秋になると和宮様は「カラカサタケ」(ハラタケ科)を探しておいでになる。5・6年前には道路際でよく目撃していたようであるものの、ここ数年は気候変動やら道路工事やらなどで全くと言っていいほど見られなくなったという。裏山の道草山でも同じく見られなくなって久しい。それが今月中旬、通院の帰りにカラカサタケを道路際で群落を発見したと言って、その一つを見せてくださった。
その一週間後、ふだん通らない木陰の多い道路を通ったとき、カラカサタケの見事な幼菌を発見。卵型の傘の下にはリングのふくらみも見える。このリングは成菌になると上下に動かせるのがこのキノコの最大の特徴でもある。以前、和宮様がカラカサタケの大きな傘をフライにしてくださりいただいたことがあるが、食感はまるでハンペンのようだった。
(画像はりんご飴専門店candy bombから)
幼菌をみると縁日で人気のある「りんご飴」が連想された。味はもちろん全然違うが、幼菌のたたずまいはじつに美しい。生育場所はやはり人間があまり行かないような日陰が多い。はにかみ屋なのだ。しかし、傘を広げると30cm近くに達するほどの大きさにもなる。自己主張が強い個性を持つようだ。茎も小さく刻んで卵焼きとともに食べるとなかなかいける。
ただし、この仲間には有毒のキノコも多い。食べるときはその特徴を図鑑などでそれぞれ確認しながらでないと食べることはしないようにしている。生食はもちろん危ないから火を通すのは必須だ。今年はカラカサタケが多いということは他のキノコも豊富ではないかと思われる。実際、裏山の栗の樹の下にはクリタケが久しぶりに出ていた。こちらは美味なキノコなのでもう少し大きくなるのを待っている。
しかしながら、クリタケもニガクリタケという猛毒のキノコがある。それも同時に同じような場所に出ているから始末が悪い。見たくれはほとんど見分けがつかないが、ちょっとだけ齧ってみると、ニガクリのほうは文字通り苦い。それが大きな違いなので、食べるときはまず齧って確かめてから調理する。今のところ、このやり方で失敗したことはない。食べることはかように命がけなのだ。