存在する音楽

ジャンルに関係なく良いと感じた曲は聴く
誰かの心に存在する音楽は
実際に音が鳴っていない時にも聴こえてくることがある

NHK スコラ シーズン4 第1回

2014-01-10 18:59:28 | 坂本龍一
2014,1,9放送
テーマは「電子音楽」

ゲスト講師に
川崎弘二
1970年大阪生まれ。2006年に「日本の電子音楽」(愛育社)、09年に同書の増補改訂版、
11年に「黛敏郎の電子音楽」、12年に「篠原眞の電子音楽」、13年に「日本の電子音楽 続 インタビュー編」(

三輪眞弘
1958年 東京都生まれ。作曲家、メディアアーティスト。

小沼純一
1959年8月13日 ‐ 東京都生まれの音楽・文化批評家・詩人。早稲田大学文学学術院教授。



そもそも「電子音楽」という言葉自体が非常に曖昧だけど電子音楽とは何か?
川崎「物凄い広い意味で捉えれば、電子機器を使って作られた音楽の全ては電子音楽」

1950年代にドイツで作曲家のシュトックハウゼンが始めた「エレクトロニッシュ・ムジーク(発振器やテープレコーダーなど放送用の機器を利用した音楽)
大きな特徴はそこで電子音を使った
こと。電子音を使えば、何ヘルツで、何秒持続する、何デシベルの音というように、音を構成する要素を完璧に数字で表現することでき、その数字で表現した音をまた数学的に構成していくことが出来る。
電子音楽というジャンルがある訳ではなく、20世紀というテクノロジーに覆い尽くされた世界で、我々の生活に音楽はとても敏感に反応してきた。なので[20世紀音楽史]をテクノロジーという視点から眺めるというのが今回のスコラのテーマになり得る。

R:[20世紀音楽]の特徴として、「音響・音色の拡大を目指す」が挙げられる。19世紀の音楽は楽器で演奏するものの内で音楽が作られ、打楽器のようなピッチ(音の高さ)のないものは排除されてた。20世紀に入ると、そういったものがどんどん音楽に取り入れられてきた。

小沼:「音楽の都市化」とし、馬車や電車によってサウンドスケープ(カナダの作曲家マリー・シェーファーによって提唱された概念で「音風景」、「音景」などと訳される)が変わってきたことで、耳が順応していった
科学技術の進歩で街には騒音が溢れ、音色の拡大という概念から、その騒音も音楽に取り入れようという動きに。
騒音そのものを音楽とするという発想は音楽界に大きな衝撃を与え、その後の電子音楽にも大きな影響を与えた。
20世紀前半、街が近代化してきたことで「力」や「スピード」に対する賞賛が高まってきたことや、これから始まる科学技術の時代に対する期待が高まっていたことも、音楽に強い影響を与えた

通信の手段の発達でモールス信号から近代化、音声を電気信号に変えて送ることが可能になる。
この技術を応用して、電気信号を使った楽器を作ろうとする技師や科学者が出現。こうして生まれたのが世界初の電子楽器、テルミン(昨年のさとがえるコンサートでMOTOKKUがアッコさんのライヴでコラボしていて、テルミンも使われていた。テルミンは電波が出ているアンテナに手を近づけたり遠ざけたりして電気の状態を変えることで、テルミンの内部の発振器に作用し、音の高さと大きさをそれぞれ変えることが出来る楽器 ロシアのレフ・テルミンが作った楽器)

ワークショップ

テルミン奏者 竹内正実
テルミンから電波が出ていて、木箱から上に突き出した棒に右手をかざし、音の高さを調整する。近づけると電気信号の振動数を上げることになり高くなる、遠ざけると振動数が下がり音が低くなる。

左に1本の金属棒がU字型曲線を描いて二か所が箱に刺さっていて、これに手を近づけると音が強くなり、離すと弱くなる。強弱を変える。

左手をかざしながら右手で高さを調整していく。


電気と音を結びつけたテルミンの手を触れないという演奏方法や、これまでになかった音色は注目されるが演奏は難しい。

オンド・マルトノ(去年のMOTOKKUと矢野顕子のライヴでも使われていた。原理はテルミンと同じだが、鍵盤を取り入れるなど、従来の楽器の操作性を取り入れより幅広い演奏が出来る。鍵盤が自由に揺れることで自在にビブラートがかけられるという、見た目は鍵盤楽器だが、本質は弦楽器に近いというオンド・マルトノは、鍵盤を弾くだけではなく、左手でボタンを押さないと音が出ない(弦楽器で言う弓のような役割)ことで、多様な演奏を実現する。そしてスピーカーにはドラが入っていて、ドラに併設されたスピーカーに共鳴して音が変わったりもする。

教授と学生たちがオンド・マルトノ奏者の大矢素子とともに演奏を体験。

三輪:テルミンやオンド・マルトノは楽器自体としては凄い発明だが、それは作曲家や音楽家が自分の音楽性を拡張しようとして得たものではなく、むしろ技術、テクノロジーの側から与えられたものだというところに意味がある

R:現代の技術と表現者の関係について、プラグイン(コンピューターの機能を拡張させるソフト)なんかはどんどん開発されていって、それを表現者がつまみ食いしながら試していってるような状況なので、もしかしたらこの時代と今はとても似ているのかも

このような時代にどうやって表現者でいられるのかというのは難しい問題

コメント
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