り難う。
という訳で、坂本龍一 ニュー・イヤー・スペシャルも10回目 どうでしたか?
最後に曲を聴きながらお別れしたいと思います。昨年5月にオーケストラでライヴ音源でセレクトしたPLAYING THE ORCHESTRA 2013から「aqua」を聴いてみましょうか。
今日聴いて頂いた若い人たちの、それぞれユニークな活動をしていますし、従来のミュージシャンというのはちょっと違う感じの人が揃ったのかな。僕がお呼びしたのでそういう人ばっかりなっちゃったのかもしれないですけれどもね。何かギター持ってちゃんとバンドをやってます。というのではなく、そこそこアートと音楽との境目みたいな。そういうような境界がよくわからないような活動をしているね。今後どういう、どうなっていくのかこう予測がつかない原石というのが良いなって思うんですよね。共通しているのはみんなコンピュータを使うということですね。やはり若い世代なので、子供の時からもうコンピュータに接していてライヴをやるのも音楽をやるのもコンピュータを使って、まあ使いこなしてるっていう感じでしたね。本当に羨ましいですよね。
今年はどんな年になるのかは判りませんが、僕はそろそろまた自分のソロアルバムを作ろうかなっと。集中して。もうこの前のアルバム「OUT OF NOISE」から5年くらい経ってしまいましてね。今から作り出して、正月に来年の話をするのも何かと思いますが、来年の頭に出せたとしても、もう6年目くらいになってしまいますが、そろそろ普通の音楽の形もやっても良いかなって思っていますけれども、自分でもどういうものになるかはまだ、全くわかりません。これから考えます。それではまた、来年になりますけど、そこの頃にはアルバムが出来ていると嬉しいですね。2015年のお正月もこの番組が出来ると良いなって思っています。2014年が皆さんにとって良い年でありますように。坂本龍一でした。
PLAYING THE ORCHESTRA の「aqua」
坂本龍一です。
今夜はこれから二時間 坂本龍一 ニューイヤー・スペシャル と題してお送りします。
この番組は毎年お正月に放送しているんですけれど、何と10回目なんだそうですよ。
ね、色々なテーマでやってきたんですけれども、一昨年は4人、5人くらい 色んな方を呼んで即興ライヴみたいなことを同じようにスタジオでやっていたんですけどね。ASA-changとか やくしまるえつこ さんとかね。今年はですね、まあ近いアイデアなですけれども、もう少し若い世代というんですかね。もしかしたら皆さんあまり馴染みのない名前かもしれませんけれども、若い世代で僕が、頑張ってるなーっと、良いなーと、才能あるなーと、思う人たちを呼んで、やはりこのスタジオで即興ライヴをやってみようと。まあヴァージョン2的な感じなんですけどねー。
まあそれが、お正月にふさわしいかどうかっていうのは僕もよくは判らないんですけれども。
まあねえ新しい若い世代と今年の初めにやるというのも何か良いんじゃないかと思ってるんですよねー。
あのう、まあ別にいつもセッションをやるという訳ではないんですけれど、何となく今年の気持ちは雰囲気はそういう感じになったんですよね。
それで今日お呼びしている若いミュージシャンは
OORUTAICHIさん。それから女性のsawakoさん。イギリス人の女性Micachuさん。それから原摩利彦(はら まりひこ)のこの4名なんですけれども、あのうイギリス人のMicachuさんはですね。イギリスにいるために、このために日本に来るということはできませんで、インターネットを介して、データーのやり取りを介してセッションすると。もう少し具体的に言うと、Micachuさんに曲のきっかけになるモチーフですよね。このモチーフを送ってもらって、それを僕がニューヨークである程度、僕の好きな音を被せて行って、土台を作った上に、今日僕がそれに即興をすると。だから、Micachuと僕が作った土台の上で僕が即興して音で遊びをするというような感じです。ま、一種のセッションですよねこれもね。えーどうなるでしょうか。即興なんで僕も別に予めこうしようなんてことは全然決めてなくてですね。その場の気持ちとかリアクションとかで音を出していくという感じですけど。じゃあまあスタジオセッションを始める前にですね。ここで今日の一曲目。今日発売されたNHK大河ドラマ「八重の桜」のオリジナルサウンドトラック コンプリート盤から、このアルバムからですね、Playing the orchestra 2013で演奏された「八重の桜 メインテーマ」を特別仕様されていますので、その曲の後にOORUTAICHIさんとのセッションをします。
それでは坂本龍一 ニューイヤースペシャル 最後までごゆっくりお楽しみください。
「八重の桜」メインテーマ Playing the orchestra ヴァージョン。
1 OORUTAICHI
よりコメント
みなさんOORUTAICHIと申します。明けましておめでとうございます。
関西に住んでいるんですけれども、一人で電子音というかエレクトロニック・ミュージック・トラックに音を乗せて歌を乗せているんですけれども、日本語で歌ってみたり、或いは言語じゃない自分の言葉で歌ってみたりしてます。それで、まあ東京も大阪・京都も時々地方に行ったり、海外とかまあ広く活動はさせてもらっているんですけれども、先月丁度フランスのマルセイユで呼んで頂いてライヴをしてきたんですけれども、そこでたまたまライヴを見てくれた12,3歳くらいの女の子が凄い感動したっていってイラストのついた手紙をおもむろに渡してくれて凄く感動して、これからはもう少し海外ももうちょっとライヴの数も増やせたらなって思っています。
えー今聴いて頂いた曲はですね。僕がUTAMOというアーティストと一緒にやっております「PLANT」という曲です。色々とプロジェクトを沢山やっておりまして、この後聴いて頂く坂本さんとのセッションとはまた一寸雰囲気が違うんですけれども、七尾旅人君が中心になっていやっているDIY STARSという音楽の配信のサイトでこの曲を買っていただけますので、もし気に入った方がおられましたらチェックしてみて下さい。
この話を頂いた時にああどうしようかなって思って凄く一瞬悩んで何か曲をやったりした方が良いのかなって思ったんですけれど、事前に坂本さんの方に聞いたら、自分はもう何も決めないでやります ということを言われたので、まあ自分も一寸腹をくくって何も決めないで即興セッションをしてみようと思って、まあ声が中心になるのかなって思ったんですけれど、まあそれに加えて少し何かリズムのトラックを用意したりとかセッションの音色を用意したりとかしてきたんですけれど、とても楽しみです。このセッション前に坂本さんの今まで聴いてなかった音源とかを聴きなおしてたんですけれども、本当に今に至るまでに色んなプロジェクトをやられてて、本当に自分には出来ない凄いことだなって思っているんですけれども、その辺とかをお話とかで聴けたらなあと思っています。はい、多分自由な感じに(笑)なると思いますんで、自由な頭で聴いてもらえたら嬉しいです。ではセッションです。オオルタイチでした。有難うございました。
ジングルの後
S:じゃあOORUTAICHI君、ちょっと音出してみましょうか。
O:はい。
{教授と音を出してインプロで演奏}
{教授と対談}
S:いやあ面白かったです
O:有難うございます。
S:なんかアフリカっぽい
O:あ、そうですか?もう思い切り歌わせて頂きました。良い音がいっぱい飛び込んでいて凄く感化されました。
S:面白いですね。けっこう声を使うの?
O:そうですね、あのう時々こうやってセッションするときは声を使うんですけれど、今日はちょっと声だけだとあれかなーって思ってちょっとだけ事前に準備はしてきたんですけれども、主にインプロで
S:うん。あまり、会ったのは二回目でしたっけ?
O:はい、大阪のコンサートに招いて頂いて、そん時に会って
S:そう。僕は割と前から聴いてるんですけれども
O:あ、有り難うございます。あのう息子さんにはNYでお世話になって、
S:そういうことありましたかね(笑)学校に行ってくれたんですよね。
O:はい。学校でライヴをやらして頂いて、すごく楽しかったんですけれども。
S:アメリカというか海外でよくライヴとかやってるんですか?
O:そうですね、年に数回ツアーとか。まあ単発で行ったりとかはしてるんですけれどもね、はい。
S:良いですね。音楽を始めたのは普通にバンドからなんですか?
O:そうですね、初めはそれこそ普通にそうでしたね。フォークギターで弾き語りだったり。まあ中学生でしたけれども。
S:えー! それが何故このような?
O:何でしょうかね。まあ色々な音楽が聴きたいというのがあって、まあ高校ぐらいから沢山色んなのを、無理して聴いて
S:無理して・・、 特に何か影響されたアーティストとかはいるんですか?
O:もうけっこう音楽を聴き始めた時からもう、そのころのバンドブームの影響も凄く受けていると思うし、僕は出身が奈良なんですけれど、ずっと大阪で暮らしてまして、今までは京都に居てたんですけれど、大阪のアンダーグランドのシーンなんか大阪・京都のって凄く面白かったんで、丁度20歳前後の時っていうのは
S:ノイズとかもですか?
O:ノイズもまあ有りますし、色んなハウスとかも。洋楽もたくさん聴きました。
S:でも映像とか。全部自分でやってるんでしょ?
O:映像は別の人なんです。
S:そうですか
O:はい。鎌谷聡次郎くんという、彼も大阪出身の子がいて、僕の音楽を聴いて、勝手に作っちゃってんていう
S:勝手にやってんの?
O:突然に。最初はそうやったんですよ。持ってきてくれて、わあ凄い才能やって思って
S:面白いですよね。
O:そうですね。ぶっ飛んでて
S:あれは結構効果的っていうか。音楽をもっと引き出すというか。そういう効果が出ている。
O:そうですね。
S:まあてっきり自分で一人でやってんのかと思ったら違うんですよね。今でもじゃあずっとコンビでやってるんですか?彼と。
O:そうですね。今のところ鎌谷君にずっと頼んでますけれど。
S:漫画ぽっいというかね
O:そうですね。全部アニメで手書きでやっていて
S:彼は早いんですか?仕事は パパパパッて
O:うーん。普段はもうちょっとちゃんとした会社に入って、ミュージックビデオとか作ってるんですけれど
S:ああそうなんですか
O:僕のをやってもらうときは手書きなんで凄い時間とかかかるみたいで
S:手で書く?
O:はい。
S:手で書いて一枚一枚やってるんだ。凄いなあ、大変ですね
O:はい。大変そう。
S:そうですか。で、y t a m oというアーティストと両方やってるんですか?
O:はい。坂本さんにも何か以前にコメントを頂いたことがあったんですが
S:そうですね
O: ウリチパン郡というバンドを以前い知ってまして、そのメンバーのy t a m o ウタモ(1979年4月うまれ)という女性のアーティストがいて、その彼女と二人で今、またちょっと歌もの路線というか
S:彼女はヴォーカルなんですね
O:ヴォーカルも歌いますし、キーボードも
S:それはヴォーカルだけに?作ったっぽい感じなんですか?
O:そうですね。自分の中ではウリチパン郡の流れの中にあるというか。日本語で詩とかを書いて、ギターとかでオーソドックスな曲作りをするという。枠と言いますか、やってるんですけれども。
S:ウリチパン郡という活動はもうやってないの?
O:いいえ、一応まあ休止という感じで、ちょっとお休みしてるんで。
S:凄く好きでした
O:ああもう有り難うございます。
S:あのーコメントの依頼を貰う前から聴いていて、好きで
O:あ、そうなんですか?
S:ふん。本当に。好きで聴いていて、たまたまコメントの依頼が来たので
O:そうなんですか?てっきり千住君が頼んでくれたんやって思ってたら、聴いて下さってたんですね。
S:うん。どうして発見したんだかは解らないんですけれど。
で、クリスマスにフリーで配信するシングルにしたんですよね?
O:そうなんです。シングルを
S:何というタイトルなんですか?
O:それは2曲ありまして、それは「BEAUTY STEP」というのと、「Flower of life」
S:それはどこに行くとダウンロードできるんですか?
O:ええとそれは、自分のサイトにアクセスしてもらったら、そっからダウンロード出来るようになってますので
S:OORUTAICHIとアクセスすればできますよね。Oが二つですよね。
O:そうです。
S:本名じゃないですよね?
O:そうなんです。本名みたいに言って下さるんですけど(本名:大流 太一)
S:本名は何て言うの?おおるさん?
O:たいち
S:たいちさん。それは本名なの?みんな聴いて下さいね。
O:聴いて下さい。
S:そちらから何かあれば
O:色んな形態というか、色んなプロジェクトで坂本さんは休むことなく。僕なんかは作るのもすごいのんびりしてて、時間がかかっちゃう感じなんですけれども、坂本さんは凄いコンスタントにどんどん作品が発表されているのをみて、何か任されたままにっていう感じなんですかね?やりたいことがどんどんと見つかってきて
S:そうですね。時間は足りないですけどね。
O:もっともっとやりたいという
S:本当はね。山口のYCAMとかって行ったことあります?
O: はい。一度
S:今YCAMでたまたま僕と高谷史郎さんと一緒に作ったインスタレーションがあって、3つ同時に展示してあるんですね。3つ同時にってことは後にも先にも今後もう無いと思うんですけれども、もし時間があったらぜひ見てほしいんですけれど、3月頭まではやってるんですけれども、YCAMの宣伝というよりは、何かね、そういうインスタレーションとかね、その音楽、勿論音もあるんですけれど、いわゆる普通の音楽のフォームというかは違った拡張したようなものにもちょっと関心があって、色々思いついちゃうので、作るとなるとやはり時間もかかるし、人の協力も必要だし、中々ね、でもそういう風な気持ちの高まりってさ、何か月もそんなに持続しないから
O:そうですね、思いついたらすぐに
S:やりたくなっちゃいますけど、色んな事情で実現できないものは沢山あるから、そうするとそれは捨てられて行ってしまう。ちょっと勿体ないですけれど。
O:何かそういう無くなったプロジェクトとかを顧みるとか
S:そうですね。たまには思い出して引っ張り出して形を変えてということはあるかなあ。勿論普通の音楽というのもねメロディーがあるものとかも思いついたりとかもするんですけれど、まあでも色々とやっている割にはね、いわゆるCDになっているアルバムというのも、もう5年くらい出してないんですよ。最後に出したのが2009年かな。たまにはそういうものも作らないと。
O:そうですね。常に活動されている印象がすごいあって
S:そうですか
O:僕なんかは思いついたりして凄い興奮しちゃったりするんですけど、中々実現するとかまでの道のりとかが、こう大変やなって思っちゃったりとか、躊躇してしまったりとかってあるんですけど。
S:そうだね、そうだと出来ないですね。ま、普通の音楽というのは思いついちゃうと直ぐに音が出るし、まあポップスなんか本当に全て出来るわけだし、バンドがあればコードだけ渡せば直ぐに簡単に音が出る訳だし、そういうのが楽しいですけれどね、このリアルタイム性がありますよね、音楽には。
O: そうですね。坂本さんも結構、歌ものというか歌が入ってくる曲を何曲か書いてはりますけど、ああゆうのってどれ位?色々あると思うんですけど、かかるもんなんですか?
S:そうですね、僕の悪い所は、割と作っちゃって、それをとことん突き詰めない。作ったら作ったらでもう良いやって、という悪いところがあって、ああ出来た。もう終わりっていう。
O:ああー
S:早いですね。もう早いものは5分10分で出来ちゃうし、
O:じゃあもうそれで完成
S:でもね、それは本当は良くないっていうか、あのう前にアントニオ・カルロス・ジョビンのカバーアルバムを作ったのがあるでしょ? で、ジョビンさんとは生前会えなかったんですけれど、色んな一緒に仕事をしていた人と会って話をしたりすると、ジョビンさんの曲は世界中で愛されていて、歌ものも洗練されたものじゃないですか、親しみやすい。簡単にできるみたいだけれども、二年も三年もかけるんですって。
O:ああ、そうですか
S:凄いですよね
O:僕は2年も3年もかけれないですけれど、凄い時間がかかってしまって、何か聴くたびにこうできるなって思ったり
S:ああ、でもそれは良いですよ。
O:はい。でもこんな調子でやっていると何か大丈夫なんかっておもてしもたりして
S:そういう閃きも大事だけれども、閃きをちゃんと保持しながら何ていうのかな、彫塑というのかな、磨いていくのも大事だと思うんですよね。僕もそうしなければと思っているんですけれど(笑)
坂本龍一 セッション一人目はOORUTAICHIさんでした。続いてはsawakoさんとのセッションをお送りします。
41:20
2 {sawakoよりコメント}
経歴凄いです・・・sawakoさん。
坂本龍一ニュー・イヤー・スペシャルをお聴きの皆さん、あけましておめでとうございます。ミュージシャンのsawakoと言います。今聴いて頂いた曲はセカンド・アルバム「hum」収録の「Pink Liquid Cotton Candy」でした。私は普段コンピュータで作った電子音と街や自然の中で録音してきたフィールドレコーディングサウンドを用いて音を作っています。もともとは名古屋出身でNYに6年間在住の後、現在は東京とネット上を拠点に活動をしています。カフェや神社のような場所から、ソナーフェスティヴァルのような国際的なさまざまな場所でライヴやインスタレーションを行っています。今日はこの後、坂本龍一さんとの初めてのスタジオセッションということで、とてもドキドキしています。坂本さんはmore treesのような活動や森や水をテーマにしたYCAMでのインスタレーション作品のような地球規模での活動をされていることが、大変すばらしいなっと思っています。今日のセッションは聴くこと、演奏することともに、聞くこと耳を開くことにも意識を向けながら、一音一音を大切に奏でたいなって思ってます。お聴きの皆さんもじっくりと耳を澄まして音の海に漂って頂けたらとっても嬉しいです。よろしくお願いします。
{教授と音を出してインプロで演奏}ここでのRは坂本龍一
R:ちょっと出してみますか
S:はい。
R:音を出すのは初めてなので一緒に出すの。
S:はい、初めてです。
R:どうなるかわかりませんが、あのついていきますから
S:はい。有難うございます。
インプロの曲
{教授と対談}
R:今晩は。良い音でしたね。
S:丁度あったんで
R:良かったですね。だけど、水とか鳥の、ああいうフィールドレコーディングって自分でしたんですか?
S:そうですね。色んな場所の音とかも今日も混じって、雪解けの音とかも今日も使ってました。ツララが落ちてくる音とか
R:うーん、日本?
S:日本ですね。それは新潟県の方で録ってて、
R:それはフィールドレコーディングをしようと思って行ったの?
S:そうですね。知人がそこにギャラリー兼ドミトリーみたいなものを始めて、丁度、越後妻有トリエンナーレのある町なんで、それで季節ごとに通って録音させてもらっているんです。はい。
R:ああそうか季節によって違いますものね
S:はい。色んな音が面白いですね
R:結構雪深いんですかね
S:豪雪地帯です。5mくらい、5m6m丁度雪解けの季節に行くと雪が固まっているんで
R:へー
S:道が無くなって上を歩いて行ったり
R:ああそうなんですね、固い雪の上を
S:歩いて
R:道が出来てるんですよね
S:道が出来てて。そうですね。積りたては柔らかいんですよ。
R:ですよね
S:ぽしゅっと落ちちゃうみたいな感じで
R:ですよね、だから カンジキみたいなのを履かないとね
S:それで、ツララの音を録ってた時に、私は街出身なんでツララとか凄く珍しいんですけれど、道行く人に笑われちゃって、R:そんな当たり前なものを録ってって
S:はい。そうですね。普通のことですよね、向こうの人にとって
R:珍しがっている。珍しいですよね。
S:珍しいです。凄く綺麗だし。その水の滴る音がやっぱり美しい。
R:そういうのって日本的なんですか?
S:多分エリアによって国によって音が違うと思うんですよね。雪も違うし
R:そうですね
S:ツララの感じも違うし日本はやっぱり繊細な感じがします。森なんかの生き物も他のアマゾンとかオーストラリアとか
R:全然違うよね
S:攻撃的な感じの音だったりするんで
R:そうですね。アマゾンとかも行ったの?
S:アマゾンは行ってないですが、知り合いの方が録音をしてて、はい。
R:僕は行ったんですけど、凄いですよ。もうねえ朝起きて夜明けぐらいに森に行ったらね、森全体がキーンという金属的な音がしてるのね。あの亡くなったルー・リードの「メタル・マシーン・ミュージック」みたいな
S:はい、はい。
R:キーンって音がして、それはね森中の昆虫が一斉に鳴いている音なんですよね。物凄く高周波の金属的な音でした。で、植物も棘なんかもこんなに長くてね、凄く植物も攻撃的なんです(笑)
S:はいはい
R:みんなが競い合っているという感じでね。ああゆうなんか蟻なんかもこんなに大きくて、食われると本当痛んですけれど
。面白いですね。だけど、その自然のそういう音に感応するというか、感じやすい日本人の特質とかって言われるじゃないですか。まあそういう所もあると思うんですけれど、テーラーなんかは割と日本人的ですよね。
S:的ですよね。凄いはい。思いますね。
R:外国人の中ではね。あと、北欧の人とかちょっと日本人の感性に似ているような気もしますけれど
S:はい。
R:今日会うのは二回目でしたっけ?
S:はい。二回目になります。
R:以前、NYでお会いしたんですよね。
S:NYのワールド・ファイナンシャル・センターでフェネスさんとライヴをされた時に、私のレーベル・オーナーの12K(トェルブ・ケイ)のテーラーと一緒にご挨拶にお会いしました。
R:ああ、そうでした。あれはテロで壊れちゃったワールド・トレードセンターの丁度向かいにあるビルで、あ、じゃあ911の時はNYに居たの?
S:その時は日本に居たんです
R:じゃあその後にNY
S:はい。その後にNY
R:それであのビルも壊れて何年間か修復していたんですけれど、それの何て言うかな、回復記念みたいな、で出たんじゃなかったっけな?そうじゃなかったっけ?
S:何でしたっけね?忘れちゃって(笑)
R:もう最近のことなのに記憶が僕はダメなんですけれど、もともとはSFC(慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス)なんですね
S:はい
R:大変面白いですね。サウンドアートと言うか。そういう電子音楽とかやってたんですか?
S:音とか映像とか、あと統計とかが凄く興味があって、コンピュータを使ったり、フィールドレコード。街の音だとか、人の動きだったりとかそういうことも興味があったんで、一番中心になるのはアートなんですけれど、それ以外のことにも色々と顔を突っ込むようになって
R:そうなんですね。でNYに行ってNY大学。
S:そうですね
R:そこでは何を勉強したんですか
S:そこではもうちょっと、やっぱりマルチメディア・アートともうちょっとアクティヴィズム寄りのような
日本よりはもうちょっと、やっぱり意見がある方が多くて、そういう感じの所でした。
R:アクティヴィズムやってるのが当たり前の感じですよね。
S:そうですね。
R:アメリカの大学なんかはね。
S:あと
R:ジェンダーとか色々とあるじゃないですか。
S:そうですね。あと環境問題とかありましたし、逆にそのテクノロジーとかを培っている人が多いので、それ以外のことに興味がある方の方が多かったです。
R:まあねITを使うというのもどういう分野でももちろん使うし、アートとかそういう社会問題とかでもみんな使うし、SNSでも使うし、慶応に行ってそのコンピュータとかの使い方もよく知っていて、それをアートとかそういう社会問題とかにも生かすというのはとても○○的というか。そうなんですね。12Kのテーラー(Taylor Deupree)とはどうやって知り合ったんですか?
S:もともとこういった音楽のネーミング・リストがあって、それで知ってたんだとは思うんですけど、共通の友人が「絶対にテーラーに会うべきだ」って言ってくれて、丁度テーラーが日本に遊びに来てて、初めてのライヴの時で、それで私も会って、NYに行くことになって、仲良くなった感じですね。
R:僕がテーラーと知り合ったのは、デイヴィド・シルヴィアンと「WORLD CITIZEN」という曲を作って、そのリミックスをテーラーに頼んだんですけれど、そのころだから、2004年くらいかな。
S:割と近いですね。それぐらいです私も。2003,4年くらい。
R:12Kのリストでsawakoさんというのを見ていたので、勿論聴いてもいたので、もっと長いのかなって思っていたんで、同じぐらいなんですね。去年はね、僕はテーラーとディオのアルバムを出したんですけれど、
こちら(Disappearance)
S:素晴らしかった
R:ああ、そうですか(照笑)
S:すごい好きな感じでした
R:ああ、本当?有り難う。さっきも気が合っているんですけれど、うーん
S:あれは?NYでスタジオ・セッションをして?
R:そうですね。ライヴをやることになって、テーラーって意外と用意するというか、気持ちを準備するというかな。そういう人みたいで、いきなりライヴで即興ってんじゃなくて、NYのうちのプライベート・スタジオに来て、どういう音にしようかってことを相談したくて来たんですけれど、その時に音を出して2時間くらいやってたのが元になって、それで直ぐその後にザ・ストーンって所でライヴをやって、まあその辺が元になってるんですね。それをテーラーがこう10分か25分くらいの曲にまとめてって感じですね。青葉市子さんとか
S:はい、入ってます。
R:そんなこんなで初めて一緒にトライしてみたんですけれど、やはり偏見ではなく女性的な感性と言うか、そういうのも、やはりありますよね。面白いですよね。また是非
S:また是非よろしくお願いします。
R:よろしくお願いします。頑張って下さいね、今年の活動も。何か言っておくことはない?
S:1月に東北の方でツアーがあります。
R:ああそうですか。東北のどこですか?
S:東北の仙台と宮城県にあるプラネタリウムでそれは星空に合わせてライヴをして
R:それは即興なの?
S:即興です。あと岩手県の水沢という町でライヴがあります。
R:じゃ是非ね、近くの方は行ってください。Sawakoさんでした。
S:はい。どうも有り難うございました。
3 {Micachuさんとのセッションです}
ええ、このMicachuとうのは、皆さんお分かりだと思いますが、ピカチュウをモジッタものでして、そのMicaさんというね、イギリスの今は多分25ぐらいの(1987年生まれ)(Mica Levi)若い女性なんですけれど、実は僕は会ったことないんですよまだ。何で知ったかと言うと去年、僕はベネチア国際映画祭の審査員として招かれてベネチアに行って、一日に映画を3本、4本とね立て続けに1週間か10日くらい見てたんですけれど、そのコンペディションの中に入っていた映画の一つに「Under The Skin」という映画がありまして、まあ映画としてはウーンと言う感じ(笑)なんですけれども。映像のスペシャル・エフェクトとかですね、音が素晴らしかったんですよ。ジョナサン・グレイザー Jonathan Glazerという人が監督をしていまして、有名なスカーレット・ヨハンセンが主役なんですね。このSFスリラーみたいな感じで、そのスカーレット・ヨハンセンの女性がエイリアン。地球に来た宇宙人なんですけれども。まあそういうSF。でね、音が素晴らしいんですよ。音楽もですけど、音も音楽も素晴らしい。非常に変わっていて、普通の映画の音楽という感じは全くなくてね、本当に僕はびっくりして誰がやっているんだろうって思ってすぐ調べてたら、このMica Leviだと人で、もっと調べたら24、5のイギリス人の若い女性だと。それで本当に驚いて、それで映像なんかもインターネットなどでも調べてね、バンドをやっていたりするんですけれども。それでHPがあったんで、メールをしたんですよ。坂本と言うんですけれど、まあ英語でですけれど。こういうNHKでラジオをいつもやっていて、今年は若い色んなミュージシャンとセッションやるんですけれど、日本には来れないかもしれませんが、ファイル交換とかでセッションやりませんかということでメールしたら。そうすると彼女から「良いわよ」って直ぐに返事が返って来て、じゃあ最初に何かモチーフを送って下さいと言うと、すぐに送ってきてくれたわけ。翌日くらい?という訳なんですよ。ちょっと彼女から番組にコメント来ていると思いますので、聞いてみましょうか。
本人からの音声
{日本語訳の音声}
私のWEBサイトではメッセージを受け取れるようになっていて、そこに坂本さんが連絡をくれたの。Jonathan Glazer監督の作品「Under The Skin」に使われている私が作曲した音楽を気に入ってくれて、そのメールによると、坂本さんがラジオ番組の中で一緒にコラボレーションをする若いアーティストを探していて私を指名してくれたのね。公正なる気持ちに、シンプルで発展的だったんで、私も直ぐOKしました。私はシンプルなアルペジオ風のをギグミーティングで録音したの。音の吹くような音よ。それを坂本さんに送って、1か月ぐらいかしら、彼からのファイルを受け取って、私のシンプルなアイディアをとても気に入ってくれて、坂本さんが作り上げたテクスチャーはピースフルで素晴らしかった。彼が今夜のスタジオセッションでどんな音に仕上げてくれるのかとても楽しみです。私は今回の経験を自分のバンドMicachu & The Shapesに引き継いで、新たなレコーディングをしています。成分を拡張させてね。私が映画音楽を手掛けた映画「Under The Skin」という映画は来年の3月に公開予定です。機会があったらチェックしてください。Micachuでした。
R:でまあ、彼女から来たそのモチーフを基にして僕がNYで少し音を重ねていって、曲風にしてですね、10分くらいの。その上に生でライヴで僕が演奏するという、そういうセッションです。ちょっと変わったセッションですけれど。どうぞ楽しみに。
{彼女からの音源に僕の演奏を重ねてセッション}
4 原摩利彦(はら まりひこ)
よりコメント
坂本龍一ニュー・イヤー・スペシャルをお聴きの皆さん明けましておめでとうございます。原摩利彦です。今聴いて頂いています曲は「Flora」というアルバムから「Boat」という曲です。普段はですね、曲ということをテーマにした、質感とかそういうものに拘った静かな音楽を作っています。電子音楽とピアノも弾きます。時には激しいビートの音楽を作ったりとか、また舞台とかの音楽とかもやっております。活動の中心は主に京都に住んでおりますので京都を中心にやっております。お寺とか野外で音楽を演奏することもあるので、自分の用意した作った音だけではなく周りで鳴っている音に焦点が行くように心がけてやっております。この坂本龍一さんと新春のセッションを行いますけれども、非常に緊張しております。お話をして頂いてから毎日、朝、寒風摩擦をやって体調だけを崩さへんようにして来ました。繊細な音を用意して来ましたので、坂本さんの音とどのように寄り添っているかを聴いて頂けたらなって思います。ではまもなくスタジオセッションのスタートです。お楽しみに。原摩利彦でした。
{教授と原摩利彦さんのトーク}
R:原摩利彦さん。今晩は。
M:今晩は。
R:音を出すのは今日が初めてなんですけど、ちょっとどうなるか、即興何でどうなるか解らないですけれど。
M:はい。凄く嬉しくてですね。
R:はぁ(照笑)
M:中学1年生の時に13歳の時に坂本さんのトリオの1996のコンサートに行きまして、それでミュージシャンになろうと思いました。
R:あ、そう(照笑)
M:なってもう17年くらいですね。
R:そうなんだ
M:もう本当嬉しすぎて息出来ないんですけれど。あのう高校生の時の携帯の番号の下四桁も1996にしてたぐらい好きでした。
R:ああ、そうですか(照笑)
M:非常にだから今日は嬉しいです。
R:○○テープとか沢山送ってきてくれたりとか。本当に10代の時から知っているという感じなんですが、初めてだからどうなるかわかんないけど、やってみましょう。
M:はい。よろしくお願いします。
{教授とのインプロ演奏}
{教授と対談}
R:もう随分前でしたね会ったの
M:そうですね。
R:法然院だっけ?
M:そうです。はい法然院の。高谷史郎さんのシークレットライブの時ですね。それが一番最初です。
R:あれは二人で来たんだっけ?
M:はい弟の瑠璃彦と一緒に
R:摩利彦、瑠璃彦って神話みたいですよね。古事記みたい、凄いな。でも本当に仲良いですよね二人は。
M:5つ年が違うんですけど。小さい時は絶対的に力があったんですけれど、最近はそうでもなくてですね。
R:そうなんですか?大学を卒業してもうじゃあ今はミュージシャン?職業は?
M:一応大学院に籍はあるんですけれど
R:ああ、籍があるの、
M:休学して
R:休学してるの。へえ何の勉強をしていたんですか?
M:生涯教育学でlife-long educationなんですけど、その中で音と人との関わりみたいなものを考えていました。
R:まあ関係してるわけね音の方に。
M:はい。大学の方でもう先生にミュージシャンになれと
R:追い出されちゃった
M:はい。(笑)
R:そうですか、でも、色んな海外のミュージシャンともコラボレーションしたりとか、割と活動が本格的になって、まあ随分と長く見ているから。ねえちょっと前までは学生でね、やってたんですけど、いよいよねー。どうですか?音楽で、音で生活していくのって大変でしょ?なかなか
M:なかなか大変ですね本当に。
R:ね、弟の瑠璃彦ちゃんは?( 1988年生まれ)あれですかね、研究者になるんですかね?
M:どうでしょうね。
R:どうなんでしょうね。
M:舞台とかそういうのには関わりたいとは。創作には関わりたいみたいです。
R:そうなんですね。
M:はい。
R:兄弟揃ってお世話になっちゃって
M:いえいえ
R:即興ってよくやってんですか?
M:いや、それほど沢山はしたことがないです。
R:じゃあ割とちゃんと曲がある形で
M:が多いですね。何かあっと言う間でしたね。楽しかったです。
R:そう、あっと言う間?けっこう長くやっちゃったんだけれども。もうちょっと1つ何かあったかな。なんかちょっと尻切れトンボで終わっちゃったんですけれど。すいません。全く打ち合わせなしでブッツケ本番でやったんで。ね、暗中模索というかね。
M:いやあ
R:明りのない蝋で暗がりで彷徨、森の中を散策しているような感じです。楽しかったです。また是非やりましょう。
M:是非やりましょう。
R:今年は何か予定があるんですか?
M:まず2月から奈良にあります たんぽぽの家 という障害者の方たちのアート活動を支援している所があるんですけれど、そこの障害者の方と一緒に6.2チャンネルのサウンド・インスタレーションを発表します。
R:大友さんもね、子供さんたちとやったりね。
M:はい。歌遊びの会とかで。その系列で
R:そうなんですね。なんか教育的な観点もあるような。気もしますけれどもね。
M:はい。
R:そういうところにも繋がっていくのですね。まあ注目しているので頑張って下さいね。
M:はい。有難うございます。
R:どうも有り難う。
という訳で、坂本龍一 ニュー・イヤー・スペシャルも10回目 どうでしたか?
最後に曲を聴きながらお別れしたいと思います。昨年5月にオーケストラでライヴ音源でセレクトしたPLAYING THE ORCHESTRA 2013から「aqua」を聴いてみましょうか。
今日聴いて頂いた若い人たちの、それぞれユニークな活動をしていますし、従来のミュージシャンというのはちょっと違う感じの人が揃ったのかな。僕がお呼びしたのでそういう人ばっかりなっちゃったのかもしれないですけれどもね。何かギター持ってちゃんとバンドをやってます。というのではなく、そこそこアートと音楽との境目みたいな。そういうような境界がよくわからないような活動をしているね。今後どういう、どうなっていくのかこう予測がつかない原石というのが良いなって思うんですよね。共通しているのはみんなコンピュータを使うということですね。やはり若い世代なので、子供の時からもうコンピュータに接していてライヴをやるのも音楽をやるのもコンピュータを使って、まあ使いこなしてるっていう感じでしたね。本当に羨ましいですよね。
今年はどんな年になるのかは判りませんが、僕はそろそろまた自分のソロアルバムを作ろうかなっと。集中して。もうこの前のアルバム「OUT OF NOISE」から5年くらい経ってしまいましてね。今から作り出して、正月に来年の話をするのも何かと思いますが、来年の頭に出せたとしても、もう6年目くらいになってしまいますが、そろそろ普通の音楽の形もやっても良いかなって思っていますけれども、自分でもどういうものになるかはまだ、全くわかりません。これから考えます。それではまた、来年になりますけど、そこの頃にはアルバムが出来ていると嬉しいですね。2015年のお正月もこの番組が出来ると良いなって思っています。2014年が皆さんにとって良い年でありますように。坂本龍一でした。
PLAYING THE ORCHESTRA の「aqua」