新札が2024年7月から発行されていたが、なかなか入手できなかった。自然の流れで待っていたところやっと今月上旬に手にすることができた。前回の変更は2004年というから20年ぶりのデザイン変更だ。その理由は、偽造防止対策の強化だという。それほど偽造する事件が多いのかは疑問だが。残念ながら、新千円札(北里柴三郎)はまだ入手できていない。
新1万円札の左右にある斜線の「識別マーク」は、種類ごとに場所が違うので触ると「〇円札」であることがわかるユニバーサルデザイン。5千円札は上下にある。また、斜め上下にある「記番号」は、現行の最大9桁から10桁へ変更されているのも見逃してしまう。さらには、額面数字が大型化(表・裏)しているのはわかりやすい。
津田梅子の5千円札の裏面は、古事記や万葉集など古くから日本人に親しまれた花・「ノダフジ」が採用されている。江戸時代には「吉野の桜、野田の藤、高雄の紅葉」と、奈良、大阪、京都の三大名所の一つに挙げられていた。しかし、大阪大空襲やジェーン台風でほとんどが消滅したが、地元住民が接ぎ木や肥料やりなどの手入れを続け、今では近隣約30か所に藤棚が設けられ、復活に成功している。
また、渋沢栄一の1万円札の裏面は、辰野金吾の設計で1914年(大正3年)に竣工した鉄骨煉瓦造の東京駅。使用された煉瓦は、渋沢栄一が設立した「日本煉瓦製造」のものであるのもポイントだ。明治・大正期を代表する建築物の一つだが、これも復旧に成功している。
この新札自体が超絶技巧によりまだまだ仕掛けがいっぱいあるが、要するに美術品としての作品にもなっているところに財務省の面目躍如の自信を感じる。といっても、年金暮らしの淡い暮らしからすれば、この新札がいつのまにか一枚ずつしかないことがわかった。近くにいたデカい「アシダカクモ」がそんな赤貧のオラを笑っているように見えてしまった。トホホ…。