山里に生きる道草日記

過密な「まち」から過疎の村に不時着し、そのまま住み込んでしまった、たそがれ武兵衛と好女・皇女!?和宮様とのあたふた日記

龍馬はあやつられていたのか??

2022-01-12 21:26:47 | 読書

 前々から読みたいと思っていた、加治将一『龍馬の黒幕』(祥伝社、2009.6)を読む。見出しがいつもセンセーショナルな祥伝社のことだから、慎重に読み始める。副題が、「明治維新と英国諜報部、そしてフリーメイソン」だった。いかにも怪しい気配。

      

 前回の大河ドラマ「青天を衝く」でも、徳川慶喜の評価や明治政府内部の矛盾などに新しい見解を取り入れているのが興味深かかった。それとともに、幕末をめぐる評価にも従来流布しているものとは違う見解が最近取りざたされている。その意味で現在は薩長史観から脱皮していく地点にいるのではないかと思う。その一環として本書も位置付いているのではないかと思える。

      

 そのいい例が坂本龍馬だ。「日本を洗濯しよう」とまさに獅子奮迅の勢いで活躍していたのは確かなことで、彼が考えた欧米型の政治体制の先験的な構想は群を抜いていたものだった。しかし、その後ろには、イギリスの影がちらちらしているというのが著者の言い分だ。その傍証として、フリーメイソンや英国諜報部が暗躍していたというわけだ。

   

 たしかに、武器商人グラバー邸には幕末を代表する志士が群がっていたし、イギリスの外交官が幕末から新政府樹立への諸事件に水面下で暗躍していた。このへんの資料集めをしていた著者はかなり力が入っている。そして、小説を読むような臨場感で描く著者のわかりやすさが読者を魅了する。これがノンフィクションかと問われると躊躇もある。

   

 フリーメイソンはもともと秘密結社なのでその真実味は闇だが、その視点を考慮した展開はラフすぎるが新鮮だ。また、倒幕と徳川擁護の両面作戦をとったイギリス外交官は大英帝国の手練手管に長けた手法を紹介している視点は注目してもいい。しかしその真実はこれからの地道な吟味が必要とされるだろう。

コメント
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