■「コーラス/Les Choristes」(2004年・フランス)
●2004年セザール賞 音楽賞・音響賞
監督=クリストフ・バラティエ
主演=ジェラール・ジュニョ フランソワ・ベルレアン ジャン・バディスト・モニエ ジャック・ペラン
問題児ばかりが集まる寄宿学校”池の底”にやって来た元音楽教師マチュー。そこは”やられたらやりかえせ”を合い言葉に、厳しい懲罰を科す指導が行われていた。マチューはその人柄で生徒をなつかせようとするが、校長や同僚はそんな彼に冷ややかな視線を送っていた。彼は生徒に合唱を指導し始め、それがきっかけでマチューは生徒達の心をつかんでいった。さらに問題児の一人が歌の才能を開花することに。しかし校長の横暴、相次ぐ事件で彼は・・・。
この映画は「春の凱歌」というフランス映画のクラシックを題材にしたそうだ。新たに寄宿学校に赴任してきた先生が人気を獲得し、生徒達を束縛から解放する・・・、さらに校長先生に代表される大人の俗物ぶりも含めて、この「コーラス」は同じくフランス映画のクラシック「新学期操行ゼロ」(ジャン・ヴィゴ監督・1933年)へのオマージュでもあるのではないだろうか。ただ「新学期操行ゼロ」と違って体制への反抗をするのは先生なんだけどね。マチュー先生を演ずるジェラール・ジュニョは、主演・監督した「バティニョールおじさん」でユダヤ人迫害へ立ち向かう男を演じた。そのイメージはこの映画にも引き継がれ、強い信念を持つ心優しき教師を見事に演じている。少年の母親に淡い恋心を抱く場面は人間味があふれていて心に残る。欲を言えば少年たちが一部のワルを除いてちょっと大人しすぎ。校長の娘に興味を抱くところなんか、もうちょっと膨らましてもよかったのでは。
「音楽は混乱を調和に導くもの」。これはフランコ・ゼフィレッリ監督の「トスカニ-ニ」を観たときに心に残った台詞だ。音楽を通じて築かれた人と人の絆はとても強い。これは音楽が持つ偉大な力だ。音楽を通じて人が成長していく様は観ていて実に爽快。ジャン・バディスト・モニエ君の天使の歌声も感動を与えてくれる。プロデューサーでもあるジャック・ペランが「ニューシネマ・パラダイス」のトトを彷彿とさせるいい役柄で登場。実は監督のクリストフ・バラディエは甥、ペランの息子も子役で出演している。
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