朝起きて雨戸をあけると裏山は雪国だった。寝ている束の間にしんしんと積もった粉雪だった。北国では2~3mも積もっていることを考えると、まだ雪の風流を愛でる余裕の世界にいるが。
それでも、今から街なかに買い物と通院に出かけることを考えると、いくつかの峠を越えなければならない。アイスバーンになる前に出かけるには今すぐ家を出たほうがいい。ということで、そそくさと支度をする。
家を出てすぐの道路はすでに銀世界となっていた。動物や早起きの人間の足跡も確認できた。もしこれが峠の急峻な坂道だったとしたらノーマルタイヤの車では危険であるかもしれない。しかしまだ、雪は柔らかいので決行することにする。道路の両側には雪が残っている。
そのうちに、最初の国道のトンネルを過ぎたころになると雪の気配が消えていた。どうやら街は雪は降ってなかったようだ。雨の場合も同じことがある。結局、峠の急峻な坂も雪はなく通過できて、買い物も通院も無事終了したのだった。(上の二枚の画像はイメージ)
帰りに同じトンネルをくぐったら、雪は変わらずに残っていた。つまり、わが家の住んでいる場所はあたりまえだが山里だということだ。桃源郷は山深いトンネルを越えた所にあるという。どうやら、わが家の場所は桃の花こそ咲かないが桃源郷なのではないかとあらためて妄想する。
そういえば、長寿の高齢者が多い。都会にはない緩やかで穏やかな人間関係がある。そこは、杉林や茶畑が醸し出すフィトンチッドが漂い、林縁には昆虫や植物が適度に生息する。人間と自然とが共存し、コロナもほとんど問題にならない。若い人の移住も始まっている。不便さが幸福度を高めている。