以前、有志の協力で完成させた小さなビオトープが健在だが、その周りは草ぼうぼうで進入できなくなっていた。そこで、草刈り機と鎌を持って周りを整備することにした。雑草に埋もれたポポーや五色ヒイラギの苗の周りの雑草を駆除し、何とか救い出した。草刈り機だと小さな苗ごと伐ってしまうことが度々あるので、細かいところは鎌の出番なのだ。
ビオトープの池には、ヒメガマが健在で穂がついていた。池には雑草も侵入して勢力を伸ばしていた。土だけでなく池にも侵出するとはすごい生命力だ。重い雑草の根っこを池から引き出しビオトープを多少きれいにしていく。気候は何とか秋らしくなって汗の量も多少少なめとなった。それでも水分補給をやらないとのどが渇く。
雑草の「洪水」を見ちゃうとやる気を失うので、平常心で焦らず草刈りをしていくことにする。そのうちに、池から誰かに見られている気がした。振り返ると池の主の「トノサマ」だった。目があったのでご挨拶をしたが、「くるしゅうない、続けよ」と言われた気がした。1m以内にいるのに動かないでずっと作業を見てくれたので、くたびれたので途中でやめようかと思ったけどやはり最後まで黙々とやらざるを得なかった。
好奇心のあるトノサマのようだった。池の石を越えてオラに近づいてきたのには驚くばかりだった。しばらくして姿が見えなくなったのがわかった。
さて、2020年(平成32年)、気象庁はトノサマガエルを観測対象から外すことになった。つまり、身近だったトノサマガエルは環境省の準絶滅危惧種に指定されるなど、遠い存在になってしまったからだ。全国的に水田が減少し、農薬や河川や水田の周りがコンクリート化されるなど、殿様の環境が劣悪になったことが考えられる。
その意味では、見たくれは酷いオラのちっちゃなビオトープだが、なんとか殿様のお住まいを提供していることになる。お召し物を考えるとお殿様と思っていたが、どうも御姫様だったようだ。